8 / 15
第8話 大戦じゃよ
しおりを挟む
「魔王様、どうされますか? ここに拠点作るのやめます?」
「いや、やめない。助けるぞ」
「どうしてですか? それこそ、アルバート王国なる国に作った方が得では無いですか?」
「この町のある国、シルバ王国は大国じゃ。そしてアルバート王国は小国じゃ。なんで攻めるのだと思う?」
「分からないです。大国の方が勝機がありそうですけどね。武力に差がありそうです」
すると、魔王は歩き出し、住宅の方へと戻っていった。
ついていくといきなり立ち止まり、背を向けながらまた話し始めた。
「魔王アルファは人間との調和を目指しておる。そのためにまず、人間に複数の魔物を差し出したんじゃ。魔物と言うのがどう言うものなのか、また、人間にどれほどの利益を与えるのかを教えるためにな」
「その利益はどう言った内容ですかね」
「武力じゃ」
風が吹いた。風上にはギルドがあり、少しだけ声が聞き取れそうだった。
「理性のある魔物と人間の精神的な違いはほぼ無い。しかし、力の差が大きすぎる。持っている国にとってはある種の爆弾になるのじゃ」
「なるほど。国にあげているんですね、魔王アルファは」
「そうじゃ。そして、シルバは貰えなかった」
「武力が既に強大だからですか?」
「いいや、国の繋がりだろうな」
彼女は振り返り、麦わら帽子を脱いでからこちらを向いた。大きなツノが月夜に照らされる。
「大戦じゃよ」
「なるほど...魔王アルファには和解する気なんて無いんですね」
「横の繋がりが多い国には仲間がおる。逆もまた然りじゃ。大国が小国に叩かれたとなると、周りの国は黙っていないじゃろうな...」
「でも、そんなことしたらアルバート王国が潰されそうですね。本人達も気づかないことはないと思いますが」
すると魔王はこちらへ近づき、弱い力で腹パンをしてきた。
「もし、お主の様な奴が国におったら、国王はどうすると思う? 大陸一つが潰されるのじゃぞ?」
にやけ顔を見せてきた。
「ふふ、聞いていたんですね」
「勿論だとも。それで、どうすると思う?」
「攻めますね。他国の魔物なんかよりも強いでしょうし」
彼女は小さく頷たかと思うと、両手を腰に当て、胸を張ってきた。
「我が僕よ、妾達の最終目標はなんじゃ?」
「世界征服です!」
「その通り! では、ここで魔王アルファに人間を根絶やしにされて黙っていられるか!」
「いいえ!」
「ここに宣言しよう! 魔王シルクは魔王アルファに正式に敵対する!」
これで良いのか? いや、これで良いんだ。俺らの目標は世界征服。魔物だけの、文化のないもぬけの世界なんていらない。
やってやろう。みとけよモサ、お前の上司をぶっ潰してやる。
「そうだなぁ、宣戦布告と言うからには承認者が必要だな。なぁ、ローゼ?」
ローゼさん? 魔王の視線の先には、口を大きく開き、書類を地面に落としているローゼさんの姿があった。
え、みられてたの? なんで魔王は何も触れなかったの?
「あの、えっと...本当に魔王だったんですか...?」
「だから言っておったろうに。本物の魔王じゃと」
「でも、ずっと麦わら帽子被ってましたし...」
彼女はひたすらアワアワしている。書類の存在も忘れ、一つ一つの紙が風に飛ばされている。
「安心せい、この町は妾達が守る。だから、その代わりお主には魔王軍に入ってもらう」
「「は?」」
助けるのは分かる。でもなんで魔王軍に入る必要が? ローゼさんはちょっと学のないだけの普通の人間だぞ?
「え、いや。なんでですか? 私、強くありませんよ」
「ふふ、それはな...」
魔王はいきなりハッとしたかの様な顔をし、固まった。そして、少しモジモジしたかと思うと
「少し寂しいからじゃよ...」
「「え?」」
「いや、魔王様。寂しいからってそれは...」
「いいじゃろ! お主少しだけ真面目すぎるんじゃよ。他にも話し相手が欲しいのじゃ」
「はぁ...」
「それに、いずれ召使いも必要になるのじゃろうし、ローゼが第一号ってことにすれば良いじゃろ」
魔王はローゼさんに数回ウインクして見せた。ローゼさんは困惑し、開けている方がどんどん大きくなっていた。
「まぁ、えっと。今の魔王軍は小さいですけど、今後大きくなるつもりなんで。今は給料とかないですけど、部下が増え次第給与も渡そうと思っているんで。あ、えっと...あと、福利厚生も結構良かったりするかもしれないんで。割と良い物件だと思いますよ」
俺は早口でそう言った。
「は、はぁ...」
「だめ、ですか...?」
「いや、少しびっくりしました。だって、いつも可愛がっていたシルクちゃんが魔王様で、その魔王様が私たちを救おうとしてくれて、それで、私を魔王軍にスカウトしているんです」
彼女は地面に落ちている残り少ない資料を拾い上げ、こちらを向き直した。
「素直に嬉しいです。ありがとうございます」
「じゃあ、来てくれるんじゃな!?」
彼女は確かに笑顔だった。でも、目が死人のそれだった。
彼女の資料を持つ手の力は弱く、一枚がこちらに飛んできた。俺はその資料を掴み取り、書かれている少ない文字に目を通した。
敵軍内容 魔物三体
全員魔王幹部クラスの模様
