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第3章 『エルフ国編②』
第14話 「魔王様、思わぬ再会をする」
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今まで行動を共にしていたデモナが、暗殺者が成り替わっていたという事実に困惑を隠せなかったものの、私たち一同は帰還することに。
帰りは疲労困憊ながらも強行軍だったのは、”核”を失った世界樹が崩壊する可能性を考慮してだ。
いまのところは崩壊する予兆はなかったが、警戒は必要だろう。
まだ奥深くにいるのに崩壊に巻き込まれては、さすがに助からないからだ。
デモナを心配するドーエンスなれど、その場にいても仕方がないので、私たちと共に帰路を急ぎ。
すっかり勢いを無くしている残党の魔獣を倒しながら、一同は足早に南のサウス村へ。
「陛下! ご無事でしたか!」
「おお!? デモナではないか! ……本物なのかっ?」
駆け寄ってきたデモナに、しかしドーエンスは一瞬だけ警戒の眼差しを彼に突き刺す。
その視線を受けた彼は、気まずそうに表情を曇らせた。
「……申し訳ありません。用を足していた隙を突かれました」
「まあ……一番警戒が薄れるタイミングだしな。無理もないだろう」
「お恥ずかしい限りです……」
森にて奇襲を受けて簀巻きにされて放置された彼は、どうやら自力でここまで来たのだろう。
ボロボロの姿であり、どことなく疲労感を漂わせていた。
そんなやり取りを横目に、私は世界樹を見上げる。
真っ赤に染まっていた世界樹は元の緑あふれる姿へと戻っており、巣にしていたのだろう鳥たちが戻ってきたのか、鳴き声が聞こえてきていた。
(ただの植物になった……と見ていいのだろうか)
そう判断するのは時期尚早かもしれないが、まあどのみち、現状では判断しかねることだろう。
少なくとも葉の色は戻り、魔獣も鎮静化した以上、いまはそれ以上のことを求めても仕方ない。
そして私たち一同は、さすがに消耗しきっているために、一も二もなく、サウス村にて一泊することに。
提供された宿屋の部屋に着いたのを見計らったかのようなタイミングで、アテナが出現する。
身体に開いていた穴は全て治っている様子だったが、彼女は相変わらず無表情ながらも、憔悴を隠せないようだった。
「クレア様。ご飯を頂きにきました」
「……なるほど。私の意識が飛ぶ程の量ってことか」
このタイミングの以上、私が意識を飛ばしても大丈夫なようにとの、彼女なりの配慮なのだろう。
「さすが。わかっていらっしゃいますね」
「まあ、今回は大目に見よう。お前に助けられたしな」
「では、遠慮なく」
アテナがすうっと私へと近づいてくると、真顔で。
「頂きマンボウ」
「なぜマンボウ……」
意味不明な言葉を最後に、私の意識は疲れと魔力を一気に失ったことで、夢の中へと──
※ ※ ※
翌日、宿屋の食堂にて食事を摂るのは、肌艶の良いアテナを控えさせる疲れが取れない私と、意気消沈しているデモナを控えさせるドーエンス。
さすがに白エルフ王ということもあり、ドラギアは村長の館の為に、この場にはいなかった。
いつもならばアテナに遠慮のない視姦をするデモナだが、やはり気落ちしているせいなのか、ひたすらに顔を俯けているのみだった。
「ん? どうしたクレアナード。さすがに一晩寝た程度じゃ疲れがとれないか?」
食事の手をとめたドーエンスが、私の疲れた様子を気にかけてくる。
それを受けて、私は小さく溜め息ひとつ。
「魔力を根こそぎ失ったからな。さすがに一晩寝ただけじゃ、全快はしないさ」
「魔力を……?」
「私の報酬です」
「ああ、なるほど。お前はクレアナードの精霊メイドだったっけな」
納得顔になるドーエンスの傍らでは、アテナの声にピクンと反応を示すデモナだったが、しかしいまの彼の心境では劣情に気を向けるほど精神的余裕がないようで、顔をあげることなく俯けたままだった。
と、そんな時だった。
「クレアナード様!!!」
聞き覚えのある声に振り向けば。
肩で大きく息を吐く魔族の少年──ダミアンの姿があった。
「ダミアン……?」
「よかった……やっと会えた……」
感慨深げに呟きながら、彼は私のもとへと駆け寄ってくる。
しかしそんな彼の前に、無表情のアテナが立ちふさがった。
「え……? アテナさん?」
「”山”」
「え……や、山……?」
「合い言葉です。それで本物なのか偽物なのか判断します」
「ええ……っ、いきなりそんなこと言われても……」
「”山”」
「え、えーっと……えーっと……」
「ブブー! 時間切れです」
「えーっ!?」
「クレア様、どうやらこのダミアンさんは偽物のようです」
「そうか。残念だな」
「えーーーー!!? 嘘ですよね!?! 俺は本物ですよ!!!!」
悪ノリする私がアテナに合わせたことで、ダミアンから悲痛な絶叫が。
顔面蒼白となる彼の姿を前に、さすがに可哀想になった私は彼を本物と認めることに。
というか、背丈のこともあるので、そもそもが疑う要素などはなかったのだが。
「思っていたよりも合流が遅かったな? 何かあったのか?」
彼への態度を戻した私が問うと、ダミアンはほっと安堵したように吐息した後、責めるような目をアテナへと向ける。
「アテナさん! どうして発信機を持っていないんですか!?」
「え……?」
不思議そうに懐をまさぐるアテナは、お目当てのものがないことに目をパチクリさせた。
「なぜか、ありませんね」
「”なぜか”じゃないですよ! ここにありますから!! 道のど真ん中に落ちてましたよ!!?」
「おやおや、いつの間に」
「この発信機を頼りに来てみたら誰もその場にいないとか! 勘弁してくださいよ!?」
「それは申し訳ありません」
「はい! 今度は落とさないでくださいね!」
素直に謝罪するアテナに発信機を渡したダミアンは、ふうっと溜め息を吐いて冷静さを取り戻してから、私へと視線を戻す。
「クレアナード様。こういうわけで、探すのに時間がかかって合流が遅れてしまいました」
「なるほどな」
「変な言い方ですけど、世界樹に異変が起きたおかげで、きっとクレアナード様はそっちに行くだろうなって思いまして」
「私の行動はお見通しか。さすがだな、ダミアン」
「いえ、そんなことありません……」
私に褒められたダミアンは、薄っすらと頬を紅潮させるのだった。
※ ※ ※
王城に招いて歓待しようと言ってくるドラギアと別れた私は、一路黒エルフ領へと向かっていた。
白エルフと険悪である黒エルフであるドーエンスたちを、早く自国領へと戻してやらないといけなかったからである。
彼らだけの馬車では、白エルフの警邏隊と遭遇してしまった場合、厄介な事態になってしまうだろう。
だから私の馬車で、彼らを送り届ける必要があったのだ。
私たちがサウス村で一泊の休憩をとっている間に迅速な調査が行われたようで、世界樹から発生していた魔獣はすっかり鳴りを潜めており、現段階では新たな魔獣が生まれる気配はないとのこと。
そのために、私たちは世界樹を後にしていたのである。
「事情はわかりました。安心してお眠りください。俺がクレアナード様をお守りします」
馬車内にて、なんとも頼もしいことを言ってくれたのはダミアンだ。
疲れが取れていない私は、馬車内でも寝たかった。
しかしながら、ドーエンスとデモナが相乗りしていることで、さすがに彼らの前で無防備に寝ることは出来ず……そこで、合流したダミアンに事情を話したというわけである。
「おいおい……それでは、まるで俺が野獣みたいじゃないか。俺がお前の寝込みを襲うとでも?」
「さすがにそれはないと思うが……寝ている時に悪戯されるなんて、たまったもんじゃないからな」
苦笑いのドーエンスに、私は小さく苦笑。
一瞬だけダミアンがビクンと震えるものの、彼は何も言わなかった。
そんなやり取りの一方では、すっかり調子を戻しているデモナが、御者を務めるアテナに粉をかけていた。
「ああ……やはり貴女はいつ拝見しても美しい……はあ、はあ。見ているだけで興奮してきます」
「……鼻息を当てないでください。手元が狂い、操作を誤りそうです」
「貴女と心中できるなら、僕は本望です」
「デモナさん。偽物に戻って頂けませんか?」
「──っ」
デモナは絶句するも。
「……なんとも厳しいお言葉。ですが、それは俺の不徳の致すところ。甘んじて受けましょう。いえ、むしろ俺の不手際を指摘することから、俺の事を心配してくれているんですね? なんという光栄……」
「なぜ好意的に解釈なさるのでしょうか……」
恋は盲目とはよく言ったもので。
アテナの嘆息は、残念ながら彼女に陶酔しきっているデモナには、届くことはなかったのである。
その後、道すがらにある兄妹エルフの家に顔を出してから、私たちはそのまま黒エルフ領へと。
事前に連絡していたこともあり、落ち合うその場所には、ドーエンスが用意していた王族専用の馬車がすでに停まっていた。
警護部隊の馬車も数台停まっており、多くの近衛騎士たちが整列している。
(こういうのを見ると、ドーエンスは一国の王なんだなって改めて実感するな)
かつては自身も経験していた光景を前に、私は複雑な心境に。
「名残惜しいが、俺にも王としての仕事があるからな」
私の馬車から降りたドーエンスは、後ろ髪惹かれる感満載の様子。
彼に追随しなければならないデモナも、アテナに未練がましい眼差しを。
そんな彼らを前に、私とアテナはどことなく安堵の息である。
と、王族専用の馬車からひとりの人物が優雅な仕草で降りてきた。
妖艶さを纏う黒エルフの女──毒婦、レインクレイだった。
「待っていたぞ、愛しの我が子」
母親を視認するや、ドーエンスが慌てたように彼女へと駆け寄る。
「母上!? わざわざ俺を出迎えてくださったのですかっ?」
「何を驚くことがある? 妾は一刻も早く愛しいお前に会いたかったのだ。ならば、出迎えるのが早いだろう?」
言うや否や、毒婦は驚きを示す息子の唇を有無を言わさず奪っていた。
私とアテナは以前に見ているのでもう慣れていたが、初めて見るダミアンが顔を赤くする。
(ダミアンには刺激が強かったか)
などと思う私へと、ドーエンスから離れたレインクレイが艶のある視線を向けてきた。
「クレアナード。我が愛しい息子と何もなかったであろうな?」
「あるわけないだろう」
「そうか。それはそれで……安心すると共に残念だな」
「残念?」
「ドーエンスと共にベッドで可愛がる機会が、まだ来ないということにだ」
「っ……貴女は、相変わらずのようだな」
「くくく。妾はいつでも歓迎するぞ? 愛しい我が子が見初めた女を抱くのも、また一興だからな」
色っぽい笑みを見せてくる毒婦に、私は顔が引きつってしまう。
「は、母上っ。その件については、また機会があればということで」
「おっと。そう急かすでない」
慌てた様子でドーエンスが母親の背中を押しながら馬車へと向かいながら、私へと弁明の意味合いの視線を向けてきた。
「勘違いはしないでくれよ? いいな? 変な勘違いだけはするなよ? またいずれ、事が落ちついたらゆっくり話そう。いつでも王城に来てくれ。待っているからな!」
これ以上母親によけいな事を言わせないためか、ドーエンスは足早に母親と共に馬車内へと姿を消していった。
一方ではデモナが、拒否する間を与えずにアテナの手をとるや、その甲にキスをする。
「俺は絶対に諦めませんから」
「……諦めてください」
「諦めませんから」
「いえ、だから……」
「諦めません!」
アテナからの拒絶をまったく意に介さないデモナは、一方的に言い放ってから踵を返し、用意されていた一頭の馬へと飛び乗っていった。
そして彼らがその場を去っていったのを見計らってから、私はアテナの脇を軽く小突く。
「モテる女は辛いな? アテナ」
「……クレア様。今晩の夕食は抜きでよろしいようですね」
「ちょ、卑怯だぞアテナ」
私が顔をしかめたところで、ダミアンが思い出したように言ってきた。
「そういえば……クレアナード様。俺、元魔王のネミル様に会いましたよ」
「なんだと? どういう状況でだ?」
「えっ……あー……いや。詳しい状況は省きますけど、伝言を預かっています」
「なぜ省く必要があるのかわからないが……聞こう」
一瞬だけ唇に触れたあと、ダミアンはやや私から視線を逸らしながら。
「えっとですね……元カレを追わないといけないので、完全に離れることになるだろうから……その、えっと。夜、気兼ねなく気持ちよくなってね、と」
「…………そうか」
元カレという発言に驚きを禁じれなかったが、私はあえて無表情を装う。
ダミアンは頬を赤らめたまま、視線をそらしたままであり。
微妙に気まずい雰囲気になってしまうが……それをあっさりと、アテナがぶち破ってきた。
「では気兼ねなく気持ち良くなることを致しましょう。私にお命じ頂ければ、いつでもクレア様を地獄に叩き落して差し上げましょう」
「おいおいおい……そこは天国に、とか昇天させる、とかじゃないのか?」
「おやおや。クレア様は、いったいナニを期待なさっておられるのでしょうかね」
「……さっきの意趣返しのつもりか」
「はて? なんのことでしょう」
トボけるアテナに私は半眼を向け、ダミアンは頬を赤らめたまま沈黙を守るのだった。
※ ※ ※
世界樹の一件がひと段落したことで目的がなくなってしまった私は、今後どうしたものかと思案する。
「どうしたらいいと思う?」
「私はクレア様のご判断に従うのみです」
「俺も同感です」
「ふむ……」
エルフ国は知り合いも多いので、割と居心地もよく、しばらくはこの国で冒険者として動くのもいいかもしれない。
「あ! クレアナード様のお耳に入れておかないといけないことがありました」
ダミアンは、真剣な表情になる。
「未だにブレアが、クレアナード様のお命を狙っているようです」
「なんだって……?」
魔族国において、ダミアンが命の危機に瀕した出来事を教えられる。
「まじか……あの筋肉ダルマ、さすがにしつこすぎやしないか?」
いまの私には、何の権限も影響力もないというのに。
そして一方では、ウルが森の魔女宅に厄介になっていた事に驚くものの、元気そうにやっていることに安堵する。
「お言葉ながら。クレア様はご自身が思っておられる以上に影響力があることを、自覚するべきかと」
「俺もその、アテナさんの言葉に同意です」
「むう……ふたりとも、私を買いかぶりすぎじゃないか? いまの私なんて、ただの冒険者にすぎないんだぞ」
「フッ……何を仰られるかと思えば」
「ちょっ。お前、いま鼻で笑ったな?」
「あまりの無自覚ぶりに、へそで茶を沸かす心境だったもので」
「……どういう意味だ?」
「ただの冒険者風情が、一国の王と肩を並べて戦えるかという話です」
「それは……まあ、そうかもしれない、な……」
指摘されて気づく。
確かにアテナの言う通りだろう。
なんだかんだで、私の元魔王という肩書きは、何かと役立つのだから。
そのことを利用したこともある以上、私は反論することができなかった。
と、そんな時だった。
「やっぱりクレアだ!!」
そんな声がしたかと思うと、私たちのもとに駆け寄ってくる人影が。
「匂いがしたから、もしかしてと思って!」
「……ウル? ウルなのか? どうしてここに……?」
懐かしい仲間との再会に嬉しく思う一方で、訝しむ私が問うと。
「クレア! お姉ちゃんを助けて!!!」
涙すら浮かべたウルが、悲痛な願いを叫ぶのだった。
※ ※ ※
※ ※ ※
(……あのクソガキ、着いてきてやがる……)
追手の勇者レオとの戦いで敗北したレアンは、二頭の馬がひく台車に乗せられた檻の中に幽閉されていた。
つかず離れずの距離を維持しつつ、妹の匂いは確実についてきていたのである。
(なんで着いてくる……まさかオレを助けようとしてるのか……? 無理だろ。オレより弱ぇてめえが、オレが負けたレオの奴に勝てるわけねぇだろが……)
嬉しく思う反面、下手をしたら妹まで捕まってしまう事態に、しかし何もできないことにレアンは歯ぎしりをする。
(オレのことはもういいから……てめぇだけでも逃げてくれ……)
思わず祈ってしまう。
自分が気づくぐらいなのだから、馬車の周囲にいるレオたちも、とっくの昔に気が付いていることだろう。
しかし彼らは、これといった反応を示してはいなかった。
※ ※ ※
「レオ様、如何いたしますか?」
隣を並走する狼獣人のひとりが、指示を仰いでくる。
それを受けてレオは、馬を走らせながら前方を見据えたままで。
「放置しておけ」
「よろしいのですか?」
「どちらかひとりを連れ帰ればいいのだ。ならば、無理にふたりとも連れて行く必要はない。着いてくるのは勝手だが、ウル殿ひとりでは何もできんさ」
レオが淡々とそう述べると、彼の身体にまとわりつく感じで、女精霊──ミゲルが実体化してくる。
「それにどうせさ、この様子だと私らが手を下さなくても、勝手に着いてくるんじゃないの? 村に到着した後に捕まえれば、連行する手間が省けるでしょ」
なるほど、と狼獣人が納得の顔をする一方で。
「……我等少数民族が生き残るためには、牙を折らねばならんのだ。必要な犠牲により、村は安寧を維持できる……そう。必要な、犠牲なのだ」
「レオ……」
まるで自分に言い聞かせるように苦渋に満ちた声で呟くレオに、ミゲルは揺れる瞳で彼を見つめるのだった。
※ ※ ※
アルペンの制止を振り切ってレオたちを追跡するウルは、焦りを感じていた。
どうしていいかわからず、とりあえず後を追って来たわけなのだが、本当にどうしていいのかわからないために足どりが重たく、その為に彼らとの距離が徐々に離れてきていた。
まあ、このまま見失ったとしても、彼らの目的地はわかりきっているのだから、問題はないといえばない。
ただ、彼らが目的地に着いた場合は、姉の奪還が困難になってしまうだろう。
もうあの村には、”敵”しかいないのだから……
「お姉ちゃん……」
なんとしても助けないといけなかった。
自分を見捨てた家族と違い、姉だけは心配して来てくれたのだから。
そして自分の代わりに、連れて行かれる形となってしまったのだから。
と、ふいに懐かしい匂いを感じた。
