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4章〜崩れて壊れても私はあなたの事を——〜
92話「崩壊の招き人5」
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ーレイジ、ミサキ vs アレックスー
最初の一太刀を契機に戦闘は激しさを増していた。
アレックス の剣線は全て レイジ に集約されていた。最初は魔力を剣に付与し戦っていたが レイジ によって吸収される事をすぐに勘付き今は素の状態で剣を振っている。
「オラオラオラァ!」
「くっ⋯⋯!」
強靭な肉体から放たれる攻撃は一撃一撃の全てが致命傷になり得ると錯覚させる程だった。
そして、レイジ もギリギリの所で受け、避けたりしている。しかし、数合しか打ち合っていないのにも関わらず、手に痺れが現れている。
「冗談だろ⋯⋯!」
「そんなもんかぁ!」
僅かな鈍りが レイジ の手首から駆ける繊細な蛇腹の扱いを邪魔する。
直剣の蛇腹を伸ばし アレックス の剣に絡め隙を作ろうとするが、先端から半分までを明後日の方向に弾かれる。
「しまっ⋯⋯!」
仕掛けた布石を逆に利用される。
先端を折り返そうとするが、痺れが邪魔をし上手く操作がきかない。
「終わりだ!」
「ん⋯⋯!」
切り返される アレックス の剣。しかし、その必殺の一撃もタイミングを合わせた ミサキ が持つ技能『神速』で外しにかかる。
「チッ、また貴様か!」
ミサキ に注意が向いた瞬間を逃さず レイジ が妖刀の意思を借りながら妖刀の先端を飛ばす。
「フンッ!」
幾ら注意を逸らそうと、死角からの攻撃を仕掛けようと、まるで全て見えているかのように アレックス はその先端を手の甲に付いている鎧で弾いた。
「小細工ばかり。所詮はこの程度か」
「これが俺達の戦い方だよ」
「⋯⋯ん」
「こんなカス共に娘が殺される⋯⋯それが憎くて仕方ねえなあああああぁぁ!」
「なっ!?」
叫び。
その雄々しくも悲しみで彩られた雄叫びは レイジ と ミサキ の肌をビリビリと刺激する。
そして、腹の底から湧き上がる憎しみを彷彿させるかのように金色のオーラがアレックスを包み込む。
「茶番は終いだ——『天を背負う勇気』」
次の瞬間、アレックス は消えた。そして、続くように広場の壁に何かが衝突した轟音が響き渡った。
「⋯⋯は?」
あまりに瞬間的な出来事に レイジ の中に空白の時間ができた。そして、音のした方へ目を向けると——
「⋯⋯み、ミサキ?」
崩れた壁の岩、それらの下敷きになっている ミサキ の姿があった。
叩きつけられた、そうとしか言えない状況だった。それも壁を破壊するほど強力な力で。
「面倒な魔物だ。まさか、ここまで技能を解放した俺の速度に反応し、貴様を守ったのだからな」
「それ⋯⋯じゃあ⋯⋯」
「速度は驚いたが軽い。そして——」
言葉の続きを告げる前に アレックス がレイジの視界から再度消えた。
「——次はお前が死ぬ」
その声は レイジ の背後、完全なる死角から発せられた。
「——ッ!」
何十何百という ミサキ との訓練の賜物だろう、アレックス の速度に振り返ることだけはできた。
しかし、捉えることしかできなかった。焼き付けられるように、白銀の戦士が美しい剣を振り下ろす。
次に見えるのは赤く染まる視界、そんな錯覚を脳が作り出す——
「お、お前は⋯⋯!」
——はずが、アレックスの驚愕によって現実に引き戻された。
「よぉ⋯⋯随分とまぁ、やられっぱなしじゃねぇか」
レイジ の視界は赤ではなく黒——深淵の闇を彷彿させる漆黒がレイジから這い出るように現れた。
◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾
ーエイナ vs ザットー
レイジ への奇襲を仕掛けた ザット はその会心の一撃を エイナ によって防がれてしまった。
「まさか俺の暗殺に勘付ける奴がいるとはな」
「影の薄さを自慢ですかぁ?」
「⋯⋯隠密性が高い、と言って欲しいな」
オブラートに包んだ自分の言い方を切り捨てるような形で言う エイナ。
言われた ザット のこめかみに若干だが青色が立って見える。
「⋯⋯自分で言うのは納得するけど、人に言われるのはどうも苛立つな」
「お気になさらずにぃ。私は貴方を見るよりお兄様を見つめていたいのでぇ」
ねっとりとしたその言い方、トロンとしたその瞳。恋する乙女さながらの エイナ を目の当たりにする ザット。
恐らく、この手の思い寄せられることがなかったのだろう、恋少なき少年は顔を引攣らせてしまう。
「あんま俺を——」
嫉妬心を燃やし、悔しさをバネにザットは周囲の景色と一体化する。そして——、
「舐めんじゃねええぇっ!」
次に現れたのは エイナ の背後。限界まで登った怒りを乗せ、両手に持つ二本の短刀を エイナ の首筋に振り下ろす。
気配を殺し、背後に回り死角を奪い、奇襲する。暗殺者としては最高の攻撃であったが——
「こちらですよぉ?」
「⋯⋯は?」
いかんせん相手が悪すぎた。
ザット の二本の短刀は空を切る。
そう、確実に捉えたと思われた エイナ の首は短刀を振り下ろした瞬間に忽然と消えたのだ。
そして、声が掛けられたのは ザット の背中から。
背後を取ったと思ったのにいつの間にか形成が逆転していた。
そのあまりの非現実に ザット は一瞬唖然とするが直ぐに意識を現実に呼び起こした。しかし——
「はい、お終いですよぉ」
その一瞬が命取りとなった。
ザット がその場から離れようと足に力を入れるその前に影が蠢いた。
「う、うわぁ!?」
蠢く影は ザット の逃げる手段を奪う。
足に絡みつき、下半身の動きを封じ、抵抗する腕を縛り上げ、呼吸する顔を覆う。
「ふぐー!うー!」
なんとか脱出を試みる ザット。しかし、どんなに力を込めても、どれ程大きく身を捩ってもその拘束は一切緩まない。
「では、さよならですよぉ」
エイナ が右手を上げ開いた掌を握った。
「グボォッ!」
たったそれだけ、たったそれだけで影に縛られた ザット は身体をグチャグチャに潰された。
口や目、爪の間などの隙間からは大量の液体が溢れ、それらは大きく飛び散り周囲を一種の芸術のように彩った。
「さぁてお兄様ぁ! 私が今直ぐ行きますわぁ!」
エイナ はどこか上機嫌に最も危険な戦場へ赴いた。
どれほど傷つくこうと、どれほど危険があろうと、どれほど恐怖が跋扈してようと、その曇った瞳には愛する人以外は見えていないのかもしれない。
病みが深まった。
そう表現するのが正しいだろう、一体の怪物が レイジ の援護に向かっていった。
◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾
ーーーーー
名前:エイナ
種族:霊種
性別:女
Lv:44 → 88
HP:D → C
MP:C → B
技能:影魔法<6>、呪魔法<5>(New)、狂気の瞳<->(New)
称号:影の主、眠り姫(New)、這い寄る者(New)
ーーーーー
ーーーーー
狂気の瞳<->
等級:A
あらゆる状態異常を無効化する。
ただ一つの為に全てを賭し、潜在的な力を呼び起こすことがある。
ーーーーー
ーーーーー
眠り姫
長い時間眠り、眠っていた時間を惜しみ、悔やみ、戻ることを切に願う者に与えられる称号。
眠っている時のみ、時間を何度も繰り返すことができる。
ーーーーー
ーーーーー
這い寄る者
一つの存在に異常なまでに執着した者に与えられる称号。
長い間、ただひたすらに想うその気持ちが更なる力を与えてくれる。
ーーーーー
最初の一太刀を契機に戦闘は激しさを増していた。
アレックス の剣線は全て レイジ に集約されていた。最初は魔力を剣に付与し戦っていたが レイジ によって吸収される事をすぐに勘付き今は素の状態で剣を振っている。
「オラオラオラァ!」
「くっ⋯⋯!」
強靭な肉体から放たれる攻撃は一撃一撃の全てが致命傷になり得ると錯覚させる程だった。
そして、レイジ もギリギリの所で受け、避けたりしている。しかし、数合しか打ち合っていないのにも関わらず、手に痺れが現れている。
「冗談だろ⋯⋯!」
「そんなもんかぁ!」
僅かな鈍りが レイジ の手首から駆ける繊細な蛇腹の扱いを邪魔する。
直剣の蛇腹を伸ばし アレックス の剣に絡め隙を作ろうとするが、先端から半分までを明後日の方向に弾かれる。
「しまっ⋯⋯!」
仕掛けた布石を逆に利用される。
先端を折り返そうとするが、痺れが邪魔をし上手く操作がきかない。
「終わりだ!」
「ん⋯⋯!」
切り返される アレックス の剣。しかし、その必殺の一撃もタイミングを合わせた ミサキ が持つ技能『神速』で外しにかかる。
「チッ、また貴様か!」
ミサキ に注意が向いた瞬間を逃さず レイジ が妖刀の意思を借りながら妖刀の先端を飛ばす。
「フンッ!」
幾ら注意を逸らそうと、死角からの攻撃を仕掛けようと、まるで全て見えているかのように アレックス はその先端を手の甲に付いている鎧で弾いた。
「小細工ばかり。所詮はこの程度か」
「これが俺達の戦い方だよ」
「⋯⋯ん」
「こんなカス共に娘が殺される⋯⋯それが憎くて仕方ねえなあああああぁぁ!」
「なっ!?」
叫び。
その雄々しくも悲しみで彩られた雄叫びは レイジ と ミサキ の肌をビリビリと刺激する。
そして、腹の底から湧き上がる憎しみを彷彿させるかのように金色のオーラがアレックスを包み込む。
「茶番は終いだ——『天を背負う勇気』」
次の瞬間、アレックス は消えた。そして、続くように広場の壁に何かが衝突した轟音が響き渡った。
「⋯⋯は?」
あまりに瞬間的な出来事に レイジ の中に空白の時間ができた。そして、音のした方へ目を向けると——
「⋯⋯み、ミサキ?」
崩れた壁の岩、それらの下敷きになっている ミサキ の姿があった。
叩きつけられた、そうとしか言えない状況だった。それも壁を破壊するほど強力な力で。
「面倒な魔物だ。まさか、ここまで技能を解放した俺の速度に反応し、貴様を守ったのだからな」
「それ⋯⋯じゃあ⋯⋯」
「速度は驚いたが軽い。そして——」
言葉の続きを告げる前に アレックス がレイジの視界から再度消えた。
「——次はお前が死ぬ」
その声は レイジ の背後、完全なる死角から発せられた。
「——ッ!」
何十何百という ミサキ との訓練の賜物だろう、アレックス の速度に振り返ることだけはできた。
しかし、捉えることしかできなかった。焼き付けられるように、白銀の戦士が美しい剣を振り下ろす。
次に見えるのは赤く染まる視界、そんな錯覚を脳が作り出す——
「お、お前は⋯⋯!」
——はずが、アレックスの驚愕によって現実に引き戻された。
「よぉ⋯⋯随分とまぁ、やられっぱなしじゃねぇか」
レイジ の視界は赤ではなく黒——深淵の闇を彷彿させる漆黒がレイジから這い出るように現れた。
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ーエイナ vs ザットー
レイジ への奇襲を仕掛けた ザット はその会心の一撃を エイナ によって防がれてしまった。
「まさか俺の暗殺に勘付ける奴がいるとはな」
「影の薄さを自慢ですかぁ?」
「⋯⋯隠密性が高い、と言って欲しいな」
オブラートに包んだ自分の言い方を切り捨てるような形で言う エイナ。
言われた ザット のこめかみに若干だが青色が立って見える。
「⋯⋯自分で言うのは納得するけど、人に言われるのはどうも苛立つな」
「お気になさらずにぃ。私は貴方を見るよりお兄様を見つめていたいのでぇ」
ねっとりとしたその言い方、トロンとしたその瞳。恋する乙女さながらの エイナ を目の当たりにする ザット。
恐らく、この手の思い寄せられることがなかったのだろう、恋少なき少年は顔を引攣らせてしまう。
「あんま俺を——」
嫉妬心を燃やし、悔しさをバネにザットは周囲の景色と一体化する。そして——、
「舐めんじゃねええぇっ!」
次に現れたのは エイナ の背後。限界まで登った怒りを乗せ、両手に持つ二本の短刀を エイナ の首筋に振り下ろす。
気配を殺し、背後に回り死角を奪い、奇襲する。暗殺者としては最高の攻撃であったが——
「こちらですよぉ?」
「⋯⋯は?」
いかんせん相手が悪すぎた。
ザット の二本の短刀は空を切る。
そう、確実に捉えたと思われた エイナ の首は短刀を振り下ろした瞬間に忽然と消えたのだ。
そして、声が掛けられたのは ザット の背中から。
背後を取ったと思ったのにいつの間にか形成が逆転していた。
そのあまりの非現実に ザット は一瞬唖然とするが直ぐに意識を現実に呼び起こした。しかし——
「はい、お終いですよぉ」
その一瞬が命取りとなった。
ザット がその場から離れようと足に力を入れるその前に影が蠢いた。
「う、うわぁ!?」
蠢く影は ザット の逃げる手段を奪う。
足に絡みつき、下半身の動きを封じ、抵抗する腕を縛り上げ、呼吸する顔を覆う。
「ふぐー!うー!」
なんとか脱出を試みる ザット。しかし、どんなに力を込めても、どれ程大きく身を捩ってもその拘束は一切緩まない。
「では、さよならですよぉ」
エイナ が右手を上げ開いた掌を握った。
「グボォッ!」
たったそれだけ、たったそれだけで影に縛られた ザット は身体をグチャグチャに潰された。
口や目、爪の間などの隙間からは大量の液体が溢れ、それらは大きく飛び散り周囲を一種の芸術のように彩った。
「さぁてお兄様ぁ! 私が今直ぐ行きますわぁ!」
エイナ はどこか上機嫌に最も危険な戦場へ赴いた。
どれほど傷つくこうと、どれほど危険があろうと、どれほど恐怖が跋扈してようと、その曇った瞳には愛する人以外は見えていないのかもしれない。
病みが深まった。
そう表現するのが正しいだろう、一体の怪物が レイジ の援護に向かっていった。
◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾
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名前:エイナ
種族:霊種
性別:女
Lv:44 → 88
HP:D → C
MP:C → B
技能:影魔法<6>、呪魔法<5>(New)、狂気の瞳<->(New)
称号:影の主、眠り姫(New)、這い寄る者(New)
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狂気の瞳<->
等級:A
あらゆる状態異常を無効化する。
ただ一つの為に全てを賭し、潜在的な力を呼び起こすことがある。
ーーーーー
ーーーーー
眠り姫
長い時間眠り、眠っていた時間を惜しみ、悔やみ、戻ることを切に願う者に与えられる称号。
眠っている時のみ、時間を何度も繰り返すことができる。
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這い寄る者
一つの存在に異常なまでに執着した者に与えられる称号。
長い間、ただひたすらに想うその気持ちが更なる力を与えてくれる。
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