私は貴方に嘘をつかれていた。

瑠渡

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クリス視点


腹正しい国王達の策略

そんなこともあり、前にもまして仕事に没頭した。

領地へ赴く回数が月の半分以上行ってることもあり、邸へ帰るのもここ何ヵ月も数えるほどになっていた。

それに加え雨が続き土砂災害に見舞われた領地領民への対応で、帰れない月も出てきた。

久しぶりに邸へ帰ると

「クリスッ!!何で帰ってこないの?」

「公爵、土砂災害があり対応をしているのです。
公爵が現地へ赴けない代わりに僕が行ってるのですよ」


「それでも……全然帰ってこないじゃない!もう私達が結婚して2年以上になってしまったのよ!貴方の貴方の子供が欲しいのに」

「こんな玄関で話す事ではありません。執務室へ来てください」








「公爵」

「なんで公爵なんて呼ぶの?今まで通りエミリーって呼んでよ!!」

「………もうそう呼ぶことはないです。
貴方はここの公爵領を継いだのです。
そして僕は公爵補佐です。
その為の結婚です。そうじゃないですか?」

「ならっ、早く子供をつくって跡継ぎが必要なのよ。私は21歳になったのよ。
早くしなければっ」

「僕は……僕の身体は前と何も変わりないのです。
何の反応もない身体なのに公爵をを抱くことはできません。」

「そんなぁ」

「ならば、この家のために養子を迎えましょう」

「嫌よっ、私は自分の子でないと愛せない」

「………ならどうしますか?このフォーレイット公爵家を一代で終わらせますか?」

「クリス、もういい加減にして!」

    バタンッ



「……………」

僕は今、嘘をついた

この前から何となく下の反応が戻りつつある

だが、飲んだ薬は子種の枯渇だ。
子種が戻っているとは限らないし………

どうしたものか……

身体への副作用に不安があり、まだ枯渇薬は飲んでいない。



だが、飲まない選択肢は危険だ

もう少し王女の様子を見て決めよう。

また何か企んでいそうなら直ぐに行動に移さないと。



また毒のような薬を飲むことで、身体に強く影響が出てしまうだろう。
だが、長生きしたって虚しいだけ。
好きなように生きられないのなら………愛する人と過ごせないのなら、僕の生きることの意味がないのだから。

そうだ、祖国の両親に会いに行かねば。
僕の思いを優先して沈黙してくれているが、あの家の嫡男としての責任もある。
優しい両親。好きなようにさせてくれているがそろそろ悩んでいるだろう。
王家に嫁いだ妹の子供に継いでもらうしかないと話さなければ。




あの頃の幸せな時に想いを馳せる……

ミニョンの住む辺境、温かい人達

ミニョンと楽しく過ごした幸せ

ミニョンの真剣な眼差し、僕を見る優しい目

ミニョンの仕事への真摯な姿

抱きしめた時の幸せな時

会えた最後の2人で過ごした時間………


あぁ、幸せな気持ちが遠い想い出になってしまったようだ


ミニョン……いつか会えたらと頑張っているが無理かもしれない

自分がどうなるかわからないが、また毒のような薬を飲まなくてはいけなくなりそうだ。


ミニョン、君は今どうしているのだろうか


ミニョン、会いたいなぁ






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