聖癒の聖女は覚えていない

せろり茶

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~16話~

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激しく啜られて、腰が跳ね上がる。

キャシーさんの舌がうねうねと動いて中をなぞりながら吸い付いて、何かが出る...!?


「アアアアッ!!やっ...だぁぁあぁぁあっっ!!でちゃ...ッッ!出ちゃうのっやだぁぁ!!!」


プシャッッ...!


音を立てて勝手に出ちゃう...?!止めようとお腹に力を入れているのに全然止まってくれない?!

「漏れ...あっあっあっあっ!!」

「うふふふエミーリア様、お潮ですよ?漏れたんじゃありませんわ。気持ちいいと出てしまう方もいるんです。わたくしで気持ちよくなってくださっただけですわ。可愛いお方...。」


チュルチュルッとそれすら吸い上げながら、また秘芯を刺激されていく。

ガクガクする腰と、強すぎる刺激に必死に頭を振ってキャシーさんの頭を脚が挟み込んで、でも腰は逃げようとするのも、自分の意思ではなくて。

ただただ強すぎる刺激に勝手に身体が反応している。


「可愛いお方...エミーリア様、もっともぉっと気持ちいいで一杯になりましょうね...?」


秘芯に吸い付いて、ちゅるちゅると啜られながら、キャシーさんの指がぬぷぬぷ音を立てながら中を掻き回す。

「とろとろ...エミーリア様、中がとろとろになって参りましたわ。ほら、真っ白な淫蜜。気持ちいいんですね?もっとわたくしで気持ち良くなりますわ。」


腰を撫で、腿を撫で、はしたない音をさせながらキャシーさんの唇が秘唇を食む。

ズルッズルルッ...激しく啜られる音にも、細くて柔らかくて、優しく触れていく指にも高く高く飛ばされていく思考。

中が...熱い...。

ヒリヒリしてヒクヒクして、中壁が膨らんでいるのが解る。

きゅうきゅうとキャシーさんの指を締め付ける中壁が、さらにキャシーさんの指がぐにゃぐにゃとぐちゅぐちゅと撫で擦って掻き回す。


「エミーリア様...エミーリア様...ああもう可愛いお方。もっと気持ち良くなりますわよ?ほら、お手を...。」

キャシーさんの手に導かれて、自分の指が自分の秘芯を撫でる。

「こうして...優しく擦って?」

指が秘芯の頭を撫でるだけで跳ね上がる程に気持ちいいのに。

キャシーさんの指も秘芯を下から撫で上げてくる。

ふたつの指がぐちゃぐちゃに動くから。

上り詰めたまま、降りられなくて。

「あっ!あっ!あっ!あっ!!あっん!アアアアッもだめ!も...だめぇえイクのっイッちゃってるのにイクイクイクイクッッ!!あっぁあっあっっ!」

「イッちゃってくださいませ...」

浮いたお尻が撫でられて、キャシーさんの唇がまた激しく蜜壺を吸い上げながら、舌がうねうねと動いて。舐められながら、クリトリスを撫で擦られて、卑猥な舌が啜って。

ギュウウウウ...お腹が煽動してまたプシャッッ!!プシャッッ!!と潮が吹いた。


熱い熱い熱い熱い...気持ちいい気持ちいい熱い気持ちいい...!!

「いいいいいいっ!イッ...くぅぅっ!!」


高く飛んだ世界は真っ白な閃光。

あぐあぐと空気を求めて戦慄いて、ほんの少しの身動ぎすらビリビリと強い刺激になって、快感と認識していく身体。

おへそと股座との間...子宮を何かがぶあっ!と熱く弾けて身体中を熱が駆け巡る。

指先の先の先まで...全身が熱くなって、キャシーさんの動き全部...肌に触れる髪の毛の先までを感じていく。

感じ過ぎてる。

こんなにもどかしくて気持ち良くて、求めては喘ぎ悶えて。奥にほしい。奥にほしくて堪らない。


もう堪えられないくらい擦られて突かれて揺すられたい。

「お腹ピクピクして...ヴァギナもひくひくってしながら、ぱくぱくしてますわ。エミーリア様...可愛い。ああ、聖なる紋章がピンクに輝いて来ました。生命の源がエミーリア様の中に満ち満ちて来たのですわね...尊いです、エミーリア様わたくしの聖女様...。」


キャシーさんの指がぐちゃぐちゃ激しく抜き刺しして...「可愛いお豆さん」って呟きながらぬるぬると舌が動いて啜って吸い上げる。

私はシーツの上で跳ね上がる腰と、気持ちよすぎて力が入ったままの腿が耐えきれなくなってきてふるふるする。

「あっぁあ......ひゅッ...あぅあああ...」

渦巻く程の快楽に飲まれて沈んで...瞼が蕩けて...


