50 / 761
050マクニス王国
しおりを挟む
「密偵より、先に起きたアスラーンとグランザムの王国間での戦争の原因となった魔道具の報告が有りました。」
どの国も先の戦が国土を取り戻す為の戦いでは無く、魔道具の争奪だったと知っている。
そして、その魔道具に対し軍事力としての興味を強く持っていた。
「その魔道具とは、いったい何だ。」
「ハッ、今までに無い未知の魔道具です。
大きさは30cm程の四角い箱、上面に水晶体がはめ込まれているだけで装飾は有りません。
探索魔法でも内部に高密度の魔力が蓄えられている事が分っただけです。
1つは、遺跡近くで発動させると爆発し、巨大なクレータを形成。
残りの1つは、先の戦争で発動され両軍の精鋭数百名を滅ぼしたとの事です。」
「それが何かも分らず、制御も出来ないのか。しかし、その破壊力は無視できぬな。」
「我が国も、直ちに遺跡の調査を行うべきかと考えます。」
密偵よりもたらされた報告により、マクニス王国においても遺跡調査を行う事となった。
王国で把握している勇者の遺跡の数は26ヶ所
その中で可能性の高そうな場所から調査を開始したが、新しい発見は何も無かった。
そして、最後となったのがエバの遺跡だった。
城の長い回廊を1人の大きな男が歩いていると、庭で御付の者を従えた女性から声を掛けられた。
「バラン将軍、少し宜しいでしょうか。」
「如何なされましたか、サリナ姫。」
バランはマクニス王国において最強と呼ばれる武人。
そして女性はマクニス王国第3王女 サリナ姫
バラン将軍を庭に連れ出すと、侍女を1人残して人払いをした。
「バラン将軍、次に行くエバの遺跡に私も連れて行ってくれませんか。
その旅で、私の運命に関わってくる人との出会うかもしれないの。」
人払いを行うと、サリナ姫は急に砕けた口調でバラン将軍に話しかける。
「それは最近はまっているという占いですか。結婚される相手と出会うとは。」
バラン将軍がため息交じりに話す。
最近、貴族の女性の間で占いがはやり、このサリナ姫もはまっている。
カードを並べて、そこに描かれている絵を見て占うらしい。
「そんなロマンチックな出会いなんて有る訳が無いじゃない。
でも、何度やっても同じ結果が出て来るのよ。
それに、実際に遺跡を見る良い機会だし。」
「駄目だと言っても姫は付いてくるのでしょう。全く姫でありながら、こんなにお転婆とは」
国王には、王子が3人、王女が3人おり、サリナ姫は1番年下だった。
母は元女中で国王に見初められサリナ姫を身篭ったが、産後の経過が悪くサリナ姫が10歳の時に亡くなった。
母を失い後ろ盾も無いサリナ姫の周りには、彼女を取り込もうとする貴族が集まって来た。
彼女の母の護衛をしていたバラン将軍が、彼女の盾となり守っている。
サリナ姫は出身が貴族、平民関係なく気さくに接している。更には人族、獣人の垣根も無く対応していた。
それが他の貴族、一部の人族から反感を買っているのは分っていた。
何度か身の危険を感じる事も有ったが、彼女は自分の考えを変える事は無かった。
「サリナ様、この様な所でバラン将軍と何を話されているのです。」
1人の男が近付いてきた。
「バラキエ侯爵、どうかされましたか。」
サリナ姫は表情を消し、近付いてきたバラキエ侯爵に話しかける。
「サリナ様がバラン将軍と話されていたので、どうかされたのかと思いましてな。」
「ただの世間話です。侯爵には関係ありません。」
「そうですか。
世間話も良いですが、いつまでも獣人なぞに情けをかけておらず、王女としての立場を自覚して頂けませんと。
バラン将軍も、獣人なんぞ部下に置かず、魔法の使える人間だけで部隊を編成されては如何ですかな。
サリナ様の警護に魔法も使えない者を付けられては困りますからな。」
「バラキエ侯爵、将軍の配下は将軍に人事権が有ります。幾ら侯爵とはいえ口を謹んで下さい。
それに、バラン将軍を私の警備に付けたのは貴方ではないですか。」
バラキエ侯爵の言葉にサリナ姫が強い口調で反論するが、バラキエ侯爵は気にしなかった。
「そうでしたな。魔法が使えない獣人の護衛に意味が無い事を理解して頂けると思いましたが。
まさか、使えない護衛に同情するとは予想外でした。」
「同情ではありません。バラン将軍の部下は頼りになります。
侯爵こそ、獣人の能力を過小評価されているのではないですか。」
「サリナ様が襲われた時、盾になるくらいはなるでしょうが直ぐに壊れますよ。
命は大切にしてもらいたいですね。」
そう言うとバラキエ侯爵は笑いながら立ち去って行った。
バラキエ侯爵は魔法を使えない獣人を否定している貴族の1人だ。
サリナ姫の母親が存命の間は、獣人にも普通に接していたが、亡くなると手のひらを返すように獣人を否定し始めた。
噂では、サリナ姫の母親を取り込み権力を得る為に獣人への偏見は無いと偽っていたと言われている。
そして、今ではサリナ姫の動向をチェックし何かと口を出して来る。
どの国も先の戦が国土を取り戻す為の戦いでは無く、魔道具の争奪だったと知っている。
そして、その魔道具に対し軍事力としての興味を強く持っていた。
「その魔道具とは、いったい何だ。」
「ハッ、今までに無い未知の魔道具です。
大きさは30cm程の四角い箱、上面に水晶体がはめ込まれているだけで装飾は有りません。
探索魔法でも内部に高密度の魔力が蓄えられている事が分っただけです。
1つは、遺跡近くで発動させると爆発し、巨大なクレータを形成。
残りの1つは、先の戦争で発動され両軍の精鋭数百名を滅ぼしたとの事です。」
