公爵令嬢はジャンクフードが食べたい

菜花村

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88 公爵令嬢は休暇を過ごす 3

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帰りがけの途中、リッカが育った孤児院によった。

王都で買った服や食べ物を子供達にあげていたリッカを見ると、心が和む。

私も持ってきていた昔のドレスを大量にあげた。

「こんな高級ドレス、着せるのがこわいです!」

いやいや、子供達喜んでるんだから、着せてあげてよ。

あーもう、ここにチョコレートなんて持ってくるから取られちゃうんでしょう?

子供に喧嘩を売らないでよ!



結局帰りも狩りをしながらだったので、男爵領に着いたのは六日目の日暮れだった。

もう夜ということで旅の疲れを取るために、戦利品を開封して寝るまでダラダラ過ごす事になった。

と言っても、私の戦利品て蜂蜜と本数冊だけだし、本はとっくに読み終えてしまってすることがない。

じゃあ蜂蜜で何か作るか。


ワセリンと蜂蜜をよーく混ぜて、リップクリームとハンドクリームの完成。

蜂蜜を顔に塗って、蒸しタオルで顔を覆い、しばらくしたら洗い流せば、蜂蜜パック。

パック用のタオルを手芸の時に作っちゃおう。

うーん、蜂蜜を化粧品として使うのは贅沢だなぁ。

そういえば、この世界では蜜蝋ってロウソクとしてしか使われてなかったな。

ちょっと蜜蝋の化粧品を作ってみようかな。

「またお仕事なさってませんか?」

し、してないよ?

ちょっと疲れたから、お肌のことを考えて手入れしようとしてただけだよ?

「本当にこれらは効果があるのですか?」

またそれかよ!

分かったよもう、使ってごらんよ!

私は蜂蜜で料理してくるから!


小鍋に砂糖と水を入れ火にかけて焦がし、お湯と蜂蜜を加えてよく混ぜ合わせ、型に注ぎ分けて冷ます。

次に、卵と卵黄を溶きほぐし、砂糖、バニラエッセンス、はちみつを加えてよく混ぜ合わせる。

そこに熱した牛乳を80~90度を加え混ぜて、裏ごしにかけたら型に注ぎ分ける。

型を深目のバットに並べて、熱湯を型の3/4くらいまで注ぐいでオーブンで蒸し焼きにしたら、プリンの完成!


夏みかんの果汁を絞って、これとは別で果肉を蜂蜜を絡めてしばらく放置。

生クリームに蜂蜜を加え、六分立てにする。

鍋に卵黄と蜂蜜、少し温めた牛乳を入れて混ぜ、弱火にかける。

軽くとろみがついてきたら火を止め、ゼラチンを加えてザルでこし、冷水にあてながらゆっくりと果汁に混ぜる。

とろみがついてきたら、果肉と生クリームを混ぜて、火属性魔法で冷やす。

……火属性魔法で冷やすって言い方、絶対変だよなぁ。

固まったら、蜂蜜夏みかんババロアの完成!

この世界、ゼラチンが作られてる所が凄く限られてて、しかも食用扱いじゃない。

手に入れるのが凄く大変だった。

蜜蝋と合わせて、何とか大量生産化したいなぁ。


小鍋に、水、はちみつ、杏仁霜代わりアーモンドパウダー、粉寒天を入れて、ダマにならないようにしっかりと混ぜ、沸騰直前まで温める。

牛乳を少しずつ加えしっかり混ぜ合わせる。

粗熱がとれたら、カップに入れ冷やし固め、ミントを飾れば、蜂蜜杏仁豆腐!


なんだか似たようなプルプル系デザートばっかり出来た。



夕食後のデザートにみんなで実食。

せっかくだからアデンとケンも呼んだ。

「わぁぁあ!
これ全部プルプルで美味しぃ!」

「見た目がよく似てますが、食感や風味が少しずつ違ってて美味しいですね。」

「ほぉ、どれも蜂蜜が良い甘味を出していて、この暑い季節によく合う。」

「ところてんとよく似てますが、どれもテングサを使っているのですか?」

「固め方はどれも違うわ。
でも、どれもプルプルで美味しいでしょ?」

この世界にはプリンがなかったのかな。

寒天もゼラチンも必要ないんだけど、ここの誰も知らないって事は、プリンはメジャーな料理じゃないのかな?



七日目、この日は三人でリゾート地区へ。

ウォータースライダーをしに来たのだ!