ウルの尻尾が、ピクンと大きく反応する。
「あれ……この匂いって……クレアだ!」
一も二もなく、ウルは匂いがする方角へと駆け出していた。
帰りは疲労困憊ながらも強行軍だったのは、”核”を失った世界樹が崩壊する可能性を考慮してだ。
いまのところは崩壊する予兆はなかったが、警戒は必要だろう。
まだ奥深くにいるのに崩壊に巻き込まれては、さすがに助からないからだ。
デモナを心配するドーエンスなれど、その場にいても仕方がないので、私たちと共に帰路を急ぎ。
すっかり勢いを無くしている残党の魔獣を倒しながら、一同は足早に南のサウス村へ。
「陛下! ご無事でしたか!」
「おお!? デモナではないか! ……本物なのかっ?」
駆け寄ってきたデモナに、しかしドーエンスは一瞬だけ警戒の眼差しを彼に突き刺す。
その視線を受けた彼は、気まずそうに表情を曇らせた。
「……申し訳ありません。用を足していた隙を突かれました」
「まあ……一番警戒が薄れるタイミングだしな。無理もないだろう」
「お恥ずかしい限りです……」
森にて奇襲を受けて簀巻きにされて放置された彼は、どうやら自力でここまで来たのだろう。
ボロボロの姿であり、どことなく疲労感を漂わせていた。
そんなやり取りを横目に、私は世界樹を見上げる。
真っ赤に染まっていた世界樹は元の緑あふれる姿へと戻っており、巣にしていたのだろう鳥たちが戻ってきたのか、鳴き声が聞こえてきていた。
(ただの植物になった……と見ていいのだろうか)
そう判断するのは時期尚早かもしれないが、まあどのみち、現状では判断しかねることだろう。
少なくとも葉の色は戻り、魔獣も鎮静化した以上、いまはそれ以上のことを求めても仕方ない。
そして私たち一同は、さすがに消耗しきっているために、一も二もなく、サウス村にて一泊することに。
提供された宿屋の部屋に着いたのを見計らったかのようなタイミングで、アテナが出現する。
身体に開いていた穴は全て治っている様子だったが、彼女は相変わらず無表情ながらも、憔悴を隠せないようだった。
「クレア様。ご飯を頂きにきました」
「……なるほど。私の意識が飛ぶ程の量ってことか」
このタイミングの以上、私が意識を飛ばしても大丈夫なようにとの、彼女なりの配慮なのだろう。
「さすが。わかっていらっしゃいますね」
「まあ、今回は大目に見よう。お前に助けられたしな」
「では、遠慮なく」
アテナがすうっと私へと近づいてくると、真顔で。
「頂きマンボウ」
「なぜマンボウ……」
意味不明な言葉を最後に、私の意識は疲れと魔力を一気に失ったことで、夢の中へと──
※ ※ ※
翌日、宿屋の食堂にて食事を摂るのは、肌艶の良いアテナを控えさせる疲れが取れない私と、意気消沈しているデモナを控えさせるドーエンス。
さすがに白エルフ王ということもあり、ドラギアは村長の館の為に、この場にはいなかった。
いつもならばアテナに遠慮のない視姦をするデモナだが、やはり気落ちしているせいなのか、ひたすらに顔を俯けているのみだった。
「ん? どうしたクレアナード。さすがに一晩寝た程度じゃ疲れがとれないか?」
食事の手をとめたドーエンスが、私の疲れた様子を気にかけてくる。
それを受けて、私は小さく溜め息ひとつ。
「魔力を根こそぎ失ったからな。さすがに一晩寝ただけじゃ、全快はしないさ」
「魔力を……?」
「私の報酬です」
「ああ、なるほど。お前はクレアナードの精霊メイドだったっけな」
納得顔になるドーエンスの傍らでは、アテナの声にピクンと反応を示すデモナだったが、しかしいまの彼の心境では劣情に気を向けるほど精神的余裕がないようで、顔をあげることなく俯けたままだった。
と、そんな時だった。
「クレアナード様!!!」
聞き覚えのある声に振り向けば。
肩で大きく息を吐く魔族の少年──ダミアンの姿があった。
「ダミアン……?」
「よかった……やっと会えた……」
感慨深げに呟きながら、彼は私のもとへと駆け寄ってくる。
しかしそんな彼の前に、無表情のアテナが立ちふさがった。
「え……? アテナさん?」
「”山”」
「え……や、山……?」
「合い言葉です。それで本物なのか偽物なのか判断します」
「ええ……っ、いきなりそんなこと言われても……」
「”山”」
「え、えーっと……えーっと……」
「ブブー! 時間切れです」
「えーっ!?」
「クレア様、どうやらこのダミアンさんは偽物のようです」
「そうか。残念だな」
「えーーーー!!? 嘘ですよね!?! 俺は本物ですよ!!!!」
悪ノリする私がアテナに合わせたことで、ダミアンから悲痛な絶叫が。
顔面蒼白となる彼の姿を前に、さすがに可哀想になった私は彼を本物と認めることに。
というか、背丈のこともあるので、そもそもが疑う要素などはなかったのだが。
「思っていたよりも合流が遅かったな? 何かあったのか?」
彼への態度を戻した私が問うと、ダミアンはほっと安堵したように吐息した後、責めるような目をアテナへと向ける。
「アテナさん! どうして発信機を持っていないんですか!?」
「え……?」
不思議そうに懐をまさぐるアテナは、お目当てのものがないことに目をパチクリさせた。
「なぜか、ありませんね」
「”なぜか”じゃないですよ! ここにありますから!! 道のど真ん中に落ちてましたよ!!?」
「おやおや、いつの間に」
「この発信機を頼りに来てみたら誰もその場にいないとか! 勘弁してくださいよ!?」
「それは申し訳ありません」
「はい! 今度は落とさないでくださいね!」
素直に謝罪するアテナに発信機を渡したダミアンは、ふうっと溜め息を吐いて冷静さを取り戻してから、私へと視線を戻す。
「クレアナード様。こういうわけで、探すのに時間がかかって合流が遅れてしまいました」
「なるほどな」
「変な言い方ですけど、世界樹に異変が起きたおかげで、きっとクレアナード様はそっちに行くだろうなって思いまして」
「私の行動はお見通しか。さすがだな、ダミアン」
「いえ、そんなことありません……」
私に褒められたダミアンは、薄っすらと頬を紅潮させるのだった。
※ ※ ※
王城に招いて歓待しようと言ってくるドラギアと別れた私は、一路黒エルフ領へと向かっていた。
白エルフと険悪である黒エルフであるドーエンスたちを、早く自国領へと戻してやらないといけなかったからである。
彼らだけの馬車では、白エルフの警邏隊と遭遇してしまった場合、厄介な事態になってしまうだろう。
だから私の馬車で、彼らを送り届ける必要があったのだ。
私たちがサウス村で一泊の休憩をとっている間に迅速な調査が行われたようで、世界樹から発生していた魔獣はすっかり鳴りを潜めており、現段階では新たな魔獣が生まれる気配はないとのこと。
そのために、私たちは世界樹を後にしていたのである。
「事情はわかりました。安心してお眠りください。俺がクレアナード様をお守りします」
馬車内にて、なんとも頼もしいことを言ってくれたのはダミアンだ。
疲れが取れていない私は、馬車内でも寝たかった。
しかしながら、ドーエンスとデモナが相乗りしていることで、さすがに彼らの前で無防備に寝ることは出来ず……そこで、合流したダミアンに事情を話したというわけである。
「おいおい……それでは、まるで俺が野獣みたいじゃないか。俺がお前の寝込みを襲うとでも?」
「さすがにそれはないと思うが……寝ている時に悪戯されるなんて、たまったもんじゃないからな」
苦笑いのドーエンスに、私は小さく苦笑。
一瞬だけダミアンがビクンと震えるものの、彼は何も言わなかった。
そんなやり取りの一方では、すっかり調子を戻しているデモナが、御者を務めるアテナに粉をかけていた。
「ああ……やはり貴女はいつ拝見しても美しい……はあ、はあ。見ているだけで興奮してきます」
「……鼻息を当てないでください。手元が狂い、操作を誤りそうです」
「貴女と心中できるなら、僕は本望です」
「デモナさん。偽物に戻って頂けませんか?」
「──っ」
デモナは絶句するも。
「……なんとも厳しいお言葉。ですが、それは俺の不徳の致すところ。甘んじて受けましょう。いえ、むしろ俺の不手際を指摘することから、俺の事を心配してくれているんですね? なんという光栄……」
「なぜ好意的に解釈なさるのでしょうか……」
恋は盲目とはよく言ったもので。
アテナの嘆息は、残念ながら彼女に陶酔しきっているデモナには、届くことはなかったのである。
その後、道すがらにある兄妹エルフの家に顔を出してから、私たちはそのまま黒エルフ領へと。
事前に連絡していたこともあり、落ち合うその場所には、ドーエンスが用意していた王族専用の馬車がすでに停まっていた。
警護部隊の馬車も数台停まっており、多くの近衛騎士たちが整列している。
(こういうのを見ると、ドーエンスは一国の王なんだなって改めて実感するな)
かつては自身も経験していた光景を前に、私は複雑な心境に。
「名残惜しいが、俺にも王としての仕事があるからな」
私の馬車から降りたドーエンスは、後ろ髪惹かれる感満載の様子。
彼に追随しなければならないデモナも、アテナに未練がましい眼差しを。
そんな彼らを前に、私とアテナはどことなく安堵の息である。
と、王族専用の馬車からひとりの人物が優雅な仕草で降りてきた。
妖艶さを纏う黒エルフの女──毒婦、レインクレイだった。
「待っていたぞ、愛しの我が子」
母親を視認するや、ドーエンスが慌てたように彼女へと駆け寄る。
「母上!? わざわざ俺を出迎えてくださったのですかっ?」
「何を驚くことがある? 妾は一刻も早く愛しいお前に会いたかったのだ。ならば、出迎えるのが早いだろう?」
言うや否や、毒婦は驚きを示す息子の唇を有無を言わさず奪っていた。
私とアテナは以前に見ているのでもう慣れていたが、初めて見るダミアンが顔を赤くする。
(ダミアンには刺激が強かったか)
などと思う私へと、ドーエンスから離れたレインクレイが艶のある視線を向けてきた。
「クレアナード。我が愛しい息子と何もなかったであろうな?」
「あるわけないだろう」
「そうか。それはそれで……安心すると共に残念だな」
「残念?」
「ドーエンスと共にベッドで可愛がる機会が、まだ来ないということにだ」
「っ……貴女は、相変わらずのようだな」
「くくく。妾はいつでも歓迎するぞ? 愛しい我が子が見初めた女を抱くのも、また一興だからな」
色っぽい笑みを見せてくる毒婦に、私は顔が引きつってしまう。
「は、母上っ。その件については、また機会があればということで」
「おっと。そう急かすでない」
慌てた様子でドーエンスが母親の背中を押しながら馬車へと向かいながら、私へと弁明の意味合いの視線を向けてきた。
「勘違いはしないでくれよ? いいな? 変な勘違いだけはするなよ? またいずれ、事が落ちついたらゆっくり話そう。いつでも王城に来てくれ。待っているからな!」
これ以上母親によけいな事を言わせないためか、ドーエンスは足早に母親と共に馬車内へと姿を消していった。
一方ではデモナが、拒否する間を与えずにアテナの手をとるや、その甲にキスをする。
「俺は絶対に諦めませんから」
「……諦めてください」
「諦めませんから」
「いえ、だから……」
「諦めません!」
アテナからの拒絶をまったく意に介さないデモナは、一方的に言い放ってから踵を返し、用意されていた一頭の馬へと飛び乗っていった。
そして彼らがその場を去っていったのを見計らってから、私はアテナの脇を軽く小突く。
「モテる女は辛いな? アテナ」
「……クレア様。今晩の夕食は抜きでよろしいようですね」
「ちょ、卑怯だぞアテナ」
私が顔をしかめたところで、ダミアンが思い出したように言ってきた。
「そういえば……クレアナード様。俺、元魔王のネミル様に会いましたよ」
「なんだと? どういう状況でだ?」
「えっ……あー……いや。詳しい状況は省きますけど、伝言を預かっています」
「なぜ省く必要があるのかわからないが……聞こう」
一瞬だけ唇に触れたあと、ダミアンはやや私から視線を逸らしながら。
「えっとですね……元カレを追わないといけないので、完全に離れることになるだろうから……その、えっと。夜、気兼ねなく気持ちよくなってね、と」
「…………そうか」
元カレという発言に驚きを禁じれなかったが、私はあえて無表情を装う。
ダミアンは頬を赤らめたまま、視線をそらしたままであり。
微妙に気まずい雰囲気になってしまうが……それをあっさりと、アテナがぶち破ってきた。
「では気兼ねなく気持ち良くなることを致しましょう。私にお命じ頂ければ、いつでもクレア様を地獄に叩き落して差し上げましょう」
「おいおいおい……そこは天国に、とか昇天させる、とかじゃないのか?」
「おやおや。クレア様は、いったいナニを期待なさっておられるのでしょうかね」
「……さっきの意趣返しのつもりか」
「はて? なんのことでしょう」
トボけるアテナに私は半眼を向け、ダミアンは頬を赤らめたまま沈黙を守るのだった。
※ ※ ※
世界樹の一件がひと段落したことで目的がなくなってしまった私は、今後どうしたものかと思案する。
「どうしたらいいと思う?」
「私はクレア様のご判断に従うのみです」
「俺も同感です」
「ふむ……」
エルフ国は知り合いも多いので、割と居心地もよく、しばらくはこの国で冒険者として動くのもいいかもしれない。
「あ! クレアナード様のお耳に入れておかないといけないことがありました」
ダミアンは、真剣な表情になる。
「未だにブレアが、クレアナード様のお命を狙っているようです」
「なんだって……?」
魔族国において、ダミアンが命の危機に瀕した出来事を教えられる。
「まじか……あの筋肉ダルマ、さすがにしつこすぎやしないか?」
いまの私には、何の権限も影響力もないというのに。
そして一方では、ウルが森の魔女宅に厄介になっていた事に驚くものの、元気そうにやっていることに安堵する。
「お言葉ながら。クレア様はご自身が思っておられる以上に影響力があることを、自覚するべきかと」
「俺もその、アテナさんの言葉に同意です」
「むう……ふたりとも、私を買いかぶりすぎじゃないか? いまの私なんて、ただの冒険者にすぎないんだぞ」
「フッ……何を仰られるかと思えば」
「ちょっ。お前、いま鼻で笑ったな?」
「あまりの無自覚ぶりに、へそで茶を沸かす心境だったもので」
「……どういう意味だ?」
「ただの冒険者風情が、一国の王と肩を並べて戦えるかという話です」
「それは……まあ、そうかもしれない、な……」
指摘されて気づく。
確かにアテナの言う通りだろう。
なんだかんだで、私の元魔王という肩書きは、何かと役立つのだから。
そのことを利用したこともある以上、私は反論することができなかった。
と、そんな時だった。
「やっぱりクレアだ!!」
そんな声がしたかと思うと、私たちのもとに駆け寄ってくる人影が。
「匂いがしたから、もしかしてと思って!」
「……ウル? ウルなのか? どうしてここに……?」
懐かしい仲間との再会に嬉しく思う一方で、訝しむ私が問うと。
「クレア! お姉ちゃんを助けて!!!」
涙すら浮かべたウルが、悲痛な願いを叫ぶのだった。
※ ※ ※
※ ※ ※
(……あのクソガキ、着いてきてやがる……)
追手の勇者レオとの戦いで敗北したレアンは、二頭の馬がひく台車に乗せられた檻の中に幽閉されていた。
つかず離れずの距離を維持しつつ、妹の匂いは確実についてきていたのである。
(なんで着いてくる……まさかオレを助けようとしてるのか……? 無理だろ。オレより弱ぇてめえが、オレが負けたレオの奴に勝てるわけねぇだろが……)
嬉しく思う反面、下手をしたら妹まで捕まってしまう事態に、しかし何もできないことにレアンは歯ぎしりをする。
(オレのことはもういいから……てめぇだけでも逃げてくれ……)
思わず祈ってしまう。
自分が気づくぐらいなのだから、馬車の周囲にいるレオたちも、とっくの昔に気が付いていることだろう。
しかし彼らは、これといった反応を示してはいなかった。
※ ※ ※
「レオ様、如何いたしますか?」
隣を並走する狼獣人のひとりが、指示を仰いでくる。
それを受けてレオは、馬を走らせながら前方を見据えたままで。
「放置しておけ」
「よろしいのですか?」
「どちらかひとりを連れ帰ればいいのだ。ならば、無理にふたりとも連れて行く必要はない。着いてくるのは勝手だが、ウル殿ひとりでは何もできんさ」
レオが淡々とそう述べると、彼の身体にまとわりつく感じで、女精霊──ミゲルが実体化してくる。
「それにどうせさ、この様子だと私らが手を下さなくても、勝手に着いてくるんじゃないの? 村に到着した後に捕まえれば、連行する手間が省けるでしょ」
なるほど、と狼獣人が納得の顔をする一方で。
「……我等少数民族が生き残るためには、牙を折らねばならんのだ。必要な犠牲により、村は安寧を維持できる……そう。必要な、犠牲なのだ」
「レオ……」
まるで自分に言い聞かせるように苦渋に満ちた声で呟くレオに、ミゲルは揺れる瞳で彼を見つめるのだった。
※ ※ ※
アルペンの制止を振り切ってレオたちを追跡するウルは、焦りを感じていた。
どうしていいかわからず、とりあえず後を追って来たわけなのだが、本当にどうしていいのかわからないために足どりが重たく、その為に彼らとの距離が徐々に離れてきていた。
まあ、このまま見失ったとしても、彼らの目的地はわかりきっているのだから、問題はないといえばない。
ただ、彼らが目的地に着いた場合は、姉の奪還が困難になってしまうだろう。
もうあの村には、”敵”しかいないのだから……
「お姉ちゃん……」
なんとしても助けないといけなかった。
自分を見捨てた家族と違い、姉だけは心配して来てくれたのだから。
そして自分の代わりに、連れて行かれる形となってしまったのだから。
と、ふいに懐かしい匂いを感じた。
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一も二もなく、ウルは匂いがする方角へと駆け出していた。
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