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399治療の勉強

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茶会が終わり、ガラとレオは第3騎士団に稽古を付けてもらう為にサリナ姫や勇者の3人と一緒に登城する事にし
拓は自由にさせると危険だとガラとレオに言われ、ブルネリ公爵の屋敷に世話になることになった。
ズゲベ侯爵達は魔獣討伐の拠点作りが終わり、ブルネリ公爵、クロイツ公爵が助力する事を確認できたので明日にでも領地に向けて出発する。

ガラとレオがサリナ姫達と城に帰ると、ブルネリ公爵とクロイツ公爵から
アンディ・ジョーンズからの手紙と、龍王、龍神と呼ばれる伝承の伝わっている場所をまとめた地図が渡された。
拓が手紙と地図を確認して顔を上げる。

「どうして、私にこれを?」
「手紙は我々に送られてきたものだ。それは写しだが拓殿も興味が有ると思ってな。
 地図は国王様から拓殿に渡すようにと預かった。余り人前で渡したくないみたいなので、今渡させてもらった。」

拓は改めて地図を確認すると、龍王の話としては3ヶ所あり2つはこの間見た龍王と守護龍の伝承が残っている遺跡。
残りの1つは未だ訪れていない遺跡だった。
他にも龍神の伝承として海岸のそばに2つ有るのを確認してアイテムボックスにしまった。

「瘴気の吹き溜まりについては、城の学者の言われていた通りですか。
 魔獣の動きや周辺の調査だけで言い当てるとは凄いですね。」
「・・・いや、ここまで大きな瘴気の吹き溜まりだとは考えていなかった様だ。
 拓殿達が壁や見張台を作ってくれて本当に助かっている。」

拓は打ち合わせの時の様子を伺い、自分が思っていたよりアンディ・ジョーンズの手紙の効果が有った事を知り
現状を伝えるという当初の目的を達成する事が出来て安心していた。


次の日は拓はビスタ子爵を訪れ、ハックの治癒魔法の進み具合を確認し、
丁度、神殿に行く日だったので拓も同行させてもらう。
ルーカスも勉強を続けていて3人で教育を受けたのだが、薬については既に拓は付いて行けてない。
既に、ルーカスにも薬の知識については追い抜かれていた。
それは仕方ないと割り切り、拓は水晶の玉で対応できない症状についてのみ覚えることにした。
そして、実際に怪我人の治療を行ったのだが、既にルーカスは拓が渡した魔道具の腕輪を使いこなし事前に魔力を浸して治療するという秘儀を行っている。

「凄いね。こんなに早く魔道具を使いこなすなんて思ってなかった。」
「ハック殿は拓殿からプレゼントされたと言って、本当に良く練習されていましたからね。」

ピース神官に言われてハックは少し照れていたが、拓としては魔力量の差が無ければハックと大して治療技術は変わらないのでは?と
褒めたい気持ち半分、兄弟子としての立場が無いと思う気持ち半分
いや、薬の知識を考えると、兄弟子と言える立場では無いのかもしれないと・・・

拓は何時も通り拓の治療魔法を見せるが、相変わらずハックは感心してくれる。
拓は治療をしながら、探索魔法で確認している傷の状態を説明する。
神殿でも中級の探索魔法を使える魔導士に助力を得て情報を得ているが、拓の方が繊細で新しい発見が有る。

「未だハックに見せられる治療が出来て良かったよ。」
「拓さんの治療は勉強になる事ばかりです。治療魔法が上達すればするほど、拓さんの魔法の凄さが分かります。」

正直、ハックの治療は十分なレベルだと思うので、気を使って持ち上げてくれているのだろう。
拓はハックの優しさに喜んでいたが、ハックは改めて拓の凄さを感じていた。
ハックが必至で行っている治療を拓は無駄なく簡単に行っている。
自分の治療技術が上がるほど、それがどれだけ凄い事なのかを思い知らされる。
ハックが目標としている頂きは、遥かに遠く高かった。

「流石、拓さんです。ハックも凄いよな。初めの頃よりずっと上達しているのが分かるよ。」

そして、魔法を使えないルーカスですら、拓の治療が凄いのを感じていた。
教育を終わり、拓は最近のハックとルーカスの状況について聞いてみると
ハックは薬や人体の勉強を行い、時間が有ればスラム街で実際に治療を行っていた。
ルーカスはここでの勉強の他に、拓に貰ったワイバーンの素材で作る防具に釣り合うだけの実力を付けようと剣の稽古をしていた。

「2人は勉強ばかりしているのか。良い事だけど、少し息抜きをした方が良いだろ。」

2人にとっては拓という目標に近づきたいという気持ちの方が強い。
余り頑張り過ぎるのも良くないと思い、拓が何かしたい事はないかと聞くと

「それでしたら、開拓地に行ってみたいです。」

ハックの提案にルーカスも頷く。
特にハックは父親が開拓地の責任者というのに、未だ実際に見た事が無かった。

「その辺は、ロダン侯爵とビスタ子爵の許可が出てからかな。
 今はガラもレオも特訓でOZとして動けないから、護衛も必要になるし。」

一応、拓から話をしてみる事にすると

「拓殿、行かれる場合は、我々も同行させてもらっても良いでしょうか。
 開拓地の話は色々と聞いているのですが、現状どうなったのか気になっていまして。」

ピース神官とトリス神官も、開拓地の現状に興味が有るみたいだ。
拓としても、わざわざ開拓地の為に足を運んでくれた神官2人に活気のある開拓地を見せたいという気持ちも有り同意する。
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