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陽だまりの午後
第13話
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「ねえ、キーちゃん」
私たちはバスに連れられて、午後の真ん中を進んでた。
傍で私の話を聞きながら、なに?と彼女は聞き返してきた。
私は聞かずにはいられなかった。
私が亮平の元に行かないことは、悪いことなのかな?って。
今すぐにでも駆けつけて、彼の名前を呼ぶ。
そうしないことは、間違いなのかなって。
キーちゃんは言った。
あんたはどうしたいの?、って。
その言葉の近くに寄り添いながら、はっきりとした答えを出せずにいる。
事故が遭ったあの日、彼の隣で、傷ついたその体を見てた。
揺れる心拍数の横で、談笑する彼の横顔が、朝焼けの日差しのように輝いて見えた。
キーちゃん、不謹慎かもしれないけれど、あの日ベットの横で、傷ついた彼の近くにいたときに、いつも以上に彼を近くに感じられたんだ。
誰かに心を許すってことがどういうことなのか、その事の意味を、いまだに探し出せずにいる。
けれど、誰かの傍で、自然と笑顔が出るってこと。
何気ない会話。
何気ない視線の動き。
そういうものの奥底にある純粋な心のスピードが、きっと、あの瞬間にあった。
開け放した窓の外を見ながら、明日についてを語り合う。
私たちはいつも、同じ時間にいた。
病室のカーテン。
日が落ちる前の、夕暮れ。
穏やかな太陽の日差しが、窓越しに微かに煌めいていて。
「なに辛気臭い顔しとんや」
「心配してあげとんや」
「ハハッ。ありがたいこっちゃ」
あっという間に、時間は過ぎていった。
その時、亮平が何を言おうとしていたのかは分からない。
次の言葉を発しようとした瞬間に、彼の喉元が風船が膨らんだときのように膨張する。
バイクから投げ出されたときの衝撃で、下顎骨を骨折していた。
骨の破片が左頸動脈を突き破り、血液が首の内部に漏れ始める。
先生が急いで緊急の措置を施していく。
慌ただしくなる病室。
痛みと息ができない苦しみで、彼の頬に伝う涙。
あの日の穏やかな時間の流れが、刹那で変わった。
揺れる感情の底で、叫びたいことがここにあるのに、その気持ちはもうどこにも飛び立てない。
口元から大量の血液がチューブ越しに流れ出る。
充血する瞳。
先生たちが言葉を交わして、「急いで!」という言葉が病室全体に響いた。
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