怪力貴公子にハートを脅かされています

温風

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第一章 家庭教師と怪力貴公子

熱に染まる *R18*

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 刻一刻と僕の体は火照りを増していった。
 男の部分が下衣を突き破りそうなほど張り詰めている。痛いうえに、熱を持った体は衣服と擦れるだけで、鞭打たれたように痺れてしまう。下半身はとうにぐずぐずで、足に力が入らない。
 呂律も回らなくなっていて、自分の体が思うようにならないことが悲しかった。フォルテさまに抱え上げられて広間を出て、階上へと移動する。

 寝かされたのは天蓋の付いた寝台だ。王宮内の客室だろうか。
 フォルテさまが部屋の戸締まりを念入りに確認した。上衣を脱ぎつつ、水の入ったデキャンタやコップを持ってきて飲ませてくれた。

「さっすが王宮、気の効いたもんがある」

 そういって、寝台の傍にある引き出しから花の香油を取り出した。おそらく特殊な用途の物だが……フォルテさまはご存じなのか。
 ぼやぼやしていたら上を脱がされ、下穿きも引き下ろされて、素っ裸で仰向けに寝かされた。下肢に冷たい液体がかけられる。香油だ。強い薔薇の香りがして、体の疼きがひときわ強くなった。

「あっ、あぁっ!」

 とろりとした油が、そそり立った屹立を流れる。たったそれだけのささやかな刺激で、頭が真っ白になった。

「……ぶっかけただけでイったのか? 媚薬すげぇな」

 冷静なフォルテさまの声が憎らしい。
 だけど頭の回路が快楽で灼き焦げたみたいになって、発散することしか考えられなくなっている。

「サフィ」

 頬の輪郭に沿うように、フォルテさまの手が添えられた。

「苦しいか?」
「くるし……ぅ、ンっ……」

 フォルテさまの腕に縋りつくようにして頷く。
 苦しいだけならまだよかった。脳が焼き切れそうなほど欲望に疼くこの姿を見られるのは恥ずかしいし、とても辛い。
 顔を腕で隠そうとするが、手首を掴まれて、顔の両側で優しく押さえつけられた。

「ごめん、ごめんな……狙われたのは俺なのに」

 苦しげな息と共に、僕の額に唇が落ちた。そのやわらかさと熱さに「あっん」と淫らな声が零れる。体に与えられる刺激はすべて、性的な快感に変換されるのだ。情けなさに涙が滲んだ。
 ぽろぽろと涙を零すと、包み込むようにフォルテさまの体が重なった。
 腿に硬いものが当たる。フォルテさまも勃っているのだ。
 額から移動した唇がまぶたに降りてきて、目尻から溢れた涙を啜る。唇が皮膚の薄いところを這い、その感覚に体をよじった。耳朶を甘く噛まれ、歯を立てられ、びくびくと体が震える。
 獣が獲物にとどめをさすように、フォルテさまの唇が首に降りた。

「ここ、良い匂いがする……サフィの匂いだ」

 首筋を唇でなぞって、顔を胸元に埋めた。赤い髪がくすぐったい。
 逞しい十八歳の体が僕の上にのしかかる。フォルテさまの肉体はよく磨かれた鋼のようで、同じ男の体とは思えなかった。
 その指が胸の粒に触れて、捏ねるように摘んだ。女性のものと違ってさほど膨らんでもいないそこを潰されるように揉まれると、だんだん熱が集まって、妖しい欲望がむくむくと膨らみはじめた。

「あ、ぁ……んぁっ……」

 啜り泣くように喘いで、逞しい腕に縋りつく。羞恥で縮こまろうとする体を押し開くように、腿の間に膝を割り入れられた。
 不安になってフォルテさまを見つめると、熱い視線で見つめ返された。

「また膨らんできたな」

 僕の器官は緩く立ち上がりかけていて、透明な汁を流している。媚薬効果なのだと思う。自分の体も性欲も、いつもの自分ではない。

「もう一度、出すか?」

 フォルテさまの手が伸びてきて僕の中心を握り込み、勢いよく扱きあげていく。親指の腹が鈴口から裏筋を辿り、手でつくった筒が竿を上下して擦り上げられる。
 自慰より強い、人の手の刺激。口からは、自分の声とは思いたくない嬌声が飛び出した。

「あっ、あんっ……ふぁ、ぅあっ……!」
「サフィ、可愛い……こんなとこもきれいで……可愛い」

 フォルテさまの声がうわずっている。僕の中心はあっけなく陥落し、白濁を噴きこぼした。
 肩の上に僕の足を抱え上げ、これまで意識したことのない尻と尻の窄まりに指を押し当てた。

「ん、あ、あ、やぁ……」

 抵抗も虚しかった。肉欲に支配された僕は、どこかで蹂躙されることを望んでいた。
 尻の肉を揉みしだかれ、下の孔を晒すように尻の双丘を割り開かれる。香油で惜しみなく濡らされた指が隘路へ滑り込んできた。
 フォルテさまの指を貪欲に呑み込む門に、僕自身驚く。フォルテさまの肉体を、僕の体は欲しがっている。

 こんな形であなたと繋がってしまうなんて。赦されない。

「に、逃げて……あなたを、汚してしまう……おねがい……」

 必死に絞り出した自分の声は、どこか喜んでいるように聞こえた。
 欲を吐き出して絶頂まで昇り詰めたくてたまらない。そうこうしているうち、充分に拡げた後孔はひくひくと震えて、淫靡な水音を立てはじめた。
 そこへフォルテさまが自身の塊を押し付けてきた。
 ぬらりと先走りで濡れた塊は、僕のものよりも大きく太く成長していた。
 いけない、離れて、だめ、と首を振る。僕の微かな抵抗を感じて、フォルテさまが苦しそうに眉を寄せた。

「知ってるだろうが、腹ん中も弄らないとマンドラゴラの毒熱は出切らない……挿れるからな」

 あれが……入るのか? 僕の喉がごくりと鳴った。
 僕を見下ろす金の瞳が、夏の太陽のように獰猛に光る。
 孔は軋み、引きつれながらも、硬い雄をゆっくりと受け入れ、呑み込んでいった。太くて熱くて重い杭が、肉の壁を灼き広げていく。
 熱が高まり、息が弾んだ。疼き続けた体は悦んで雄を食む。行ったり来たりしながら浅瀬を侵され、奥を突かれて、支配される気持ちよさに心身が泥酔した。

「気持ち良くしたいから……力、抜いてくれ」
「あ、あん、や、だっ……抜いてくださっ、あっ、やっ、ンっ、あぁんっ!」

 だめだ、いけない。こんなことをさせてはいけない。僕の大事な人を……汚してしまう。
 そう思うのに、体は貪欲にうねり、淫乱な喘ぎ声が漏れる。受け入れた場所は快感を求めてうごめいた。かすかに残った理性は涙になって頬を流れたが、フォルテさまの形を記憶するように、腹の奥は突き入れられた杭を美味しそうに食い締める。

 とうとう自分から脚を絡めて、フォルテさまの体に巻きついた。もっと深く挿してほしい、もっと奥を突いてくれと。
 フォルテさまの顔が涙で歪んでよく見えない。けれど体で応えてくれるのが分かった。腰の動きが早くなる。

「……いいぜ」
「あっ、あっ、あ────っ!」

 腰を激しく打ちつけられ、内側を擦られて、深く深く繋がった。
 いっぱい気持ちよくなりたい。足を使って、もっと奥へ熱い塊を呑み込もうとする。執拗に攻められ、快感で顔が歪み、口からは言葉にならない声ばかり漏れる。
 僕の腰が、雄をしゃぶるように淫らにくねった。
 フォルテさまの余裕が消えて、抉るような動きに変わる。

「サフィっ、サフィ……ごめん、ごめんな……」
「あっ……あんっ、あっ、あっ……!」
「可愛いよ……サフィ……もっと……」

 フォルテさまの瞳の色が、蕩けそうに甘い。僕の全身を蜜に浸すように撫でて抱き、舐めまわす。
 乱れた髪が汗で濡れた肌に貼り付いた。不快に思うはずだが、フォルテさまがしきりに褒めるので、具合はどんどん快くなった。やがて体を貫くような快感が、頭のてっぺんから足の裏まで一直線に走った。

「あっ──なんかっ……ぅっ、あ、あ────!」

 雷に打たれた感じがした。体がぶるぶると震えて、勝手に跳ね上がる。
 中を穿つフォルテさまの中心が爆ぜた。熱い潮が腹の奥に流れ込む。
 けれど、ここで終わりではなかった。
 媚薬に支配された体は、快楽を求め続ける。高まった絶頂感もすぐには抜けない。中に出された液体からも快感を拾ってしまって、「あ……あん、あっ……」と小刻みに喘ぎ続ける。「もっと欲しい」と快楽に跳ねる体を、後ろからフォルテさまがぎゅっと抱きしめた。

「好きだ、サフィ。おまえが好きだ……」

 乳首をつねられ、首筋を噛まれ、引き抜かれたはずの杭が尻と尻のあわいをふたたび行き来する。一度出し切ったフォルテさまの雄は、僕の熱に影響されてか、すでに硬さを復活させていた。
 僕の中心も反り返ったまま、いっこうに収まる気配を見せない。露に濡れながら、男を誘うように腹の前でゆらゆらと揺れている。フォルテさまは息を弾ませて僕のそこを握り込んだ。
 親指で鈴口をぐりぐりと擦られ、強い刺激にまた体が跳ねる。たまらなくなって、高く鳴きながら尻を振った。

「おまえが欲しい……好きなんだ……俺だけに……俺だけに、全部くれ」

 頬と頬を寄せる。唇に吐息がかかった。
 ──口づけだけは、守らなきゃ。直感的にそう思った。
 キスは、これからのフォルテさまのために、フォルテさまが愛おしく思う人のために、取っておくべきなのだ。頭の端っこに僅かに残る理性で、制するようにフォルテさまの口を押さえた。
 手のひらにべろりとフォルテさまの舌が這う。

「いけませんっ……いやだ、やめてっ……フォルテさまっ……!」
「なんでっ……なんでだよ……!」

 あぐあぐとフォルテさまが手の端に噛みつく。歯ががぶりと立てられているのに、僕の頭は熱で浮かされていて、痛みをまったく感じない。それさえも快感に書き換えられるのだ。
 フォルテさまは親の仇のように、僕の手をかぶがぶと食み続ける。だけどこの手を剥がすわけにはいかない。
 僕は意識を失うまでフォルテさまのキスを拒み続けた。





 ……重いまぶたに白い光が突き刺さる。「んん…」と身をひねる。朝だ。
 うっすらと開けた瞳に、見慣れぬカーテンの豪奢な金の刺繍が映った。なんだか、とんでもなく淫猥で冒涜的な夢を見ていた気がする。

 体を起こすと、下半身に恐ろしい痛みが走った。特に、お尻の違和感と股関節の痛みが無視しがたい。
 変な格好で寝てしまったのかと思ったが、寝室の風景が自室と異なることに気づいた。ベッドの大きさも……おかしい。端はどこだ?
 ごろりと寝返りを打つと、真っ裸のフォルテさまが枕を抱えて眠っていた。

 夢じゃ……なかった?
 心の中で、なにか繊細なものがパリンと割れた。

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