公爵令嬢はジャンクフードが食べたい

菜花村

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19.5 公爵夫人は考える

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屋敷に帰って、フランとレイジと3人で夕食を食べる。

「今日の成認式はどうだった?」

レイジがフランに質問してきた。

「とても有意義な時間を過ごせました。
昼食で、王宮料理の中にポテチが置いてあったのですが、とても人気で多くの方に食べていただけました。」

「へー、やっぱポテチは万人受けする食べ物だったんだね。
確かに、フランの誕生日パーティーでも人気だったし、僕の友達や騎士団の人達からも好評だったからね。
ポテチはもう、国が認めたお菓子になったんだね。」

「そう言っていただけて嬉しいです。
そういえば、昼食の際国王様にお声掛け頂いて、お話しすることができました。
国王様にドレスやポテチ、それから開会式前の行動を褒めていただけました。」

「開会式前の行動?」

「ドレスを用意出来なかった女の子達へ、私の持っていたドレスを着せて差し上げたのです。
多くの子に喜んで頂けました。」

「孤児院でやってた事を、成認式でもやってたんだね。」

笑顔で会話をする二人だが、私は心配していた。

魔力保持者発表前までのフランは、本当に素晴らしかった。

他者とは違うドレスで注目を集め、特別扱いは皆に失礼だからと平民達と同様に並び、貧しい者達へ自分のドレスを差し上げ、昼食では国王陛下にお褒めの言葉を頂いた。

魔力検査の際、いつもの癖が出てしまったものの、今日1日を通してフランドール・フィアンマの名は多くの者に良い印象を強く与える事が出来た。

ただ、魔力保持者発表の内容に問題がある。

「ところで、フランはちゃんと魔力を持ってた?」

レイジがフランに質問をする。

「ええ、しっかり名前を呼んで頂けました。
ただ、お兄様のように魔力量は多くなくて、4レベルだと発表されました。」

「そっか、ちょっと残念だったね。
でも、大事なのは魔力量じゃなくて使い方だよ。
騎士団の中にも魔力量が5レベルない人も結構いるんだけど、しっかり訓練していれば彼らのように
少しの魔力で最大限の威力を発揮する事が出来る様になるから。
フランなら、その持ち前の努力でいくらでも成長出来るよ。」

「ありがとうございます、お兄様。
明日直ぐにでも魔法の訓練を始めたくなりました。」

この子は本当に頭が良い。

今この場で属性の話をすると、この和やかな空気を壊してしまう。

レイジにフランが火属性だと思い込ませたまま、自分は兄より劣っている部分がある事を伝え、兄の威厳を保たせている。

5歳とは思えないほど賢い。

そう、賢すぎる。




火土属性は錬金魔法が使える。


つまり、ミスリルやオリハルコンといった金より希少な金属や、魔宝石や賢者の石のような伝説級の鉱石まで作り得てしまう。

元々好奇心旺盛なフランは、他の同年代の子よりかなり知識が多い。

それに加えて、5歳になる頃から今まで以上に書庫の資料や文献を読み漁り、更に多くの情報を得ている。

錬金魔法が如何に危ういかをおそらく知っている。

貴金属の量産による大きな物価の変動、その能力の希少性と危険性、自身に及ぶ危険の可能性、そして他者から向けられる好奇の目。

頭のいいフランは、みだりに錬金魔法を使うような事はしないだろうし、フランを狙う者からは我々が守ってやればいい。

ただ、フランに対する妬み嫉み、有りもしない噂や誹謗中傷は、幼いフランには酷すぎる。

それを理解していたのだろう、発表後からのフランの様子は、不安を精一杯隠そうと平然を装っているように見えた。



旦那様の帰りを待つ間、考えていた、

どうやってフランを守るか。

「公爵夫人」としてできる事など、その権力を使ってフランを狙う者達から守る事程度。

「母」としてフランの心の支えにならなくてはいけない。

でも、どうやって?


レイジもフランも、とても優秀だ。

レイジは一人前の騎士団の一員として活動しているが、やはりまだ14歳。

年相応の考え方や行動をすることもあり、挫けることもある。

そんな時は慰め、叱咤激励する。

「貴方なら大丈夫。
今は辛くても、乗り越える事が必ず出来るから。」

レイジはその言葉をいたく気に入っており、心の支えにして困難に立ち向かう力にしている。

では、フランは?

出来ない事があっても出来るようになるまで何度も挑戦し、わからない事があってもわかるまで調べ尽くす。

私はフランの弱音を聞いた事がない。

そして、挫けた様子をみた事がない。

決して諦めやすい楽天家という訳ではなく、むしろその逆で、ありとあらゆる壁を努力と知恵や才能で乗り越えてしまっている。

だからこそ、決して登ることの出来ない壁に差し掛かった時、立ち上がる事が出来るのだろうか、

それを手助けする事が出来るのだろうか。

何か心の支えになってあげる事が出来るのだろうか。
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