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episode09:奴隷か王族か
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しおりを挟む朝から仰々しいほどのパレードの中、クノリス王が引き入りアダブランカ王国軍はグランドール王国へと出発した。
窓の中からリーリエは、その様子を見ていた。
城からアダブランカ王国軍が見えなくなったら作戦開始の合図だ。
ノックの音が聞こえて振り返ると、アンドレアが部屋の中に入って来た。
「本当に行かれるおつもりですか?」
アンドレアは疑っているようだった。
「あなたには、関係のない話よ」
「残念ながら、関係のあるお話です。私も同行しようかと思っておりまして」
まさかのアンドレアの提案に、リーリエは驚いて彼の方を見た。
「どういうつもり?」
「よくよく考えましたら、私はクノリス様からリーリエ様をしっかりと見張るようにと指示を受けております。ですが、リーリエ様が城の外に出る用でしたら、私は同行してあなたを見張らなければなりません」
肩眼鏡の奥の瞳は、本気だった。
「いいの?アンドレア」
「本当にあなたもクノリス様もよく似ていらっしゃいますよ。イレギュラーで振り回されているのは慣れていますので。あなたを追いかけて同行しても、同行しなくてもクノリス様から罰を受けることは確定しているので、でしたらあなたが生きている方がいい」
「ありがとう……」
「ですが、私は今もあなたのことが嫌いですし、あなたがこの国に来たからこういうことになったのだと思っておりますからね」
アンドレアの言葉に、リーリエは苦笑いを浮かべた後、準備を始めた。
人払いは出来ている。
クノリスがいなければ、リーリエの発言に逆らえる者はいないのだ。
アンドレアが用意した使用人の服に着替えて、城の裏口から出る。
裏には、メノーラが手配した馬車が用意されていた。
馬車の中では今かとメノーラがリーリエのことを待ち構えていた。
「ええ!アンドレアさんも来てくださるのですね!心強いですわ。まあ、腕力の方はあまり期待できなさそうな細さですけれど、男性がいるのといないのではこの作戦は、全然違いますものね」
アンドレアの提案で、軍服に着替えることはなしとなった。
「市民のふりをして移動した方がいいと思いますが。向こうの国に入って、アダブランカ王国の軍服なんか着ていたら、目立って仕方ないでしょう」
***
アンドレアがチームの中に入ったことは、リーリエとメノーラにとって予想以上によい方向へと向かうことになった。
馬車の中で二人が作戦会議をしていると、粗を見つけてはこうした方がいいのではないかとアドバイスをくれるからだ。
「この国境以外に侵入ルートは本当にないんですか?」
アンドレアが地図を広げてリーリエに尋ねてきた。
「ないわ」
リーリエはきっぱりと答えた。
グランドール王国は山に囲まれた王国であるため、道の数も限られている。
リーリエがノルフに殺されそうになった屋敷の傍にあったチェルターメンの谷を越えて行けば、メディウム山脈という標高が高い山にぶつかるし、西側に向かって侵入しようとすれば、コントレクチュアリ山脈というものにぶつかる。
山道を乗り越えて侵入すればいいのかもしれないが、それでは時間がかかりすぎるのだ。
「どう考えても正面突破しかないのか……」
「無理矢理にでも突破すれば何とかなると思っていましたが、だめなんですの?」
メノーラの質問にアンドレアは「リスクが高い」と答えた。
「それに馬車の中を確認されれば、グランドール王国の人間はリーリエ様の顔は把握されているだろう」
「確かに……式典には必ず顔を出すようにと指示をされていたので、兵士たちは私の顔は知っているかもしれません」
「そうなると、この馬車で行くのは厳しいですね」
アンドレアは、途中で馬車を積み荷に変えるようにしようと提案した。
農作物を流入する者を演じれば、天候によって不作続きのグランドール王国の人間は寛容になるはずだとのことだった。
「なるほど。思いつきもしませんでしたわ。私はてっきり普通に通れると思っておりました」
「あなた方の作戦会議ずっと聞いていましたが、ツッコミどころが多すぎて心配この上なかったですよ。ところで、どの農作者に積み荷を借りるかって話なんですが……」
「農作物だったら、私、いい人を知っています!」
身を乗り出してリーリエは言った。
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