上 下
55 / 210
バトルフェスティバル 地区予選編①

第54話

しおりを挟む

 「誰だお前」と言わんばかりに、こっちを見ている。

 …怖

 ってかデカすぎない!?

 海で鯨を見たことがあるけど、それ以上だ。

 背中には巨大な翼が生えている。

 トゲトゲの尻尾には、先っぽに三角のヒレのようなものがついていた。

 足元に伸びている爪といい、口の中から飛び出ている牙といい、立派だ…

 丸くて平らな形をした大きいうろこが体中に点在し、その間を突起のある小さいうろこが埋まっていた。

 きっと、ナイフなんかじゃ傷一つつかないだろう。

 それくらい重厚な厚みが、ザラザラした質感の上に漂っていた。


 「心配すんな。噛みついたりはしないから」


 噛みつかれたら一巻の終わりなんですが、それは…

 先輩は龍の背中に乗り、手招きしてきた。

 「コイツが連れて行ってくれる」。

 ニコッと、そう微笑んで。


 背中に隆起した骨のような棘を掴み、落ちないようにしゃがんでた。

 飛行機で浮遊する感覚とは全く違う、真上に引っ張られるような急激な方向転換。

 グワンッと視界が揺れ、危うく滑り落ちる所だった。

 回転する景色が、持ち上がる前髪のそばで暴れていて。

しおりを挟む

処理中です...