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02.現代の叡智(ウェイン視点)
♤・05-13・♤
しおりを挟む千綾を想い、思いやりながらキスを繰り返す。上唇を啄み、下唇を啄み、唇と内側のきわにもキスをする。
「ちいの唇の、ここ、とくに好きだよ」
「も……、うっ。からかわないで」
「からかってないよ。戯れのキスだから、そう思うの? 心外だな。大切にしたいんだよ」
来て欲しいと言わず動く唇の隙間に舌を差し込み、唇のきわの薄い粘膜をちろちろと舐める。すると、千綾の舌がぴくぴく動くのがわかる。舌同士でねちっこい愛撫をされたいのだ。
「キスの反応も好きだよ。素直で」
くすぐったがる上顎や舌の裏をねちねち舐めて、唾液の分泌を促す。普段隠れている場所ほど千綾は弱く、そして好む。
「恥ずかしがらないでよ」
恥ずかしがるな、正直になれ、などと言うと千綾は恥ずかしがる。召喚されるまで、それなりに性の経験を積んでいただろうし、ここ半年でたっぷりと教え込んだのに。セックスの始まりは初々しく反応する。そこも気に入っている。あけすけにされるのもいいが、秘匿しているものを少しずつ見せられるのは、男心を揺さぶる。
「……ふ。はぁ……」
互いの唾液を混ぜわせるように舌を絡ませ合い、淫らな味が濃くなってきた唾液を啜る。やっぱり、今日は味が違う。千綾が喜んだり嬉しがったり、ポジティブな気持ちになればなるだけ、旨味が複雑にふくよかになる。
(認めよう。元々変わり者だし、イカれたんだ。千綾が、そうさせたんだ)
一旦離れて、スッキリとした首の下に輝くサファイアに目をやる。呼吸のたびにきらきらと輝くそれは、ウェイン自身の気持ちとリンクしている。
千綾のうるうるの榛色の瞳を覗き込み、微笑む。
「好きって言ってくれないの? 俺のモノは好きって言うのに?」
「それは、えっち中のうわごとだよ。ウェインもそうでしょ?」
千綾は恥ずかしいのか首をすぼめて頬を真っ赤にしている。いや、首元まで真っ赤だ。青い宝石との対比があって、より肌が美しく映える。
「好きだから好きって告白してるんだよ。俺のこと、恋しくないから好きって言ってくれないの?」
(好きだよ。精気搾取の対象としても、愛玩としても。それから──。それから、なんだかよくわからないけど、好きなんだよ)
「恋しい……とか……」
「好きって言わせたくなっちゃうな」
「だって、ウェインは……」
「俺は、ちいが好きで、恋もしているし、愛のようなものが芽生えているよ」
そう、人間でいうところの、愛着がある。そうだ。そうに違いない。
「ちいは人間なのに、淫魔の俺を魅了してるよ」
「……、だって、ウェインは……っ」
「どうして泣きそうになっているの? したいの?」
それは、確かに、千綾を堕落させる言葉とキスだった。
・・・✦・✧︎・✦・・・
先に風呂に入りたいと言ったのは千綾だった。が、待てなかった彼女が膨らみつつある股間を摩ったので、舐めてもらうことにした。
ただのセックスじゃつまらない。いくら熟していてもただの生気搾取ではもっとつまらない。
愛の確認、と人間は表現することもある。それを初めてウェインはその身で知った。
淫魔に惚れた腫れたなどの感情は不必要だし、食事はただの食事だと思っていた。
半勃ちだった肉棒を彼女の手で愛撫され、極大にまで勃起させた逞しい雄にキスをされて、千綾をかわいいと思う気持ちが大きく膨らんでいく。
「ん……、千綾は、上手になったね……はぁ。すごーく気持ちいい……ん」
「ほんと?」
出会った当初、彼女の口淫はお世辞にも上手とはいえなかった。ウェイン的にフェラチオは食事に必要なかったので、魅力的に感じていなかったが、千綾にされると脳と性器が興奮した。
雛に教えるよう、手淫と口淫の仕方──ウェインが感じる方法を丁寧に教えた。
「ウェインの、これ……三週間、ぶりだから……んむ……ちゅっ」
だが、三週間も飢えていたのはウェインもだ。発情して淫紋を光らせた千綾を貪りしゃぶり尽くすつもりだったのだが、怒張を口淫するいじらしい彼女を見て、増す快感には勝てない。
「……は。千綾、待って」
腰をガツガツ振り動かして、柔らかな喉奥まで犯したい衝動を抑える。しかし、ゆるゆると腰が動き、千綾の口蓋のざらりとしたところに亀頭を擦り付けてしまう。ウェインのタイミングではなく、千綾のタイミングで動かされるのがもどかしい。
「んぅ、や、ら」
顎を涎だらけにしながら千綾は続けようとする。きゅっと袋が上がり、射精感が強くなる。この三週間の濃ゆい精液で千綾の可憐な口や顔を汚すのも一興だ。だが、淫魔として濃ゆい精液の使い道があるから、射精すわけにいかない。
「明日。明日以降だったら……。はぁ。千綾の口や手のなかに射精したい。……ん、く。今日は、だめ」
「んー」
不服そうに、ちゅぱっと銀糸を垂らしながら離れた彼女を立たせる。
「ねぇ、ちい。先に謝るね」
「なに……を!?」
シャツを強引に左右に分つ。カーテンでも開ける感覚だったが、千綾は弾け飛ぶボタンと引き千切られたシャツ、ウェインの力強さに目を大きくさせていた。その隙を狙い、今度は千綾を壁側へ踊るように追いやる。
その滑らかで薄いお腹に刻んだ淫紋が早くこの目で見たかった。
爪でタイトスカートのウエスト部分も切り裂くとスカートは、なだらかな曲線を描く足を通り過ぎ、床にすとんと落ちた。頼りない薄いキャミソールと下着、ストッキング、パンプス姿になった肢体を隠そうとした。が、ウェインはそのほっそりとした手首を掴み、壁に打ち付ける。彼女の頭上にその手首をクロスさせてまとめ、片手で押さえる。千綾は嫌そうにしていない。むしろ、高揚してさらに顔を赤くしていた。
「隠しちゃ、だめだよ」
キャミソールの裾を期待しつつも恥ずかしがる千綾に咥えさせ、ウェインは微笑む。内心ではほくそ笑んでいる。もうすぐで望んだものを喰らえるのだ。
「ね、千綾」
耳元で囁く。鼓膜を犯すように声帯を震わせ、低くゆっくり話しながら、片手の指先でその柔和な輪郭をなぞる。
「おもちゃ責めのあとで生理がきたよね? 生理が終わってからの数日は、どうだった? なにしてた?」
彼女のきめ細やかで滑らかな皮膚を、付かず離れずの距離を保ち、顎を、首筋を、胸元を触り、チリッとサファイアを押す。
「ふ……」
「教えてくれないの?」
ブラジャーの上に盛り上がっているふっくらとした肌を、爪の先で滑るだけで、千綾はふるふると乳房を揺らすように震える。
ちらりと合った涙で揺れる榛色は、子犬のように甘え、発情した雌猫みたいな劣情の色がある。
「言ってくれないと」
ブラジャーの上から乳房をひと撫でし、胸の谷間に掛かる頼りない橋のような布を指で上に持ち上げる。
「恥ずかしい姿になっちゃうよ?」
「や……ぁ」
千綾はキャミソールの裾を咥えたまま、いやいやと首を横に振る。深い谷間にしっとりと汗が浮かんでいて、千綾が動くとサファイアの輝きとともにきらきら彼女を彩っているのがいい。
ゆっくりと上がったブラジャーのカップから、ゆさ、たゆんっと乳房が重力に負けてまろび落ち、ふるんふるんと弾む。なにもしていないのに主張している乳暈の薄いピンク色の軌道が、ウェインにはスローモーションに映った。
「あれ? 乳首ぴんぴんになってるよ。おかしいね。俺はなにもしてないよ。寒いのかな?」
千綾はうらめしそうに見つめてくる。
「太腿ももじもじさせて、自分でクリをいじめてるのかな? いけない子だな、ちいは。俺が触る前にぬれぬれになってるの?」
ちゅうっと首筋にくちづけながら、乳房をあとに取っておき、くびれた細腰に掛かるストッキングのウエストテープに指をかける。ストッキングを脱がすか破るかしなくても、そのショーツはTバックショーツだから、緑色に輝く淫紋の一部が見えている。
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