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【ガイドブック ★魔族】
第10話
しおりを挟む■ 魔族について
魔族とは、主に魔界に生息する生物であり、天界・下界・魔界の【三界】で活動記録が残されている唯一の種族である。
物質の構成元素のうちの一つである、『霊子』と呼ばれる原子を体内に持ち、主に魔界で発生する『瘴気=悪い空気』を食べて暮らしていると言われている。
魔族がその進化過程において成長した生物を、主に「魔物」と呼んでいる。
魔物にはいくつかの生態があるが、その“最上位”(中~特級クラス)は、天界では『悪魔』と呼称されている。
悪魔は人間界の魂が天界ではなく魔界に送られた後に具現化する怪物であり、存在自体が不安定なものとなる。
通常であれば魔界の土壌にて魂が浄化され、次なる「生」へと向けて原子レベルにまで分解されるが、強すぎる思念のせいで原形を失わず、その場に留まり続けるものたちがいる。
大抵は長い年月をかけ土へと還るが、そういったものたちの思念は魔界の土壌に根を生やし、蓄積した魂の端切れを養分として、新たな姿に成長していく。
【魔物※及びその物質的な因子となるもの】とは言わば不確定要素を含んだ反自然的な存在であり、人間界の環境が悪化した間接的な人工物であるとも言える。
ただ、存在原理自体は天使とさほど変わらず、魂が転化し、新たな実体を持った存在であることが伺える。
しかし天界のように魂が整備され、新たな実体を持つための管理された環境が整っていない状況下で生まれたものたちであるため、そのほとんどが脆く、密度の低い思念体となる。
また、魂も「個」が成長したものというより、魔界に滞留した数多もの思念の残留物が融合=結合して生まれたものが多く、正常な意識、人格を持つものも少ない。
数千年前まではこういった存在自体が歪で「固有の情報」を持たない不整合なものが多かったが、近代史以降では“ソルダード”と呼ばれる人型の魔物も多く存在するようになってきた。
天使族と違い魔族には階級のようなものは存在しないが、魔法省が定めた基準として、以下のようなカテゴリーが存在する
【原生種(コモン)】…魔界の土壌や海に生息し、空気中にも漂っている微生物。中には昆虫程度の大きさのものもいるが、ほとんどが肉眼で見ることができない、または“肉眼で細かいところまで観察できない”微小な生物たちである。星の生命が誕生した古代から存在しているとされ、生命の循環に伴う星の活動の過程で「重要な役割」を担っているとされている。下界に紛れ込むことはほとんどないが、仮に紛れ込んできてもすぐに消滅してしまうほどの繊細な側面を持つ。環境の変化や気候変動によっても命が脅かされる弱さがある反面、コモン(原生種)には「寿命」という概念はない。これは、細胞を分裂して増やすため、分裂したコモンは親と子の区別がないためである。分裂するまでの時間を「世代時間」と呼んで寿命のようなものとして扱っている。
【下級魔族(アンコモン)】…魔界に生息しているもっとも多い種。その種類は約数百万にも上るとされ、学名がついているものだけでも数十万種類と、もっとも活動の場を広げている魔族である。魔界内の気候、環境に適応しており、種多様性が非常に高い。1個体の寿命は短いものが多いが、その繁殖性や環境への適応力は非常に優れている。また、1世代の期間が短く、進化のチャンスを増やすことにも長け、現在でも新たな種が誕生し続けている種族である。サイズは小さく、現在確認されている最大サイズのものでも、1mに満たない。
【中級魔族(クリーチャー)】…邪悪な思念によって構成された特定の形を持たない化け物。言語を理解せず、知能も高くない。そのほとんどが殺戮本能のみで動いている。時折人間の言葉を理解したり、人間の行動を見ながらその習性を学び、計画的に殺戮を企てるものもいるが、人間ほどの賢さはない。個体の大きさは数十mに及ぶものもいれば、虫のように小さなものまでいる。他の思念と結合し、上級魔族へと進化するものもいる。
【上級魔族(ソルダード)】…人間の姿形をし、また、知能も高く、殺傷能力もクリーチャーに比べ跳ね上がった魔族。天界はソルダード以上の魔物を「悪魔(あるいは大魔族)」と呼んでいるが、時代や資料によってはその限りではない。天使のように魔法を使役でき、かつ属性と特性を兼ね揃える。しかし魔力量もその出力も第七位以上の天使には歯が立たず、特性の成長幅も上限がある。しかし近年、世界各地での悪魔の出没が増え、第五位の天使が返り討ちにあったという事例が発生している。天使を殺害したそのソルダードは本来扱えることのない30番代以上の魔法を使役したという記録が残っているが、その真意は定かではない。ソルダードのほとんどは瞳が黒く、漆黒の翼を生やしている。
【特急魔族(Xファクター)】…ソルダードと同じように人間の姿形をしているが、知能もその能力も、別次元へとその領域を広げている。また見た目の特徴としては天使とさほど変わらない。Xファクターが目撃された情報は現在2例しか報告がなく、その存在の希少性が伺える。その2例はそれぞれ別のXファクターで、第二位の天使と第三位の天使がそれぞれ2名ずつ返り討ちに合っている。現場にはその痕跡が残っていたが、検知された魔力量は第一位の天使に匹敵するものであった。現在調査中で、その存在も能力も、解明が急がれる未知の存在である。
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