【完結】いずれ忘れる恋をした

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【5章】やっと見つけた攻略サイト様様

2.

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不思議な男の人だった。 

時折、何か言いたげに寂しそうに笑う人。 

どこかで聞いたことがある声。
どこかで見たことのあるような人。 

「シーリル、どうしたの?」
「ちょっとぼーっとしてただけ」
「ふふ、そっか。もう遅いから寝よう。身体に障るよ」
「うん、そうだね」 

夫が差し出した手を取って立ち上がる。 

「シーリル」
「んー?」
「愛してる」
「…うん、私も」
「照れてる?」
「いきなりそんなこと言われたら照れるに決まってるでしょ」
「可愛いなあ、俺のシーリルは」
「もう!寝るよ」
「はは!うん、そうだね。おやすみ」
「おやすみ」 

見たことがある気がするのは、きっとどこかで彼の冒険者としての活躍を目にしたからだろう。 

夫の体温を背中に感じながら、そう結論付ける。 

「あ、今蹴った」
「本当に!?」
「ふふ、おやすみって言ってるみたい」

くす、と笑った私を抱き締める腕に少し力を込めた夫は、静かに私の名を呼ぶ。

「……俺が守るから」 

うん。彼の手に自分の手を重ねて返事をする。 

そのまま、ゆっくりと意識は落ちていった。 

________


召喚された聖女様が"魔力欠乏症"を治す薬を作ってから約1年。

私は店先でドラクさんと向き合っていた。

「あんたからしたら俺はただの客でデカいおっさんだろうが、俺は…、いや、何でもねえ。…じゃあな」
「…はい。さようなら」 


最後まで、彼は言葉にすることはなかった。 

温い風が吹き抜けて、腕の中の子がきゃっきゃと笑う。 

「よし、戻ろっか」
「きゃう!」
「ふふ、私たちの可愛い子。大好きよ」 

丸い額にキスを落として、ドラクさんが歩いて行った方向を見る。 

もうそこに彼の姿はなかった。




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