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07.二個持ち、全部乗せ
❦・03-43・❦
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高層階の広い部屋は豪華で上品だ。リビングソファの上には、デパートの紙袋や洋服の箱が置かれていた。
先にシャワーを浴びるように言われた千綾は、さっと入浴を終えた。ウェインがシャワーから出てくるのを、ベッドの上で待っていた。上質なリネンのガウンの裾をそわそわと直したり、前髪を直したり落ち着かない。
(ドキドキする。一週間お預けされてたから? デートが楽しかったから? 知らない街だから? ウェインのことを、また好きになったから?)
寝室のドアが静かに開いて、ウェインはガウンを着ずにタオルで腰を巻いたまま、別のタオルで金の髪を拭きながら出てきた。
一緒に暮らして、幾度となく身体を重ねているのに、引き締まった身体を真正面から見られない。
「ちい、拭いて~」
ベッドがやんわりとたわむのと同時に、隣から湯気と体温、清潔な石鹸の香りがする。
「甘えて寄りかかってって言ったのは誰?」
「えー? 誰だった?」
頭にのったタオルでわしゃわしゃと髪を拭きながら、笑い合う。
「ドライヤー、持ってこようか?」
このままだとせっかくのきれいな髪が傷んでしまう。
「このままがいい。ね、ちい、わかる?」
ウェインの頭に耳の上あたりに黒いツノがにょきにょきと生えてきた。
「なんだか久しぶりに見た」
「ちいが気づいてないだけで、射精するときに出てるよ」
「うそ」
「ほんと。出し入れ自由なんだけどさ。ちいに腟内射精するときだけ、勝手に出ちゃうんだ。ちいがすけべだからだよね」
「勝手に出ちゃうって言葉のほうが、えっちだよ」
言いながら千綾は、伸びきったツノを指先でくすぐる。以前、ツノも気持ちいいと言っていた。
「触っても、いい?」
「触ってるよね、すでに」
「うん」
上を向く緩やかなS字カーブのツノ。付け根は太くて、上に向かうと細くなっている。ヤギやウシのようでそうじゃない。それに、動物のツノなど触ったこともないから、ツノの感触がどんなものかわからない。
ゴツゴツとした手触りなのは、節のようなものがあるから。
こわごわと手で握り、力を込めずに上下に扱く。
「ふふ、くすぐったい」
「くすぐったいんだ?」
「ん。ほんとは、すごく、感じる。ちいの手つきがいやらしいからね」
ウェインは甘えるように千綾のお腹に頭を寄せる。ツノをしゅこしゅこ扱き続けると、ウェインがお腹をぺろぺろ舐めはじめた。
「ね、ツノって、どこが、敏感なの?」
「ふふっ。探し当てて。俺はとっても忙しいの」
「あんっ。くすぐ……たぁい」
「すごく、淫紋が光ってるね。たった一週間とは思えない、緑色。ね、我慢してたの?」
「だって、ウェインが……」
「ちいから誘ってくれたらホイホイ勃起させたのに」
「言いかたっ!」
「でも、ごめんね。魔力を使いすぎたから……ちいの淫紋の力が高まるのを待ってたんだ。前に、三週間近くしなかったことあったの、覚えてる?」
「忘れないよ。だって、あの日に、ウェインへの恋心に気づいたんだもん」
「俺も。これからの生涯忘れない。でもね、あの日は、ちいの淫紋の力を試してたのもあったんだ。ちいが性欲を発散しないで三週間近くになると、ご馳走が、もっと豪華になるんだ」
「プリンからプリンアラモードになる、みたいな?」
「かわいいたとえ。もっと。もっとだよ。この世の贅を尽くした大饗宴さ。でも」
「でも?」
「今回も光らせようかと思ったけど、俺が我慢できなくなったんだ。ちいの笑顔を見て、手をつないで、一緒にご飯を食べて。きれいな服を着て、デートして。ちいに何度目かの恋をして。好きで、好きで、たまらなくて、触れたくて、触れてもらいたくて」
「……ウェイン」
「聞いて。飢えるんじゃなくて、恋焦がれて、ちいがほしくてたまらない。強引に乱暴なことがしたい。優しくしてとろとろに蕩けさせたい。ちいを愛撫したいし、愛撫してもらいたい。反対の気持ちがせめぎ合ってるんだ。身体だけじゃなくて、心も欲しい」
千綾はツノへの愛撫を止めて、ウェインのシャープな頬を両手で包む。
嬉しくて、泣きそうだ。
「わたしも。同じ。ウェインに恋焦がれてるの。強引に乱暴に求められたいし、優しく求められたい。私からも強引なこと、したい。ウェインを優しくしたい。身も心もとっくにウェインのものだよ。ぜんぶ、あげる。もらって。愛してるの」
愛している。言葉にすると薄っぺらくてシラケると思っていた。今は違う。彼に伝える愛の言葉は、心の底からの叫びだ。
「ちい」
「ウェイン……」
惹かれ合い、キスをする。大切なものに触れ合うかのようなくちづけ。お互いの気持ちがいいところはとっくに把握しているのに、丁寧にくちづけ合う。千綾の手にウェインの大きな手が重なると、自然に指を絡ませ合った。
(あ、だめ……)
手を繋いだまま脳イキした経験が蘇る。
じゅんわりと唾液が湧くとの同時に、女の場所に愛蜜が湧くのがわかる。
どちらともなく舌を擦り合い、舐め合い、絡ませ合う。
全身を激しく巡り始めた血液と淡く柔らかな快感。零れる吐息。それらをウェインが奪おうとする。
ぴちゃ。舌の上で跳ねた唾液を、じゅっと強く吸われた。
(────……あぁっ)
びくっと身体が強ばった。
「キスだけでイくなんて、すけべでかわいいね」
軽く弛緩する身体の首筋を舐められキスをされ、乳房をやんわり揉みしだかれる。
「あ♡ 感じ、すぎちゃう、の」
おかしなくらい感じすぎる。
過敏な肌をさらり撫でられ、ガウンを脱がされる。
嬉しそうに目を細めたウェインにしげしげと乳房やお腹、太腿を眺められ、とろりと愛蜜が流れるのがわかり、千綾の羞恥心は燃え盛っている。そして、昂ってもいる。
「ちい、足を広げて」
「ぅ、ん……」
いつもなら、いやだのなんだの言いながら、足を広げたかもしれない。でも、今日は従ってしまう。
膝を持ち、太腿の奥がよく見えるように広げた。とろぉり、また愛蜜が滴る。
「かわいいところ、拡げて見せてよ」
命令されたまま、千綾の指は愛蜜で濡れ始めた陰唇を拡げる。さすがに羞恥心が振り切れそうになり、顔をそらしてしまった。
「ここに俺のモノぶち込んで、なにも考えないでガン突きして、ちいがイく前に無許可で腟内射精したいな」
秘所に顔を近づけるウェインの熱い息がそこにしっとりとかかる。
舐められ、啜られるのだと想像しただけで、ピンと勃った小さな陰核と蜜口がヒクヒクしてしまう。
「ふ」
ウェインの手が尻肉ごと秘所を拡げた。強く掴まれた場所がじんじんして、勝手に足先が丸くなる。
「あ」
はぁ。彼の息がかかる。今か今かと待ち焦がれて、身も心も子宮も焼け焦げてしまいそうだ。
もどかしい。早く。埋めつくして欲しい。欲しがって。欲しがる自分を欲しがって、貪ってもらいたい。
「おねが、い。優しく、しないで」
「どうして?」
その声は子宮に響くようだったので、千綾の腰が自然に揺れてしまう。
乾いた素肌にしっとりと汗が滲む。
「いつも、優しくしたいと思いながら、愛しいちいに無体を強いてるのに?」
彼の舌先に敏感な陰核をチロチロと舐められた。秘所や肉びらを舐められるのかと思って構えていたのに。
急にやってきた強い快感を陰核に刻まれて、身体が勝手にビクビク跳ねる。
「あっ♡ ふぁ♡」
少し舐められただけなのに、腰がガクガクする。してしまう。
もう挿入れてほしかった。腟も身体も疼いてしかたがない。
「だめ、なのっ。ウェインに、もう、埋めてほしいの」
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