私は貴方に嘘をつかれていた。

瑠渡

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僕は王女に黙って我が国へ向かう


「父上、母上、ご無沙汰しております。」


「クリス、元気であったか?」

「クリスっ!うぅ クリスっ!」

母上が泣いてしまったから父上まで辛い顔をされてしまった

「僕は大丈夫ですよ。嫡男として家にいなくてすみません。仕事も沢山あるでしょうに」

「クリス、大丈夫だよ。仕事は執事と頑張ってやっておる。」

「いつか戻って来れると思っていますが」

「それより、お前の顔色が悪いことが心配だ」

「毎日忙しくしておりますので」


パタパタパタッ  コンコンッ


「お兄様!!」

「マリエッタ!会いに来てくれたのか?王太子殿も。」

「クリスフォード、ほんとにすまない」

「いえ、最後は自分で決めたことです。お忙しいでしょうに会いに来てくださりありがとうございます」

「こちらにも、兄とあの女……コホンッ……王女の話が伝わってきます。夜会などで仲睦まじくて幸せそうだと民は喜んでいると伝わってきます。兄上……すみません。」

「ふっ、それは良かった。他の者にそう思われているのなら。むろん、目のある時はエスコートしてるからな。

今日は話があってきたんだ。
この家の跡継ぎについて。僕は多分……
子はなせないと思う。出来るならばマリエッタの子供をと思っているんだ。王太子どうだろうか?」

「今、私達には子供は第一王子しかおらん。もちろん、次に産まれるであろう子を公爵家にともしもの時は考えておる」

「ありがとうございます。それを聞いて安心いたしました」

「だがクリス、いつかクリスが愛する人と一緒になれたなら、そして薬の影響がなく子が出来たなら、この家の跡継ぎにしてやってくれ。」

「………実はそろそろまた薬を飲もうかと考えておりまして。そうなればきっと枯渇してしまうと思います」

「クリスッ、ううっ」

「母上、僕は僕の愛する人としか子供はいらないと思っている。僕の決めたことなので仕方ないです」

「どうにか、離縁にもっていけないのだろうか?」

「王女は僕を離す気は今のところ無いようです」

「「「…………」」」

「兄上、ほんとに申し訳ありません」

「いや、僕は国のため、この公爵家を守れて幸せだよ。今日は会いに来てくれてありがとう」

「クリス、お前の好きな人は?」

「んっ?きっと今も仕事を頑張っていると思う。彼女のいる辺境の村は資源が少ないから、一生懸命働いていると思うよ」

「名前は?今度調べようか?」

「いや、最後にきちんと話せたから。
いつか、また会えたらと……ダメだろうけど。気にしないでくれ」






妹は泣きながら帰っていった。

両親とも夜遅くまで話し、また会いに来ると言って、次の朝には我が家を後にした。





3日かけて戻り、その足でそのまま領地へ赴き、何日か仮り邸で仕事をし、公爵邸へ帰った。

監査員が公爵家を訪ねてくるというので、いつもよりまだ早いうちに帰宅した僕は、目の前の光景に衝撃を受けることになる。










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