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話が違くね!?

第189話

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 「おっはー!」


 結局学校に連れてこられた俺は、生まれて初めて、神戸高の門をくぐった。

 まあ、わざわざこんな畏まった言い方をしなくても、基本的に“生まれて初めて”だろう。

 転校でもしない限り、通う学校は1つなわけで。


 自転車置き場から下駄箱に向かい、教室に向かった。

 俺は「B組」らしい。

 千冬とは同じクラスで、本館の2階にある。


 「あのさ、ほんまに記憶にないんやが…」


 状況は良くない。

 来たのはいいが、どこになにがあるのかもよくわからん。

 千冬は同級生と思われる子達と挨拶を交わしてる。

 釣られるようにヒョコヒョコしていると、「何しとんねん」と怒られた。

 

 礼儀正しく挨拶を交わしてるだけなんだけど?


 「誰に頭下げとん?」

 「…いやだって、初対面やし」


 知ってる人はいない。

 知り合いで神戸高に行ったやつは何人かいたが、友達ってほどでもない。

 だから仮にいても、きっと同じような反応をするだろう。

 俺自身、あんまり馴れ馴れしいのが好きじゃないから。


 「恥ずかしいからやめてくれん?」

 「なにを?」

 「その感じ」

 「…ああ」


 千冬がなにを言いたいかはわかってる。

 わかってるが、へんに合わせるつもりはなかった。

 合わせたって、自分の首を絞めるだけだ。

 俺は俺で、他の誰でもないんだ。

 記憶にないものはない。

 オーケー?
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