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第9話 三人組①
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砂漠の真ん中、少年が一人手で砂をかき集めて山を作っていた。風が強い中作業をしているため、毎回膝程度の高さになると崩れ落ちてしまっていた。
どこか億劫としているかのような彼の表情は、手持ち無沙汰のような動作と綺麗にマッチしており、無機的な砂漠をより淋しいものとしている様だった。
作っては壊れ、壊れは作る。この動作を彼は何回も繰り返している。大体五十回目であろうか、彼が砂を集めようと手を広げた時、彼の視界の中には人の影が浮かんでいた。
「あ! 山作ってんの? 私も昔よくやったなぁ。高くなるにつれて達成感っていうのが出てくるのよね。最後らへん凄く愛着が湧いてきてさ、まるで子供を育てているかの様な感覚になってさ。いやぁ、子育てって大変だと思うのよね、だって、しっかり愛情を注がないと...」
「あーもううるさいなぁ...あっち行けって言ったろぉ...」
「ごめんなさい...だって暇なんだもん」
彼の視線の先には、肌がところどころ鱗状になっている赤色の長髪の女性が立っていた。少年に注意され、後ろに生えている長い尻尾を萎れさせている。
「ふふ、まぁそんなに怒らないでふよ。オイラが美味しいカエルを取ってきたでふ。皆んなで食べるでふよ」
「あー、またカエルかよ! 豚は何食べても美味しいからいいよな、もうあんな不味いの食いたくねぇよ...」
彼の後ろから、ピンク色の肌で立派な大きな腹を携えた大男が出てきた。ぶっきらぼうな少年の発言に小さな耳を萎ませ、先ほどの女性と見合わせる。
「でも、仕方ないでふよ。ここで数日間野宿するのはアルファ様の命令でふ」
「そうなんだよ、ティノ君も分かってくれるでしょ? これ破っちゃうとアルファ様の計画が潰れちゃうの」
「分かるけどさぁ...なんでよりにもよってこの問題児二人と組まなきゃいけないんだよ...」
再び強い風が吹く、山は根元から崩れ、原型がなくなってしまった。
「あーもう! イライラするなぁ!」
「うぅ...」
彼らはアルファ様の指示を待っていた。彼らの最終的な使命はシルバ王国の崩壊への手引きをすること。即ち世界大戦の引き金を引くことだ。
今は準備段階、アルバート王国の宣戦布告が各国に行き届くのを待っていたのだ。
「でもさぁ、アルファ様はなんで自ら手を下さないんだろうな。俺らみたいな最強の幹部が居たら勇者なんて取るに足らないだろ」
「さぁ、何かお考えがあるんじゃないのかなぁ? 例えば、勇者様に恋してるとか!?」
「んん...ど、どういうこと...? お前良くわかんなぁよな本当に」
女性は両手を腰に当て、胸を張り、尻尾をまっすぐにした。
「私はこの戦争で彼氏を作ります!」
「いきなりでふね...どうかしたんでふか?」
「やっぱり私晩婚ってよくないと思うの。強い魔物を作りたかったら早いうちに結婚した方がいいでしょ?」
「お前まだ19だろ? 早くね? 適正年齢って30くらいって聞いたけど」
女性はいきなり顔を赤らめ、まっすぐにしていた尻尾をくねくねと動かした。
「夢で見たの。あのイケメンは私の未来の旦那さんに違いないと思うの」
「あぁ...また夢の話かよ。お前の夢占い十中八九当たらねぇから。バクっていう名前親に返上しろ」
「やっぱりオイラの彼女は唐揚げでふなぁ...あぁ...お腹が減ってきたでふ。今日はカエルの唐揚げで決定でふ!」
「ブタはさっさと結婚しろ! 何歳だと思ってるんだよ!」
少年は大きくため息をつき、その場に腰を掛けた。風もちょうど弱まり、視界がだいぶクリアなものになる。それに伴って強まる日光は、少年の頭に生えているツノを照らし、少年の存在をより確かなものにした。
「皆んなさん、アルファ様からいま通信が来たでふ。行くでふよ、最初の村に」
三人は黙って歩き始めた。
どこか億劫としているかのような彼の表情は、手持ち無沙汰のような動作と綺麗にマッチしており、無機的な砂漠をより淋しいものとしている様だった。
作っては壊れ、壊れは作る。この動作を彼は何回も繰り返している。大体五十回目であろうか、彼が砂を集めようと手を広げた時、彼の視界の中には人の影が浮かんでいた。
「あ! 山作ってんの? 私も昔よくやったなぁ。高くなるにつれて達成感っていうのが出てくるのよね。最後らへん凄く愛着が湧いてきてさ、まるで子供を育てているかの様な感覚になってさ。いやぁ、子育てって大変だと思うのよね、だって、しっかり愛情を注がないと...」
「あーもううるさいなぁ...あっち行けって言ったろぉ...」
「ごめんなさい...だって暇なんだもん」
彼の視線の先には、肌がところどころ鱗状になっている赤色の長髪の女性が立っていた。少年に注意され、後ろに生えている長い尻尾を萎れさせている。
「ふふ、まぁそんなに怒らないでふよ。オイラが美味しいカエルを取ってきたでふ。皆んなで食べるでふよ」
「あー、またカエルかよ! 豚は何食べても美味しいからいいよな、もうあんな不味いの食いたくねぇよ...」
彼の後ろから、ピンク色の肌で立派な大きな腹を携えた大男が出てきた。ぶっきらぼうな少年の発言に小さな耳を萎ませ、先ほどの女性と見合わせる。
「でも、仕方ないでふよ。ここで数日間野宿するのはアルファ様の命令でふ」
「そうなんだよ、ティノ君も分かってくれるでしょ? これ破っちゃうとアルファ様の計画が潰れちゃうの」
「分かるけどさぁ...なんでよりにもよってこの問題児二人と組まなきゃいけないんだよ...」
再び強い風が吹く、山は根元から崩れ、原型がなくなってしまった。
「あーもう! イライラするなぁ!」
「うぅ...」
彼らはアルファ様の指示を待っていた。彼らの最終的な使命はシルバ王国の崩壊への手引きをすること。即ち世界大戦の引き金を引くことだ。
今は準備段階、アルバート王国の宣戦布告が各国に行き届くのを待っていたのだ。
「でもさぁ、アルファ様はなんで自ら手を下さないんだろうな。俺らみたいな最強の幹部が居たら勇者なんて取るに足らないだろ」
「さぁ、何かお考えがあるんじゃないのかなぁ? 例えば、勇者様に恋してるとか!?」
「んん...ど、どういうこと...? お前良くわかんなぁよな本当に」
女性は両手を腰に当て、胸を張り、尻尾をまっすぐにした。
「私はこの戦争で彼氏を作ります!」
「いきなりでふね...どうかしたんでふか?」
「やっぱり私晩婚ってよくないと思うの。強い魔物を作りたかったら早いうちに結婚した方がいいでしょ?」
「お前まだ19だろ? 早くね? 適正年齢って30くらいって聞いたけど」
女性はいきなり顔を赤らめ、まっすぐにしていた尻尾をくねくねと動かした。
「夢で見たの。あのイケメンは私の未来の旦那さんに違いないと思うの」
「あぁ...また夢の話かよ。お前の夢占い十中八九当たらねぇから。バクっていう名前親に返上しろ」
「やっぱりオイラの彼女は唐揚げでふなぁ...あぁ...お腹が減ってきたでふ。今日はカエルの唐揚げで決定でふ!」
「ブタはさっさと結婚しろ! 何歳だと思ってるんだよ!」
少年は大きくため息をつき、その場に腰を掛けた。風もちょうど弱まり、視界がだいぶクリアなものになる。それに伴って強まる日光は、少年の頭に生えているツノを照らし、少年の存在をより確かなものにした。
「皆んなさん、アルファ様からいま通信が来たでふ。行くでふよ、最初の村に」
三人は黙って歩き始めた。
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