「いや、やめない。助けるぞ」
「どうしてですか? それこそ、アルバート王国なる国に作った方が得では無いですか?」
「この町のある国、シルバ王国は大国じゃ。そしてアルバート王国は小国じゃ。なんで攻めるのだと思う?」
「分からないです。大国の方が勝機がありそうですけどね。武力に差がありそうです」
すると、魔王は歩き出し、住宅の方へと戻っていった。
ついていくといきなり立ち止まり、背を向けながらまた話し始めた。
「魔王アルファは人間との調和を目指しておる。そのためにまず、人間に複数の魔物を差し出したんじゃ。魔物と言うのがどう言うものなのか、また、人間にどれほどの利益を与えるのかを教えるためにな」
「その利益はどう言った内容ですかね」
「武力じゃ」
風が吹いた。風上にはギルドがあり、少しだけ声が聞き取れそうだった。
「理性のある魔物と人間の精神的な違いはほぼ無い。しかし、力の差が大きすぎる。持っている国にとってはある種の爆弾になるのじゃ」
「なるほど。国にあげているんですね、魔王アルファは」
「そうじゃ。そして、シルバは貰えなかった」
「武力が既に強大だからですか?」
「いいや、国の繋がりだろうな」
彼女は振り返り、麦わら帽子を脱いでからこちらを向いた。大きなツノが月夜に照らされる。
「大戦じゃよ」
「なるほど...魔王アルファには和解する気なんて無いんですね」
「横の繋がりが多い国には仲間がおる。逆もまた然りじゃ。大国が小国に叩かれたとなると、周りの国は黙っていないじゃろうな...」
「でも、そんなことしたらアルバート王国が潰されそうですね。本人達も気づかないことはないと思いますが」
すると魔王はこちらへ近づき、弱い力で腹パンをしてきた。
「もし、お主の様な奴が国におったら、国王はどうすると思う? 大陸一つが潰されるのじゃぞ?」
にやけ顔を見せてきた。
「ふふ、聞いていたんですね」
「勿論だとも。それで、どうすると思う?」
「攻めますね。他国の魔物なんかよりも強いでしょうし」
彼女は小さく頷たかと思うと、両手を腰に当て、胸を張ってきた。
「我が僕よ、妾達の最終目標はなんじゃ?」
「世界征服です!」
「その通り! では、ここで魔王アルファに人間を根絶やしにされて黙っていられるか!」
「いいえ!」
「ここに宣言しよう! 魔王シルクは魔王アルファに正式に敵対する!」
これで良いのか? いや、これで良いんだ。俺らの目標は世界征服。魔物だけの、文化のないもぬけの世界なんていらない。
やってやろう。みとけよモサ、お前の上司をぶっ潰してやる。
「そうだなぁ、宣戦布告と言うからには承認者が必要だな。なぁ、ローゼ?」
ローゼさん? 魔王の視線の先には、口を大きく開き、書類を地面に落としているローゼさんの姿があった。
え、みられてたの? なんで魔王は何も触れなかったの?
「あの、えっと...本当に魔王だったんですか...?」
「だから言っておったろうに。本物の魔王じゃと」
「でも、ずっと麦わら帽子被ってましたし...」
彼女はひたすらアワアワしている。書類の存在も忘れ、一つ一つの紙が風に飛ばされている。
「安心せい、この町は妾達が守る。だから、その代わりお主には魔王軍に入ってもらう」
「「は?」」
助けるのは分かる。でもなんで魔王軍に入る必要が? ローゼさんはちょっと学のないだけの普通の人間だぞ?
「え、いや。なんでですか? 私、強くありませんよ」
「ふふ、それはな...」
魔王はいきなりハッとしたかの様な顔をし、固まった。そして、少しモジモジしたかと思うと
「少し寂しいからじゃよ...」
「「え?」」
「いや、魔王様。寂しいからってそれは...」
「いいじゃろ! お主少しだけ真面目すぎるんじゃよ。他にも話し相手が欲しいのじゃ」
「はぁ...」
「それに、いずれ召使いも必要になるのじゃろうし、ローゼが第一号ってことにすれば良いじゃろ」
魔王はローゼさんに数回ウインクして見せた。ローゼさんは困惑し、開けている方がどんどん大きくなっていた。
「まぁ、えっと。今の魔王軍は小さいですけど、今後大きくなるつもりなんで。今は給料とかないですけど、部下が増え次第給与も渡そうと思っているんで。あ、えっと...あと、福利厚生も結構良かったりするかもしれないんで。割と良い物件だと思いますよ」
俺は早口でそう言った。
「は、はぁ...」
「だめ、ですか...?」
「いや、少しびっくりしました。だって、いつも可愛がっていたシルクちゃんが魔王様で、その魔王様が私たちを救おうとしてくれて、それで、私を魔王軍にスカウトしているんです」
彼女は地面に落ちている残り少ない資料を拾い上げ、こちらを向き直した。
「素直に嬉しいです。ありがとうございます」
「じゃあ、来てくれるんじゃな!?」
彼女は確かに笑顔だった。でも、目が死人のそれだった。
彼女の資料を持つ手の力は弱く、一枚がこちらに飛んできた。俺はその資料を掴み取り、書かれている少ない文字に目を通した。
敵軍内容 魔物三体
全員魔王幹部クラスの模様
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる