82 / 106
4章〜崩れて壊れても私はあなたの事を——〜
82話「崩壊の光1」
しおりを挟む
眠るとは不思議な事象だ。
人間の三大欲求の一つ睡眠欲。
疲労や痛みの感覚を消し去り、休息や治療の時間を生み出す。
ただ、それは暗い闇の中で一秒か一分か、はたまた一時間か一日か。
闇の中で過ごす時間は果てしなく、それは果たして本当に生きているのか。
一週間か、一ヶ月か、一年か、十年か。
昏睡状態の願われる者、植物人間となってしまったか弱き者。
極論を言えば、目が覚めるならそれは生きているだろう。意識があろうと無かろうと。
目が覚めないならそれは死と同じかも知れない。呼吸が続きようが続かなかろうが。
そして——
「⋯⋯ここは?」
レイジ は薄暗い部屋の中知らない天井を見て呟いた。
「⋯⋯いっ!」
周囲を見ようと上半身だけ起こすが、背部に鋭い痛みを感じる。
だが、手を伸ばせば治療の跡。全身には包帯が丁寧に巻かれ止血は勿論、骨折の治療までしてあった。
「⋯⋯っ」
薄暗くてよく見えなかったが自分が今いる場所はベットの上。そして——
「ゼェ、レ⋯⋯?」
レイジ の頬に一つ時の涙が通った。
ベットの端、そこには自分の両腕を枕に穏やかな寝息を立てている ゼーレ の姿があった。
「⋯⋯」
レイジ は流れる涙を片手で拭いながらもう片方の手で ゼーレ の頭を優しく触れた。
「⋯⋯ん⋯⋯ぅ」
ゼーレ が身動ぎし反応したが直ぐに穏やかな寝息を立てた。レイジ は優しく、優しくその白い頭を撫でた。
冒険者と騎士団との戦いの中では考えることもできなかった平穏な時間。そして、無粋にも邪魔する者がいた。
「よぉ、起きたか?」
「——ッ!」
突然だった。誰もいないと思っていた昏い場所から声を掛けられた。
レイジ は咄嗟に立ち上がろうとしたが背中の痛みが強く、思った通りに動けない。
「まぁまぁ、そんな慌てるな。別に取って食おうだなんて思っちゃいねえよ」
「お、お前は⋯⋯!」
コツコツ、と靴音を鳴らし両肩を竦めながら一人の男が姿を見せた。
「⋯⋯マーダ」
「久しぶりだな。数ヶ月ぶりか?」
レイジ は目を見開いた。驚きで彩られたその表情に マーダ はまるで旧友に会った時のようにカラカラと笑顔を向けた。
「何故お前がここにいる!」
「そりゃあ、ここが俺の今の拠点だからだぜ?」
「きょ、てん⋯⋯だと?」
「そうだ。せっかく助けてやったのにその挨拶はあんまりだぜ?」
「助けてって⋯⋯まさかッ!」
「そうそう、あの時、お前が冒険者と騎士団の連中に囲まれたところを助けてやったのは俺だぜ? ちなみに治療もな」
レイジ は再度驚いた。
追いかけ、殺すつもりでいた相手にまさか助けられて治療までしてもらったこの状況に。故に——
「⋯⋯なにが目的だ?」
疑わざるを得ななかった。
今直ぐにでも巻かれている包帯を全て取り毒か何かが塗られていないか、飲まされていないか調べたいくらいだ。だが、今この状況では得策ではないことを レイジ は理解していた。
動けない体、手元から離れている武器はそもそもどこにあるかわからない。そして決め手は ゼーレ を連れて逃げず、下手に外に出ても脳裏に映る数秒前までの出来事。
「目的、ねぇ⋯⋯ま、確かに打算ありきで動いたのは確かだな」
「やっぱりかッ!」
「だがそう身構えるな。さっきも言ったが別に俺はお前達を⋯⋯いや、お前を殺すつもりはねぇよ」
「その言い方じゃあ、俺は生かすが ゼーレは殺す、と言っているように聞こえるぞ」
「俺は殺さねぇよ。殺すかどうかは——」
そう言って マーダ は レイジ に近ずき、人差し指を レイジ に向かって指した。
「——お前次第、だ」
「俺次第⋯⋯だと?」
「ああ」
「なら殺さない」
「かー、一応は説明を聞いてから結論を出せよ」
「結論は変わらない。俺が殺すのは ゼーレ じゃなくてお前だ!」
「俺を殺すか? プハハハハ、その体でか?」
マーダ は片手で口を押さえながら大きな声で笑った。
笑っている最中、 レイジ の視線に気づき 「わるい わるい」と言って笑い声を収めた。
しかし、目尻には何がそんなに面白かったのか涙がわずかに浮かんでいるほどだ。
「で、俺を殺すか。あの影魔法の嬢ちゃんから呪印を解くためか?」
「⋯⋯そうだ」
「いいぜ、ホイっと。これで解けたぞ」
「⋯⋯は?」
マーダ は軽い口調で指を一回鳴らすとそう主張した。対して、 レイジ は目が点になった。
「⋯⋯ふざけているのか?」
「遊んじゃあいねぇよ。もうあの呪印に意味はねえし、本当に解けてる。嘘だと思うなら今すぐダンジョンに戻って確かめて見な」
「⋯⋯」
巫山戯た様子もなく真剣な表情で マーダ は答える。
レイジ は何処か胡散臭さを感じるが確かめようがない限り何とも言えないし、この状況では マーダ を殺すこともできない。
「⋯⋯なら、仮に解かれたとして、何の意味があって呪印を施した?」
「あー、ま、そうするわな。理由は簡単だ、そこの嬢ちゃんを殺してもらおうと思ってだよ」
「——ッ!」
マーダ の台詞に レイジ は反応し ゼーレ を僅かに引き寄せ、両手で守る形をとった。それと同時に、鋭い眼差しを マーダ に送りつけた。
「そう怖い顔するな。もう用はねぇって言ったろ?」
「なぜ⋯⋯ゼーレを狙う?」
「俺的には大して意味がねぇんだ。ただチャンスがあったから殺そうかと思っただけだよ」
「チャンス⋯⋯? 意味が無い? どう言う意味だ!」
「あー、簡単に言うとだな⋯⋯俺はお前を助けようと思ったわけだ」
「俺を⋯⋯助ける?」
「そう、助けるためだ」
聞き返す レイジ に マーダ はゆっくりと続けた。
「ソイツは特殊な魔物だろ?」
「⋯⋯」
「沈黙は肯定と考えるぞ? 俺も理由はわからんがお前達ダンジョンマスターにとってソイツ等のような特殊な魔物は不利益になるらしいぞ」
「ゼーレ が不利益だとッ!」
レイジ は声を張り上げ抗議した。
思え返す中で ゼーレ が不利益に原因になったことは一度も無い⋯⋯たまに言い忘れて面倒ごとになったことはあったが、些細な事だとレイジは思った。
「ま、俺も大して知っているわけじゃあねぇからこれ以上は言わねぇし、手も出さねぇよ。だから——」
そう言って マーダ は何処からか取り出した一本のナイフをベットの脇に突き立てた。
「お前次第だ」
場を沈黙が支配する。
マーダ は一際真剣な表情で レイジ を見ていた。その表情からは嘘を言っているようには感じなかった。だが——
「⋯⋯悪いがゼーレを殺すくらいなら俺はその不利益を被った方がマシだ。だから、これは要らない」
そう言って レイジ は脇に刺さったナイフを抜き、マーダ に返した。
「⋯⋯そうかい」
ナイフを返された マーダ はどこか納得の表情で受け取り、何処かにそのナイフを消した。
「それじゃあ、その話はいいとしてここからが本題だ」
「本題だ?」
「お前を助けた理由だよ」
「打算ありき、って言ったか」
「そうだ。背中の痛みはあるかも知れんがすぐに動けるようになる。ま、一ヶ月近くも寝てたんだからな」
「い、一ヶ月だとッ!?」
マーダ の発言に レイジ は声をあげた。
流石に何度も起きな声を上げたせいかベットの脇で寝ていた ゼーレ が目を覚ました。
「⋯⋯ふぇ、もう朝⋯⋯?」
眠い目を擦りながら寝言のように口を開き、そのハッキリしない目でキョロキョロと周囲を見渡した。
「⋯⋯あれ?」
寝起きの顔...口元に垂れたヨダレを拭きながら レイジ を視界に入れた。
「お兄⋯⋯ちゃん⋯⋯?」
ゼーレ は拭う手の動きを止め レイジ に飛び付いた。
「大丈夫っ!? お兄ちゃん起きても大丈夫なのっ!」
「あ、ああ」
「お兄ちゃんっ! お兄ちゃんっ!⋯⋯本当に、心配したんだから⋯⋯!」
何度も何度も呼ぶその声は段々とと弱くなっていき——、
「本当に⋯⋯良かったよぉ」
涙をボロボロと流しながら、抱きついた手の力も弱くなりながら——
「うわああああああああああああぁぁんっ!!」
ゼーレ は口を大きく開け大声で泣いた。
枯れてしまうのでは無いかと心配するほどの泣き声は治らず、顔を レイジ の胸に押し当てる。
再度、腕を腰に回し力を強める。
もう二度と離れたく無い、そんな思いを感じるほどに。
「⋯⋯ゼーレ」
レイジ も ゼーレ の背中に手を回し、空いている手で優しく ゼーレ の後ろ頭を撫でる。
普段はサラサラと指が通るその髪も今は何処か行き詰まり、それだけずっとそばに居てくれたことを感じさせる。
「おにいぢゃんっ! おにいぢゃんっ! 生ぎてでよがったよっ!ほんどに死んじゃっだがどおぼったよっ!」
「あぁ、生きてるよ⋯⋯ありがとな」
「うわあああああああああぁぁんっ!」
何度も何度も流す涙に熱を感じ
何度も何度も返す力に絆を感じ
何度も何度も呼ぶ声に命を感じ
そうして、レイジ と ゼーレ は暫くの間、生きていることを感じた。
人間の三大欲求の一つ睡眠欲。
疲労や痛みの感覚を消し去り、休息や治療の時間を生み出す。
ただ、それは暗い闇の中で一秒か一分か、はたまた一時間か一日か。
闇の中で過ごす時間は果てしなく、それは果たして本当に生きているのか。
一週間か、一ヶ月か、一年か、十年か。
昏睡状態の願われる者、植物人間となってしまったか弱き者。
極論を言えば、目が覚めるならそれは生きているだろう。意識があろうと無かろうと。
目が覚めないならそれは死と同じかも知れない。呼吸が続きようが続かなかろうが。
そして——
「⋯⋯ここは?」
レイジ は薄暗い部屋の中知らない天井を見て呟いた。
「⋯⋯いっ!」
周囲を見ようと上半身だけ起こすが、背部に鋭い痛みを感じる。
だが、手を伸ばせば治療の跡。全身には包帯が丁寧に巻かれ止血は勿論、骨折の治療までしてあった。
「⋯⋯っ」
薄暗くてよく見えなかったが自分が今いる場所はベットの上。そして——
「ゼェ、レ⋯⋯?」
レイジ の頬に一つ時の涙が通った。
ベットの端、そこには自分の両腕を枕に穏やかな寝息を立てている ゼーレ の姿があった。
「⋯⋯」
レイジ は流れる涙を片手で拭いながらもう片方の手で ゼーレ の頭を優しく触れた。
「⋯⋯ん⋯⋯ぅ」
ゼーレ が身動ぎし反応したが直ぐに穏やかな寝息を立てた。レイジ は優しく、優しくその白い頭を撫でた。
冒険者と騎士団との戦いの中では考えることもできなかった平穏な時間。そして、無粋にも邪魔する者がいた。
「よぉ、起きたか?」
「——ッ!」
突然だった。誰もいないと思っていた昏い場所から声を掛けられた。
レイジ は咄嗟に立ち上がろうとしたが背中の痛みが強く、思った通りに動けない。
「まぁまぁ、そんな慌てるな。別に取って食おうだなんて思っちゃいねえよ」
「お、お前は⋯⋯!」
コツコツ、と靴音を鳴らし両肩を竦めながら一人の男が姿を見せた。
「⋯⋯マーダ」
「久しぶりだな。数ヶ月ぶりか?」
レイジ は目を見開いた。驚きで彩られたその表情に マーダ はまるで旧友に会った時のようにカラカラと笑顔を向けた。
「何故お前がここにいる!」
「そりゃあ、ここが俺の今の拠点だからだぜ?」
「きょ、てん⋯⋯だと?」
「そうだ。せっかく助けてやったのにその挨拶はあんまりだぜ?」
「助けてって⋯⋯まさかッ!」
「そうそう、あの時、お前が冒険者と騎士団の連中に囲まれたところを助けてやったのは俺だぜ? ちなみに治療もな」
レイジ は再度驚いた。
追いかけ、殺すつもりでいた相手にまさか助けられて治療までしてもらったこの状況に。故に——
「⋯⋯なにが目的だ?」
疑わざるを得ななかった。
今直ぐにでも巻かれている包帯を全て取り毒か何かが塗られていないか、飲まされていないか調べたいくらいだ。だが、今この状況では得策ではないことを レイジ は理解していた。
動けない体、手元から離れている武器はそもそもどこにあるかわからない。そして決め手は ゼーレ を連れて逃げず、下手に外に出ても脳裏に映る数秒前までの出来事。
「目的、ねぇ⋯⋯ま、確かに打算ありきで動いたのは確かだな」
「やっぱりかッ!」
「だがそう身構えるな。さっきも言ったが別に俺はお前達を⋯⋯いや、お前を殺すつもりはねぇよ」
「その言い方じゃあ、俺は生かすが ゼーレは殺す、と言っているように聞こえるぞ」
「俺は殺さねぇよ。殺すかどうかは——」
そう言って マーダ は レイジ に近ずき、人差し指を レイジ に向かって指した。
「——お前次第、だ」
「俺次第⋯⋯だと?」
「ああ」
「なら殺さない」
「かー、一応は説明を聞いてから結論を出せよ」
「結論は変わらない。俺が殺すのは ゼーレ じゃなくてお前だ!」
「俺を殺すか? プハハハハ、その体でか?」
マーダ は片手で口を押さえながら大きな声で笑った。
笑っている最中、 レイジ の視線に気づき 「わるい わるい」と言って笑い声を収めた。
しかし、目尻には何がそんなに面白かったのか涙がわずかに浮かんでいるほどだ。
「で、俺を殺すか。あの影魔法の嬢ちゃんから呪印を解くためか?」
「⋯⋯そうだ」
「いいぜ、ホイっと。これで解けたぞ」
「⋯⋯は?」
マーダ は軽い口調で指を一回鳴らすとそう主張した。対して、 レイジ は目が点になった。
「⋯⋯ふざけているのか?」
「遊んじゃあいねぇよ。もうあの呪印に意味はねえし、本当に解けてる。嘘だと思うなら今すぐダンジョンに戻って確かめて見な」
「⋯⋯」
巫山戯た様子もなく真剣な表情で マーダ は答える。
レイジ は何処か胡散臭さを感じるが確かめようがない限り何とも言えないし、この状況では マーダ を殺すこともできない。
「⋯⋯なら、仮に解かれたとして、何の意味があって呪印を施した?」
「あー、ま、そうするわな。理由は簡単だ、そこの嬢ちゃんを殺してもらおうと思ってだよ」
「——ッ!」
マーダ の台詞に レイジ は反応し ゼーレ を僅かに引き寄せ、両手で守る形をとった。それと同時に、鋭い眼差しを マーダ に送りつけた。
「そう怖い顔するな。もう用はねぇって言ったろ?」
「なぜ⋯⋯ゼーレを狙う?」
「俺的には大して意味がねぇんだ。ただチャンスがあったから殺そうかと思っただけだよ」
「チャンス⋯⋯? 意味が無い? どう言う意味だ!」
「あー、簡単に言うとだな⋯⋯俺はお前を助けようと思ったわけだ」
「俺を⋯⋯助ける?」
「そう、助けるためだ」
聞き返す レイジ に マーダ はゆっくりと続けた。
「ソイツは特殊な魔物だろ?」
「⋯⋯」
「沈黙は肯定と考えるぞ? 俺も理由はわからんがお前達ダンジョンマスターにとってソイツ等のような特殊な魔物は不利益になるらしいぞ」
「ゼーレ が不利益だとッ!」
レイジ は声を張り上げ抗議した。
思え返す中で ゼーレ が不利益に原因になったことは一度も無い⋯⋯たまに言い忘れて面倒ごとになったことはあったが、些細な事だとレイジは思った。
「ま、俺も大して知っているわけじゃあねぇからこれ以上は言わねぇし、手も出さねぇよ。だから——」
そう言って マーダ は何処からか取り出した一本のナイフをベットの脇に突き立てた。
「お前次第だ」
場を沈黙が支配する。
マーダ は一際真剣な表情で レイジ を見ていた。その表情からは嘘を言っているようには感じなかった。だが——
「⋯⋯悪いがゼーレを殺すくらいなら俺はその不利益を被った方がマシだ。だから、これは要らない」
そう言って レイジ は脇に刺さったナイフを抜き、マーダ に返した。
「⋯⋯そうかい」
ナイフを返された マーダ はどこか納得の表情で受け取り、何処かにそのナイフを消した。
「それじゃあ、その話はいいとしてここからが本題だ」
「本題だ?」
「お前を助けた理由だよ」
「打算ありき、って言ったか」
「そうだ。背中の痛みはあるかも知れんがすぐに動けるようになる。ま、一ヶ月近くも寝てたんだからな」
「い、一ヶ月だとッ!?」
マーダ の発言に レイジ は声をあげた。
流石に何度も起きな声を上げたせいかベットの脇で寝ていた ゼーレ が目を覚ました。
「⋯⋯ふぇ、もう朝⋯⋯?」
眠い目を擦りながら寝言のように口を開き、そのハッキリしない目でキョロキョロと周囲を見渡した。
「⋯⋯あれ?」
寝起きの顔...口元に垂れたヨダレを拭きながら レイジ を視界に入れた。
「お兄⋯⋯ちゃん⋯⋯?」
ゼーレ は拭う手の動きを止め レイジ に飛び付いた。
「大丈夫っ!? お兄ちゃん起きても大丈夫なのっ!」
「あ、ああ」
「お兄ちゃんっ! お兄ちゃんっ!⋯⋯本当に、心配したんだから⋯⋯!」
何度も何度も呼ぶその声は段々とと弱くなっていき——、
「本当に⋯⋯良かったよぉ」
涙をボロボロと流しながら、抱きついた手の力も弱くなりながら——
「うわああああああああああああぁぁんっ!!」
ゼーレ は口を大きく開け大声で泣いた。
枯れてしまうのでは無いかと心配するほどの泣き声は治らず、顔を レイジ の胸に押し当てる。
再度、腕を腰に回し力を強める。
もう二度と離れたく無い、そんな思いを感じるほどに。
「⋯⋯ゼーレ」
レイジ も ゼーレ の背中に手を回し、空いている手で優しく ゼーレ の後ろ頭を撫でる。
普段はサラサラと指が通るその髪も今は何処か行き詰まり、それだけずっとそばに居てくれたことを感じさせる。
「おにいぢゃんっ! おにいぢゃんっ! 生ぎてでよがったよっ!ほんどに死んじゃっだがどおぼったよっ!」
「あぁ、生きてるよ⋯⋯ありがとな」
「うわあああああああああぁぁんっ!」
何度も何度も流す涙に熱を感じ
何度も何度も返す力に絆を感じ
何度も何度も呼ぶ声に命を感じ
そうして、レイジ と ゼーレ は暫くの間、生きていることを感じた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
雷王、大いに懊悩す~ラスボス魔王、使命を果たして元の世界に戻りたくない異世界転移チート勇者によって全力で延命させられるの巻~
朽縄咲良
ファンタジー
――「要するに、アンタには死なれちゃ困るんだよ。俺が、この異世界で幸せな一生を送って、天寿を全うするまで、な」
魔族を統べる魔王イラ・ギャレマスは、自身の城へと攻め込んできた“伝説の四勇士”の三人、ジェレミィア・ファミィ・エラルティスを、その圧倒的な力を以て圧倒する。
残るは、黒髪黒目の冴えない男――シュータ・ナカムラのみ。
だが……シュータは、魔法陣で三人の仲間を魔王城の遥か彼方へと吹っ飛ばし、ただひとりで魔王と対峙する。
――そして、二十分後。
不様に大理石の床に這いつくばっていたのは、魔王ギャレマスの方だった。
シュータの繰り出す圧倒的なチート攻撃の前に為す術もないギャレマスは、自身の敗北と迫りくる死を覚悟するが、そんな彼に対し、シュータは不敵な笑みを浮かべながら、意外な提案を持ちかけるのだった――。
「なぁ、魔王。ここはひとつ、手を組もうぜ……!」
『地上最強の生物』だが、めっぽうお人好しで、バカが付くくらいに娘の事を溺愛している中年オヤj……ナイスミドル(忖度)の魔王が、反則級のチートマシマシ異世界転移勇者をはじめとした周囲の者たちに翻弄されまくるコメディファンタジー、ここに開幕!
哀れな魔王の、明日はどっちだ……?
(表紙イラストは、ペケさんから戴きました)
*小説家になろう・ノベルアッププラスにも、同作品を掲載しております。
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ
月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。
こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。
そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。
太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。
テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる