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次の日、拓はオリバー隊長に連れられて訓練場へと移動したのだが、何時もの場所ではない。
何故かバラン将軍の他にグリム魔導士、第1騎士団 ダッソン将軍、第2騎士団 シンシア将軍まで居る。
更におかしいのは、何故か将軍3人が防具を身に付け準備運動をしている事だろうか。

「これから訓練を始めますので、拓殿も体を温めてください。」

オリバー隊長に言われ拓も体を解すが、絶対に碌な事ではない。
ほどほどに体が温まった所で、国王が登場。
素晴らしい笑顔で拓に手を振ると、バラン将軍が前に出る。
拓がジト目でバラン将軍を見ると、バラン将軍は咳ばらいをして話を始めた。

「今後の魔獣の脅威を考え、魔獣と戦うため勇者3名と拓殿を加えた訓練を行う。
 先ずは乱戦状態での勇者3名のサポート力確認、その後は拓殿とダッソン将軍、シンシア将軍との試合を行う。」

拓としては、何故そうなる?ここに国王まで居るのは何故だ?と問いただしたい所だ。
浩司、由美、里香の方を見ても、3人ともこの状況は知らなかったみたいだ。

先ずは乱戦になった時の勇者3人のサポート力の確認
騎士団が2組に分かれて乱戦を模擬する中、浩司達がその後方の攻撃を行う。
中級魔法の攻撃だが、戦い合っている兵士達を避けて魔法攻撃が後ろへと届く。
正確に狙う事は出来ないが、乱戦状態の兵士達を避けて後ろに攻撃魔法を飛ばせるだけでも十分な成果と言える。

「そこまで。」

バラン将軍の号令で確認は終わり、兵士達から勇者3人に惜しみない拍手が送られていた。
拓もサポートとして付いていたが、特に手を出す必要もなく無事に終了。

「次は拓殿とダッソン将軍、シンシア将軍との試合を始める。先ずはダッソン将軍。」

爽やかなイケメン、ダッソン将軍が拓の前に進み出て挨拶をする。
眩しい程のキラキラオーラ。
とは言っても、この城に仕える将軍。爽やかに見えて中身はドSなのだろうと拓は失礼な事を考えていた。

「始め」

バラン将軍の掛け声と共に拓は姿を消して距離を取る。
ダッソン将軍も魔獣との戦いの為と言う事で、開始早々の攻撃をしてこない。

拓が水魔法で攻撃を仕掛けると、初めは体術と剣で対応していたが、攻撃手数が増えていくと光波を張り攻撃を防いでいた。
直ぐに拓は先に攻撃をしていた水を操作しダッソン将軍の周囲を覆うと、光波を弾けさせて水を飛ばす。

「オリバー隊長を追い詰めた魔法か。さすが拓殿だ。」

美形の男の笑い顔を怖いと思ったのは拓にとって初めての事だった。
やはり、この国に仕える上の人間は危険な人しかいないと理解した。
拓は再び攻撃を開始。
放った水で霧を発生させ視界を塞ぐ。そして、周囲に落とし穴を作り上げた。
が、ダッソン将軍は既にこの手は知っていたのか、その場から動かず拓の攻撃を防ぎ残波という気の塊を飛ばして拓を攻撃する。
このままこう着状態が続くかと思ったが、突然ダッソン将軍の足元の地面が崩れると、ダッソン将軍は一気に飛んで拓の懐に入る。

「そこまで。」

バラン将軍の声が響き、試合は終了。

「あの様な攻撃をするとは、流石は拓殿です。いい勉強になりました。」

拓とダッソン将軍が握手をすると、この試合を見学していた人達から惜しみない拍手が送られた。
地面は土魔法を使う魔導士によって平らにされ、今度はシンシア将軍が前に出る。

「拓殿、宜しくお願いしますね。」

柔らかい口調で話して来るシンシア将軍は、笑顔だが目が笑っていない。
拓は美男美女と言うのは、それだけで恐怖を振りまく生物だと改めて感じていた。


シンシア将軍との試合が始まった。
シンシア将軍も拓が攻撃を仕掛けるまで剣を構えて対峙している。
しかし、拓が攻撃を仕掛けると、信じられないスピードで拓に迫ってくる。
拓もシールドを張って距離を取ろうとするが、姿を消した拓を的確に捉えるシンシア将軍。
どうやら、ガラードやワンガの様な特別な絶対空間を使う事が出来るみたいだ。

拓は火魔法で大量の火球攻撃を行い、何とか絶対空間の外まで離れると魔力を隠した攻撃を行うが全て避けられてしまう。
攻撃を仕掛けながら、自分と等身大の闇の魔力の塊を飛ばすとシンシア将軍の剣が唸るが全て外れ・・・
しかしシンシア将軍は慌てずに背後から攻撃を仕掛ける拓に向けて剣を向けた。
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