「それが何かも分らず、制御も出来ないのか。しかし、その破壊力は無視できぬな。」
「我が国も、直ちに遺跡の調査を行うべきかと考えます。」
密偵よりもたらされた報告により、マクニス王国においても遺跡調査を行う事となった。
王国で把握している勇者の遺跡の数は26ヶ所
その中で可能性の高そうな場所から調査を開始したが、新しい発見は何も無かった。
そして、最後となったのがエバの遺跡だった。
城の長い回廊を1人の大きな男が歩いていると、庭で御付の者を従えた女性から声を掛けられた。
「バラン将軍、少し宜しいでしょうか。」
「如何なされましたか、サリナ姫。」
バランはマクニス王国において最強と呼ばれる武人。
そして女性はマクニス王国第3王女 サリナ姫
バラン将軍を庭に連れ出すと、侍女を1人残して人払いをした。
「バラン将軍、次に行くエバの遺跡に私も連れて行ってくれませんか。
その旅で、私の運命に関わってくる人との出会うかもしれないの。」
人払いを行うと、サリナ姫は急に砕けた口調でバラン将軍に話しかける。
「それは最近はまっているという占いですか。結婚される相手と出会うとは。」
バラン将軍がため息交じりに話す。
最近、貴族の女性の間で占いがはやり、このサリナ姫もはまっている。
カードを並べて、そこに描かれている絵を見て占うらしい。
「そんなロマンチックな出会いなんて有る訳が無いじゃない。
でも、何度やっても同じ結果が出て来るのよ。
それに、実際に遺跡を見る良い機会だし。」
「駄目だと言っても姫は付いてくるのでしょう。全く姫でありながら、こんなにお転婆とは」
国王には、王子が3人、王女が3人おり、サリナ姫は1番年下だった。
母は元女中で国王に見初められサリナ姫を身篭ったが、産後の経過が悪くサリナ姫が10歳の時に亡くなった。
母を失い後ろ盾も無いサリナ姫の周りには、彼女を取り込もうとする貴族が集まって来た。
彼女の母の護衛をしていたバラン将軍が、彼女の盾となり守っている。
サリナ姫は出身が貴族、平民関係なく気さくに接している。更には人族、獣人の垣根も無く対応していた。
それが他の貴族、一部の人族から反感を買っているのは分っていた。
何度か身の危険を感じる事も有ったが、彼女は自分の考えを変える事は無かった。
「サリナ様、この様な所でバラン将軍と何を話されているのです。」
1人の男が近付いてきた。
「バラキエ侯爵、どうかされましたか。」
サリナ姫は表情を消し、近付いてきたバラキエ侯爵に話しかける。
「サリナ様がバラン将軍と話されていたので、どうかされたのかと思いましてな。」
「ただの世間話です。侯爵には関係ありません。」
「そうですか。
世間話も良いですが、いつまでも獣人なぞに情けをかけておらず、王女としての立場を自覚して頂けませんと。
バラン将軍も、獣人なんぞ部下に置かず、魔法の使える人間だけで部隊を編成されては如何ですかな。
サリナ様の警護に魔法も使えない者を付けられては困りますからな。」
「バラキエ侯爵、将軍の配下は将軍に人事権が有ります。幾ら侯爵とはいえ口を謹んで下さい。
それに、バラン将軍を私の警備に付けたのは貴方ではないですか。」
バラキエ侯爵の言葉にサリナ姫が強い口調で反論するが、バラキエ侯爵は気にしなかった。
「そうでしたな。魔法が使えない獣人の護衛に意味が無い事を理解して頂けると思いましたが。
まさか、使えない護衛に同情するとは予想外でした。」
「同情ではありません。バラン将軍の部下は頼りになります。
侯爵こそ、獣人の能力を過小評価されているのではないですか。」
「サリナ様が襲われた時、盾になるくらいはなるでしょうが直ぐに壊れますよ。
命は大切にしてもらいたいですね。」
そう言うとバラキエ侯爵は笑いながら立ち去って行った。
バラキエ侯爵は魔法を使えない獣人を否定している貴族の1人だ。
サリナ姫の母親が存命の間は、獣人にも普通に接していたが、亡くなると手のひらを返すように獣人を否定し始めた。
噂では、サリナ姫の母親を取り込み権力を得る為に獣人への偏見は無いと偽っていたと言われている。
そして、今ではサリナ姫の動向をチェックし何かと口を出して来る。
42
あなたにおすすめの小説
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!
日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」
見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。
神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。
特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。
突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。
なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。
・魔物に襲われている女の子との出会い
・勇者との出会い
・魔王との出会い
・他の転生者との出会い
・波長の合う仲間との出会い etc.......
チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。
その時クロムは何を想い、何をするのか……
このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる