公爵令嬢はジャンクフードが食べたい

菜花村

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149 公爵令嬢は野外活動をする2

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 夜営の時間。

 六人のうち二人づつで見張りをしていく。

 私は二年生の男子生徒と。

 元々狩りや野営は得意じゃなくて、座学や研究が好きなタイプらしい。

 私と同じだね。

 私と違うのは、魔法の属性と威力くらい。

 水属性で魔力量5レベルなんだけど、私より圧倒的に魔法の使い方が下手くそ。

 夜営中に二人で魔法の練習をしていたら、あっという間に交代の時間になっていた。

 「貴方達見張り中に何をなさってるんですか?
 緊張感無さすぎですよ。」

 呆れた顔してそう言うカーネル生徒会長。

 男子生徒もいたからか、言い方はいつもよりかなり優しめ。

 もう、常にこうあってくれ。



 この日の夜営は特に問題なく過ごせた。

 日が登ってからするのは、冒険者のそれ。

 冒険者ギルドから貰ってきた低レベルのクエストをこなしていく。

 薬草の採取、獣の部位収集、小型魔獣の討伐等、ひと班に何種類ずつかのクエストを貰って、何日で達成できるか。

 ……私の班、既に三つほどクリアしてるわ。

 私が実験用に採取したメマリ草の花びらとカラットの実、夕食で食べたミナミ鳥の羽が採取クエストとして出ていて、昨日のうちにこれらは全部出来ちゃってる。

 自分でも分からないうちにクエストクリアとかどんだけよ。

 「残りのクエストは他の人達に任せなさい」と先生は呆れていた。

 じゃあ私は、クエストとは関係ない採取や狩りをしよう。

 ちょっと作ってみたいものもあるし、みんなの役に立ちたいし。

 朝食が昨日の焼肉の残りだったけど、全部食べ切っちゃったので、肉の収集と魔石の回収をやりたいな。

 という訳で、今日もサーモグラフィーと熱操作、あと実験でどんどん狩りをしていく。

 荷物運びは獣型ゴーレムのお仕事。

 しかし、ここはやたらと獣が多い。

 先生曰く、ここには大型の獣が住んでいないため、小型の野獣や弱小の魔獣が多く生存しているんだと。

 なるほど。

 とりあえず私は、環境破壊しない程度に一日分の食事と魔石、実験用の植物を採取していった。



 昼休憩でみんなの収穫を公開。

 採取クエストは量が足りないから昼からもう一度。

 狩猟クエストは小さすぎて獣を捕まえるどころか見つける事すらできなかった模様。

 昨日伝えた火属性魔法は、誰も実践できる人がいなかったため、惨敗。

 そして私は、テディウルフと言う中型犬位の大きさの魔獣をゲット。

 他にも色々捕獲したけど、魔獣はこいつだけで三匹捕獲出来たからまあ良しとしよう。

 三日分くらいの食料に、他の班の人達もビックリ。

 いや、リリーちゃんとビクター君の班のみんな、両手に肉を掲げながら驚くなよ。

 「こんなに大量に狩ってしまって、生態系が壊れてしまうでしょ?
 もっと自重してください。」

 先生から狩り禁止令が提示されてしまった。



 狩りの出来ない私は、捕った動物のお肉で保存食を作っていこうと思う。

 保存食といえば、燻製。

 日持ちが良くなる温燻法と、長期保存に適した冷燻法、両方でやっていこう。

 まずは下ごしらえ。

 皮を剥いで内蔵を取り出し、扱いやすい大きさに切っていく。

 15%程の食塩水にハーブや黒胡椒をブレンドした『ソミール液』を作って漬け込んで、食材内部の水分を抜き、保存性を高める。 

 塩抜きして風乾燥させたら、いざ燻製。

 まずは温燻法。

 60~70度の中温で数時間程度燻す、ベーシックな方法。

 仕上がりの水分量は50%程度で、口当たりが柔らかく食べやすい。

 長期保存には向かないので、冷蔵庫保管で数日以内が限度。

 つまり、火属性魔法で低温管理しておけば、数日間はこれを食べることが出来るのだ。

 ハムがこれに当てはまるね。

 次に低燻法。

 15~30度程度の低温で、数日から数週間と長時間燻煙をかける方法。

 水分が飛ぶので長期保存できて、噛むほどに旨味を感じる燻製に仕上がる。

 温燻法の燻製肉を食べ尽くす頃には出来てると思うから、今から楽しみ。

 牛肉はないけどビーフジャーキーみたいなのが出来る予定。



 夕食は熱燻法という保存に向かない燻製。

 百度くらいの高温で、6~36分(地球時間で10~60分)と短時間燻製する方法。

 あぶって焼いたような口当たりで、出来たての美味しさが特徴。

 山菜や野草と一緒に召し上がれ。

 「うはぁ!美味い!」

 「野営でレストランみたいな料理が食べられるなんて、贅沢の極みだ!」

 「このソーセージ、絶対ビールがあうよ!」

 ソーセージにビールってドイツかよ。

 「肉が沢山あるし、保存食作ってくれてると来たら、これから狩りをしなくても十分だな。」

 おいおい、狩猟クエストがあるんだからひと狩り行けよ。



 翌日からは私はすごーーく暇だった。

 だって、狩猟も採取もしちゃダメだって先生に言われてしまったから。

 なんのための野外活動だよ。

 仕方がないので、今まで採取してきた植物や動物を材料に、色んな薬品を作っていくことにした。

 特に役立ちそうな治療薬や毒薬は、今後の野営に必要になるかもしれないし。



 夕食の時間になり、みんなが戻ってきた。

 今回は採取組が二クエスト分達成、狩猟組はクエストと関係ない動物を捕獲。

 新鮮なお肉でBBQパーティーの始まり!

 山菜とお肉を交互に串に指して、塩コショウで味付けして焼けば、簡単出来上がり。

 他の班では、二年生と協力してご馳走にありつけている人達もいれば、連日保存食で生きながらえてる人達も。

 三班リリーちゃん達は一年生だけで完成されてるから、もはや2年生の方が足を引っ張っているみたい。



 食事が終わったら、見張りの時間。

 今日はカーネル生徒会長と一緒。

 うぅ、なんだかいたたまれない。

 「カーネル生徒会長は、狩りや野営は得意ですか?」

 「一応。
 辺境伯ともあるので、のうのうと遇たら過ごしていては生きていけませんからね。」

 「通りで、色々と手際が良いと思いました。」

 「それは嫌味ですか?
 狩猟グループの私達は、まだひとつもクエストクリアしていないんですよ?」

 それはそうなんだけど、全体的に指示が的確だったり狩りが上手だったり。

 なんだか意外だった。

 そんな話をしていると、なんとも言えない不思議な感覚にあった。

 「カーネル生徒会長!」

 「貴女も分かりますか?」

 何か不穏な空気がする。

 それも、かなり強めの気配。

 私達が帰るまで、何も無ければいいんだけど……
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