10 / 15
第10話 三人組②
しおりを挟む
「まだでふかぁ...もう限界でふよぉ」
「う、うるさい...! あともうちょいだよ」
彼らは砂漠を抜け、大きな山を越えようとしていた。
ブタはもう疲労困憊の様で、至る所から汗を流し、すすめる足は千鳥足になっていた。
「なんでこんなところ通らなきゃいけないんでふか」
「以前は国交のための大きな道があったらしいんだけどね。だいぶ昔に交易をやめてしまったみたいで、もはや茨の道みたいになってるみたい」
「やめんじゃねーよ...せめて少しは道残しておけよ」
正直ティノももう限界であった。身長が人一倍小さい分、一歩で進める距離も限られており、足に相当な負担がかかっていたのだ。
「私はまだ余裕だけどね。早く王子様に会いたい一心って感じ」
「はぁ...脳内空っぽで荷物が少ないってか」
__バタン
「ん?」
ティノが後ろを見るとブタが倒れ、顔を激しくしかめているのを見つけた。
二人は急いで駆けつける。
「おい大丈夫か!? 誰かにやられたのか? 畜生...まさか、他の魔王の幹部が俺らの作戦を」
ブタがピクピク口を動かす。その声に力はなく、周りのノイズでかき消されてしまう。
「なに?」
ティノはブタの口元に耳を近づけた。
「お腹が空いたでふ...」
「「あぁ...」」
「おら、もう少しで...もう少しで最初の村だぞ...」
「ブタさんどんだけ重いんですか...パワータイプの私ですら流石にこれは...」
「申し訳ないでふ...」
二人はブタを運んで大きな山を越えた。途中、彼らは何度か休憩を挟んだが、ブタが自分で歩くことはなかった。
「お前結構顔余裕そうじゃね?」
「そ、そんなことないでふよ! 歩く気力すらないでふ...」
「嘘だよね...絶対...」
二人は大きなため息をつき、その場に項垂れた。
「あそこだよね、多分。いくつか小さな家があるんだよね。ポツポツって、小さな村じゃないかな?」
バクの指差す方向には、耕された土地とその中心に佇む小さな建物がいくつかあった。
木造の建物以外何もなく、家だったり小屋だったり、素材が同じで形が変わったものばかりで、農地以外からと言って目に留まるものがなかった。
「しけてるな。全然栄えてない」
「そうだねぇ、人は居るかな? 皆んな避難してるとは思うんだけど」
ブタは大きな鼻でクンクン匂いを嗅ぎ、眉間に皺を寄せた。
「居るでふよ。全然いっぱい居るでふ」
「は? でも、魔王幹部三人が来るんだぜ? 避難命令くらい来るだろ」
「取り敢えず行ってみましょう」
彼らはゆっくり歩き出し、村の門の前まで進んだ。住宅のある場所は柵で囲われており、入れる場所が限られていたのだ。
見る限り人は誰も外に出ておらず、生活音すら聞こえてこなかった。
「すんませーん。魔王幹部きましたよぉー」
「早く出てきてくださーい。さもないと、えっと。酷い目に遭いますよぉー」
声を出すが誰も出てこない。ティノは頭を掻きむしり、黙って門の中に入った。
「待つでふよ。なんの手続きも無しに入るのは良くないでふよ」
「はぁ? 戦争始めようとしてるんだぜ? しかもどうせ隠れてるのは騎士とかだろ。蹂躙するくらいの勢いじゃなきゃな」
「どうやらそうでもない様なんでふ...」
当然、近くにあった家のドアが開き、一人の男性が出てきた。着ている服はボロボロで、頭には寝癖が付いており、いかにも寝起きといった様な具合だった。
「あ、え!? 旅のお方...!?」
「え、あ、いや。魔王幹部で...」
「旅のお方ですか!? いやぁ、嬉しいな!! ちょっと待っていてくださいね、村長を呼んできます!」
「「「え?」」」
男性は走って村の奥へ行き、しばらくするとヨボヨボの老人ともう一人、小さな少年を連れてきた。みんな似た様な服装で貧相この上なさそうである。
「あぁ...よくぞいらっしゃいました旅のお方...何もない村ですが、どうぞごゆっくりと...」
「あ、いや、あの。俺たち魔王幹部で...」
「すみません。避難勧告ってきませんでした?」
バクがそう尋ねると、老人はしばらく黙り込み、老人を呼んで来た男性の方を凝視した。
「いや、何も来てないですよ? なんかあったんですか?」
「あ、いえ。その、魔王幹部がこれから攻め込んでくるらしいです」
「魔王幹部?」
小さい少年は老人の方を向き、老人の裾を数回引っ張った。
「はっはっはっ。まさかこんな辺境の村を襲撃したりなどするはずがないですよ」
「あ、いや。俺たちがその...」
「ティノ君黙って」
ティノは二人に口を抑えられ、暫く暴れてから大人しくなった。
「本当なんですか? 魔王幹部が襲撃にくるとは」
「そうですね。いつかは分からないですけど」
老人は「そうかぁ...」と呟き、暫く黙り込んだ。
「まぁ、その時はその時で降参しますよ。十分かは分かりませんが、多少の食糧を与えます」
「そうですか...」
三人はその老人をただ見つめていた。老人は隣にいる少年の頭を撫で、また三人の方へと向き直した。
「可愛そうになぁ...こんな村に生まれてしまって...この村はなんの生産性も無いんです。土地は痩せていて農作物はうまく育たないし、鉱石などは出ないしで何も生み出せないんです。それに、移住しようとも、祖先が厄介者達の集まりであったばっかりに断られ、もう、国にも見捨てられてしまったんです」
少年は顔をしかめて老人の手を振り解いてどこかへ走っていってしまった。
「おそらく、厄介者としか思われていないんでしょうね...」
老人は小さく頭を下げた。
「私たちはここで魔王幹部が来るのを待つので、どうぞ、早く王都へと避難してください。その方がいい」
三人は顔を見合わせ、一度大きく頷いた。
「少し待っててくださいね?」
門の外に出て、十分老人達から距離をとり、密集する。
「どうするでふ? オイラなんの罪もない人間は殺したくないでふよ」
「私も...なんか可愛そうで仕方がない...」
「お、俺は別に殺しても良いんだぜ? で、でも、二人がそう言うなら仕方ないかなぁ...」
三人はもう一度大きく頷くと、老人達の元へ戻った。
「ここで一日泊まらせてください」
「う、うるさい...! あともうちょいだよ」
彼らは砂漠を抜け、大きな山を越えようとしていた。
ブタはもう疲労困憊の様で、至る所から汗を流し、すすめる足は千鳥足になっていた。
「なんでこんなところ通らなきゃいけないんでふか」
「以前は国交のための大きな道があったらしいんだけどね。だいぶ昔に交易をやめてしまったみたいで、もはや茨の道みたいになってるみたい」
「やめんじゃねーよ...せめて少しは道残しておけよ」
正直ティノももう限界であった。身長が人一倍小さい分、一歩で進める距離も限られており、足に相当な負担がかかっていたのだ。
「私はまだ余裕だけどね。早く王子様に会いたい一心って感じ」
「はぁ...脳内空っぽで荷物が少ないってか」
__バタン
「ん?」
ティノが後ろを見るとブタが倒れ、顔を激しくしかめているのを見つけた。
二人は急いで駆けつける。
「おい大丈夫か!? 誰かにやられたのか? 畜生...まさか、他の魔王の幹部が俺らの作戦を」
ブタがピクピク口を動かす。その声に力はなく、周りのノイズでかき消されてしまう。
「なに?」
ティノはブタの口元に耳を近づけた。
「お腹が空いたでふ...」
「「あぁ...」」
「おら、もう少しで...もう少しで最初の村だぞ...」
「ブタさんどんだけ重いんですか...パワータイプの私ですら流石にこれは...」
「申し訳ないでふ...」
二人はブタを運んで大きな山を越えた。途中、彼らは何度か休憩を挟んだが、ブタが自分で歩くことはなかった。
「お前結構顔余裕そうじゃね?」
「そ、そんなことないでふよ! 歩く気力すらないでふ...」
「嘘だよね...絶対...」
二人は大きなため息をつき、その場に項垂れた。
「あそこだよね、多分。いくつか小さな家があるんだよね。ポツポツって、小さな村じゃないかな?」
バクの指差す方向には、耕された土地とその中心に佇む小さな建物がいくつかあった。
木造の建物以外何もなく、家だったり小屋だったり、素材が同じで形が変わったものばかりで、農地以外からと言って目に留まるものがなかった。
「しけてるな。全然栄えてない」
「そうだねぇ、人は居るかな? 皆んな避難してるとは思うんだけど」
ブタは大きな鼻でクンクン匂いを嗅ぎ、眉間に皺を寄せた。
「居るでふよ。全然いっぱい居るでふ」
「は? でも、魔王幹部三人が来るんだぜ? 避難命令くらい来るだろ」
「取り敢えず行ってみましょう」
彼らはゆっくり歩き出し、村の門の前まで進んだ。住宅のある場所は柵で囲われており、入れる場所が限られていたのだ。
見る限り人は誰も外に出ておらず、生活音すら聞こえてこなかった。
「すんませーん。魔王幹部きましたよぉー」
「早く出てきてくださーい。さもないと、えっと。酷い目に遭いますよぉー」
声を出すが誰も出てこない。ティノは頭を掻きむしり、黙って門の中に入った。
「待つでふよ。なんの手続きも無しに入るのは良くないでふよ」
「はぁ? 戦争始めようとしてるんだぜ? しかもどうせ隠れてるのは騎士とかだろ。蹂躙するくらいの勢いじゃなきゃな」
「どうやらそうでもない様なんでふ...」
当然、近くにあった家のドアが開き、一人の男性が出てきた。着ている服はボロボロで、頭には寝癖が付いており、いかにも寝起きといった様な具合だった。
「あ、え!? 旅のお方...!?」
「え、あ、いや。魔王幹部で...」
「旅のお方ですか!? いやぁ、嬉しいな!! ちょっと待っていてくださいね、村長を呼んできます!」
「「「え?」」」
男性は走って村の奥へ行き、しばらくするとヨボヨボの老人ともう一人、小さな少年を連れてきた。みんな似た様な服装で貧相この上なさそうである。
「あぁ...よくぞいらっしゃいました旅のお方...何もない村ですが、どうぞごゆっくりと...」
「あ、いや、あの。俺たち魔王幹部で...」
「すみません。避難勧告ってきませんでした?」
バクがそう尋ねると、老人はしばらく黙り込み、老人を呼んで来た男性の方を凝視した。
「いや、何も来てないですよ? なんかあったんですか?」
「あ、いえ。その、魔王幹部がこれから攻め込んでくるらしいです」
「魔王幹部?」
小さい少年は老人の方を向き、老人の裾を数回引っ張った。
「はっはっはっ。まさかこんな辺境の村を襲撃したりなどするはずがないですよ」
「あ、いや。俺たちがその...」
「ティノ君黙って」
ティノは二人に口を抑えられ、暫く暴れてから大人しくなった。
「本当なんですか? 魔王幹部が襲撃にくるとは」
「そうですね。いつかは分からないですけど」
老人は「そうかぁ...」と呟き、暫く黙り込んだ。
「まぁ、その時はその時で降参しますよ。十分かは分かりませんが、多少の食糧を与えます」
「そうですか...」
三人はその老人をただ見つめていた。老人は隣にいる少年の頭を撫で、また三人の方へと向き直した。
「可愛そうになぁ...こんな村に生まれてしまって...この村はなんの生産性も無いんです。土地は痩せていて農作物はうまく育たないし、鉱石などは出ないしで何も生み出せないんです。それに、移住しようとも、祖先が厄介者達の集まりであったばっかりに断られ、もう、国にも見捨てられてしまったんです」
少年は顔をしかめて老人の手を振り解いてどこかへ走っていってしまった。
「おそらく、厄介者としか思われていないんでしょうね...」
老人は小さく頭を下げた。
「私たちはここで魔王幹部が来るのを待つので、どうぞ、早く王都へと避難してください。その方がいい」
三人は顔を見合わせ、一度大きく頷いた。
「少し待っててくださいね?」
門の外に出て、十分老人達から距離をとり、密集する。
「どうするでふ? オイラなんの罪もない人間は殺したくないでふよ」
「私も...なんか可愛そうで仕方がない...」
「お、俺は別に殺しても良いんだぜ? で、でも、二人がそう言うなら仕方ないかなぁ...」
三人はもう一度大きく頷くと、老人達の元へ戻った。
「ここで一日泊まらせてください」
0
あなたにおすすめの小説
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる