二人の太極図

水妖イヨタ

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二章

現実世界で?!

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僕たちはゲーム機の上で寝っ転がっていて、腕には点滴が点滴が打ってあった。
多分テストプレイヤーを死なせないためだと思う。
三十日、約一か月間ゲーム内に閉じ込められていた。
そのため、点滴のパックは物凄く大きかった。
隣を見ると妹の恋月も起きていた。

「なんだかすごく疲れたな」

「うん、兄さん変ろっか」

「あぁ」

僕は頷き部屋を出た。
タクシーで家まで帰るが、なんだか運転手さんの顔色が悪い。

「運転手さん、大丈夫ですか?」

「あ、あぁ、だ、大丈夫ですよ」

「いや、絶対無理してますよね。何でですか?僕で良ければ相談乗りますよ」

「じゃあ、言いますけど、クレームつけないでくださいね」

「は、はい」

「じ、実は...お客様二人ともすごく臭います」

「え?!」

驚いて素っ頓狂な声を出してしまった。
確かに約一か月間もお風呂に入ってないのだ。
当然、色々な部分が汚れている。

「す、すみません。迷惑かけて」

「だ、大丈夫ですよ。気にはしてますけど」

あ、気にしてるんだ。
ホントに申し訳ない。
てか、早く降りたい。
だが、ここで降りたら道行く人全員に睨まれてしまうので恥ずかしいが我慢する。

そうして、家に着きお礼ではなく謝罪をして降りた。
僕と恋月は直ちにお風呂に入る。
どっちが先など考えてる暇などないので二人で入った。

「に、兄さん、恥ずかしい」

「あ、あぁ、そういうことは言わなくていいぞ?もっと恥ずかしくなる」

「ご、ごめん...」

考えなしに二人で入るんじゃなかった。
正直、恥ずか死んじゃう。
僕たちは背中合わせの状態で湯舟に入っている。
二人で入るのはいつぶりだろうか?
凄く久しぶりな気がする。
小学三年生ぶり?かな、と考えながら入る。
その時に比べ凄く狭い。

「わ、私から上がるよ?こっち見たら...殴る、」

「分かってるよ!早く出てくれ。のぼせちゃうから」

そう言い恋月はお風呂場から出て行った。
僕は一人になったお風呂場で考えていた。

「あー、何してんだろ」

全くである。

「あぁ、久しぶりのお風呂は最高だったなー!」

「私と入れてそんなに嬉しかったの?」

「違うよ!」

そんな会話をしながら僕たちは次の日に備え早めに寝た。

次の日起きるてリビングに行くとテレビがついていて...

「なんだこれ?!」

僕は驚いた。
日本各地で災害が発生していた。
それも大規模な災害だった。
数えただけで五つも起きていた。

「そんな一斉に災害が起きるもんかね」

「いや、これ人為的って説があるらしいよ」

「人為的?そんなことできるわけないだろ?」

「さっきテレビで災害が起きる前に突然爆発が起きたりとか、突然炎が出たってそんな変な通報が殺到したって言ってたよ」

「...突然爆発?突然炎が出た...か」

信じがたいことだが、何故か信じてしまう自分がいる。
つい昨日まで能力と言う奇妙なものが使えたんだ。
だが、爆薬など使えば出来ないことも無い。
まあ、僕たちが首を突っ込む必要は無いな。
そう結論付けて食事をし、宿題をして今日も寝る。
明日から夏休みが終わり学校が始まる。
気を付けて登下校する必要がありそうだ。

夏休みが始まる前と何一つ変わらない学校生活が始まる。
と、思っていた僕の期待はことごとく砕け散った。
学校に向かう前にスマホでニュースを見ると、

「見つけたらすぐ通報?」

僕はそのニュースが気になり見てみる。
その内容に僕は唖然としてしまった。
内容は、科学では説明が出来ないような力が使える人間がいて、例えば爆発させたり炎を出したり出来るらしい。
と、書いてあった。
そこで思い出した。
先日からニュースになっている災害のことを。
まさかと思い僕は...発動する。

「ッ!」

使えた?!
確認が取れた僕はすぐに能力を解除する。
ゲーム内だけじゃなかったのか?!
隠さなければ警察に捕まるかもしれない。
そう思い僕はメッセージアプリで恋月に伝える。
だが、恋月には能力の確認を禁じた。
それはなぜか、理由は明白、バグなどと言う能力は人にどんな影響をもたらすか分からないからだ。
理由も伝え、隠し通すことにする。

学校に着き、僕がテストプレイヤーだと知っている二人、貝塚と百里に口止めをした。
二人は初めは信用していなかったが、ニュースを見せて信じてもらえた。
それで誰にも言わないことを約束してくれた。
恋月はエントリーしたことを知っている人はいるが、当選したことは誰にも言っていなかったらしいので安心した。
それにしてもこれからどうするか、しっかり考えなくては。
授業中そんなことを考えていると突然、

(バリンッ!)

窓ガラスが割れ、不審な男が大胆にもベランダから入ってくる。
...ん?ベランダ?ここ三階だぞ!?

「動くな!!動いたらこの女を殺すぞ」

そんなことを考えていた矢先、百里の首元にナイフが当てられ人質にとられてしまう。
うかつに動くことは出来ないし、多分この男、テストプレイヤーだな。
どういう能力かはまだ分からないが、三階まで誰にも気づかれることなく外から来れるんだ。
何かしら持ってるに違いない。
だが、どうするか。考えていたその時、

「あ、あの、僕が代わりに人質になります。なので生徒を離してください」

あの、バカ教師!動くなって言われたのに何動いてんだよ!

「動くなって言ってんだろ!」

その瞬間、微かに男がナイフを握り直したように見えた。
僕は百里が危ないと思いとっさに能力を発動しナイフを持っている方の腕を払った。
その衝撃で体勢が崩れたすきに顔面に蹴りを入れ外に吹き飛ばす。
僕はその男を追いかけ学校の駐車場に出てその男に追い打ちをかけようとした時、

「おい!後ろ見ろ!」

最近聞いていなかったその声で振り向くと巨大な壁、否、駐車場の道路が僕の視界を遮っていて...









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