このウォータースライダー、石製で完成するまでに1年以上かかっている。

私なら一瞬で作れるけど。

大勢の職人さん、お疲れ様。

おかげで大盛況ですよ。

直線のレーンが三本、海に向かって架かっていて、着水部分はプールのような形にしている。

私達三人は水着に着替えて、いざ出陣!

「領主様、いらっしゃってたんでしたら、お声かけ下さいよ!
すぐにウォータースライダーを滑られるようにしますから!」

懐かしなぁ、五年前の成認式もこんな事あったなぁ。

そしてあの時同様並ぶけどね?

行列はかなり長く、待っている間に熱中症にならないように、日陰を作ってそこに列を作らせて、更には待機中の人達に飲み物を販売している。

このサービスも中々好評。

いよいよ私達の番になった。

日本のモノよりはもちろん短いんだけど、それでも数十年ぶりのウォータースライダーにドキドキする。

「まずはフラン様からどうぞ。」

あらありがとう、ではお言葉に甘えて。

ひゃっほぉう!

おおーーー!

結構勢いが出るなぁーーー!

ざぶーん

ぷはぁ!楽しい!!!

あ!うそ!凄い事発見した!!

私、泳げる!

運動神経悪いのに、平泳ぎ出来るし!

後から来たリッカとレベッカちゃんがめちゃくちゃびっくりしてる!

そりゃそうだろうね、一年かけてやっとぎこちなく踊れるようになったくらいに運動神経をどこかに置いてきた私が、初めての海でいきなり泳いでるんだもんね!

私もびっくりしてるんだよ!?

とりあえず、もっかいウォータースライダーしようよ!


この日、一日中海水浴してたけど、私が一番楽しんでた。

リッカやレベッカちゃんが休憩してる時も、一人行列に並んでは滑りをずーっと繰り返してた。

いやぁ、泳げるって素晴らしいね!



八日目と九日目は、手芸や裁縫をする事にした。

リッカがとても手芸上手で、レベッカちゃんに刺繍やレース編みを教えていた。

そして私は、予告していた通りお祖母様から頂いたドレスをリメイク!

ただし手でちまちま縫うのは面倒くさいので、作っちゃいました。ミシン。

足で踏んで使うタイプのだけど、結構コツがいるんだね。

いきなり本番するのはちょっとやめて、端切れでぬいぐるみを作った。

二人は勿論食いついてきたよ、ミシンに。

そして勃発する、ミシン争奪戦。

二人とも、刺繍と編み物をしてたんじゃなかったのかよ。

これじゃあ私ドレス直せないじゃん。

もう、それならミシン三台にするから!

一人一台ずつね!

あ、そういえば、ブロッサム商会も針子が足りなくて困ってるって言ってたな。

ついでに、そこにも何台かミシンを作ろう。

あぁー、王都にいる時に気付けば良かったなぁ。

とりあえず、これで今まで着られなかった服も着られるようになる。

グッバイ、フリフリ。



休暇ラストは、リッカ&レベッカ着せ替えショー。

私が作った色んなドレスを着てもらうのだ。

で、着心地やデザインの感想を二人にしてもらって、高評価なものはブロッサム商会で販売する事にした。

まぁ、作ったとは言っても、実際私がしたのはデザインだけだし、そのデザインのほとんどが俺の記憶の流用なんだけど。

という事で、地球の民族衣装を沢山作っちゃいました。

まずは代表的なところで、チャイナドレス。

続いては、サリー。お腹の出てないタイプのやつね。

これは私のお気に入り、ウォビッツ。

世の男性が愛してやまない、アオザイ。

オシャレ着にも出来そうな、ディアンドル。

フワッとしたシルエットの、チマチョゴリ。

そして、忘れてはいけない、着物。

リッカはスタイルがいいから、チャイナドレスやアオザイがめっちゃ似合う!

ただし、チャイナドレスのスリットはかなり恥ずかしいとの事でNG。

スリットの内側にレースでも付けて生脚が見えないようにしようかな?

レベッカちゃんは、ウォビッツとディアンドルが可愛かった。

本人も凄く気に入って、オシャレ着にすると言っていた。

……あげるとは言ってないんだけどね?

二人の感想として、リッカはアオザイが、レベッカちゃんは、ウォビッツが一番気に入ったらしい。

ちなみに、着物は「「動きにくい」」との事で不評だった。

二人とも凄く似合ってたんだけどなぁ。



という事で、十日間過ごしてみたけど、これ、休めてるのか?

明日から、休暇中に思いついた事全部実行していくぞ!



「フランちゃん、休暇中も休む気なかったね。」

「きっと、止まると死んでしまう呪いでもかけられてるんでしょう。」

せめてワーカホリックと言ってくれよ!
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