「エミーリア様...不肖キャシーがエミーリア様にはご自分のお慰め方を...これからも先導させていただきますね...?

如何に殿下と言えども...汚ならしい男なぞに麗しい聖女様を穢されるなど我慢なりませんわ...。必ずお救い致しますから...。」

キャシーさんの声が聞こえるけど、もうよく解んない...。

にゅぷっ...。

キャシーさんの指が抜かれて行くのがせつない。


蕩けて意識までがうっすらとした私の視界は、卑猥な液でぬめる指を美味しそうに舐め咥えるキャシーさんの赤く染まった頬と嬉しそうに蕩けた顔...。


嬉しそうなキャシーさん。うん、キャシーさんの嬉しい笑顔は私も嬉しい...。

自然と笑顔になってキャシーさんから触れるだけの優しいキスを受けながら...私の意識は沈んでいった。






****************


腰が重い...。脚がガクガクする...喉が渇いたなぁ...。

いつの間に寝てたのだろう。

身体を起こすと綺麗な薄紫色の寝着を纏っていた。

キャシーさんが着せてくれたのだと思う。

髪も柔らかなリボンで絡まないようにふんわりと三つ編みにされていて、髪が乱れないようにナイトキャップまで被ってた。

寝台から降りて、鏡台でつい見てしまう。

膝下までのふんわりとしたネグリジェ。襟元がゆったりと丸く開いていて縁には蝶みたいな薄桃のリボン。

薄紫はピンクも混じっているのか、淡い色合いが紫陽花みたいで可愛い。

ナイトキャップも縁飾りが透けるリボンがちょんっと着いていて可愛いなぁ。

キャシーさんの好みが何となく判る。

優しくて清廉なまさに優美な貴族のお嬢様!ってイメージのキャシーさんに...あんな凄いことをされたのか...。

そっとネグリジェを捲り上げて紋章を見る。

薄桃色にキラキラと輝きながら、私の呼吸に併せて脈動しているのがわかる。

これが...聖女の紋章...。

生命の源が身体に巡ってないと光らなくて、私自身も体力?がなくなるって言ってた。

あー...だから朝はものすごくボンヤリしてたのかもしれない。


今は...


鏡に映る私は...頬も...いや、肌全部が艶々してる。髪もつるつるの艶々。

気持ちもスッキリとしていて、充実している感すらある。

この艶々スッキリは...恥ずかしながらあれやこれやがもたらすのか...とか、ちょっと遠く海外にあると言う真っ白な砂浜に青い海というシラハマという海岸を想像してしまうのは仕方がないと思う。


それにしても...生命の源の発露?については、良く良く考えないと...。閨儀がまさか人前でのあれやこれやだなんて思わなかった。

第二皇子...コンラッド先生から贈られたドレスや、今日の講義というか淫猥すぎる暴挙を考える。

それに閨儀についての説明をきちんと聞いたのは今日が初めてかもしれない。


私は『誰とでも』...は、嫌だ。出来ることなら...テセウス様とだけがいい。

でも...昨日みたいに誰かの為に...私の力が誰かの為になるのなら幾らでも...って思う気持ちもある。

うーん...難しい。

聖女の存在意義?

あのとき...神々との繋がりを感じた瞬間を思い出す。

愛の行為がもたらす至福は世界を幸せにすると、私はそう受け取ったんだもの。

だから何となくだけど...大丈夫って思う。

「うん...大丈夫。きっと大丈夫...。」


そう呟いて、鏡に映る私を見つめる。

大丈夫だよ...どんなときも...私は私に出来ることを頑張れる。

そう思う。


水差しに用意されていたレモン水を飲む。

爽やかな酸味がうっすらとついたお水は喉を癒してくれて、ほっと一息ついた気持ちになる。

ほっとしたら...お腹が空いている事に気がついた。

小さく鳴るお腹に苦笑しながら、そう言えばおやつ、食べてないや...と思い出すと、空腹が止まらない気がしてしまう。

うーん...初呼鈴?使ってみる?

マントルピースの上に設えられたエンゼルトランペットみたいな花の飾りをじーっと眺める。

確か...テセウス様は、あの飾りの蓋を開けて話し掛けてたけど...これで本当に人を呼べるのかな...?

もし違ったら...恥ずかしいよ...ね?

うーんうーんと蓋を開けてみたり、閉じてみたりしてたら、ドアをノックする音がして「はい!」と飛び上がりながら返事をしたら「エミーリア様?」

と、ノースさんがドアをそっと開けて覗いていた...。うう...見られたかな...。


「どうかなさいましたか?」

ノースさんがそっと近づいてきて、私の前で跪いて、無表情だけど心配そうな目で見つめてくる。

ノースさんは、初めて会った瞬間からずっと、私をとてもとても大切にしてくれている。

過保護なくらい、大切にしてくれている。

あまり表情が動く人ではないけど...とても雄弁にノースさんはかなりの割合で目で語る人だと気がついたのは、いつくらいからだっただろうか。

「ええ...っと、あの...この呼鈴?ですか?どうやって使うのかなぁって...思ったんです。ちょっとお腹が空いて...。」

えへへ...と照れ笑いしつつ誤魔化しつつ、エンゼルトランペット風の装飾を撫でてみる。


「ああ...これですか。これは蓋を開けて声を掛けてくだされば我々聖従士の待機場所まで繋がります。この隣の小さな鈴蘭の方をスライドさせると、侍従室まで繋がりますよ。試しにエミーリア様どちらかにお声を掛けてみますか?」


お教えしてませんでしたね、と頭を下げられて慌てて「い、いつもノースさんが側にいてくださったから、そのっええと人を呼ぶとか考えたことが余りなくってですね...ええっと...だからその、いつもノースさん私の側に居てくれてありがとうございます?」


あわあわしながら「じゃ、じゃあ、試してみますね?!」と鈴蘭をスライドさせてみる。

「ええと、あの、エ、エミーリアです。誰かいますか~?」

と言って再び蓋をする。

本当にこれ、この使い方でいいのか?!


「エミーリア様、用向きを直接伝えてもよろしかったのでは?」とノースさんが微妙に笑っている気がするけど、面と向かってないのに何かを頼むとか、ちょっとそれは厚顔尊大というか貴族っぽ過ぎて出来そうにない。


「キャシーでございます。エミーリア様」

ノックの音と共にキャシーさんの声がする。来るの早い?!

「どうぞ」

「お目覚めになられましたのですね。エミーリア様」

微笑むキャシーさんの声が弾んでいて、若干居たたまれない。

「ぅ、あ...あの...」

「エミーリア様のお食事を部屋でお取りするのは出来るか?少しお疲れのご様子。今夜はお御祓がある。少しでもお身体を休ませて差し上げたい。」

口籠った私の代わりにノースさんがキャシーさんを見据える。

ちょっと冷気を感じる程に冷ややかな目線。

なんだか...キャシーさんとのあれやこれやをノースさんが知ってるんじゃないかと思うほど、キャシーさんを見る目が冷ややかだ。


「まぁ、大変ですわ。軽いものをお持ちいたしますねエミーリア様。ぐっすりお休みでございましたものね。お喉も渇いてございますわね。今ご用意致します。」

キャシーさんも、全くノースさんを見ずに私の両手を取ると、「夕食には障らない位の軽いものを持って参ります。」と微笑んでお辞儀をして出ていった。

なんだろうか...キャシーさんとノースさん...仲...悪いのかな?

そっとノースさんを見るけど、表情は変わらない。目があって、首を傾げて何となく笑って誤魔化した。

「...また、お夕食の時間に参ります。」

と、ノースさんがゆっくり頷いて退室していった。

今の頷きは...何となく心を読まれた気がするけど...気のせいだと思っておこう。




************



林檎のコンポートに、サワークリームが添えられて、冷えたグラスによそわれた綺麗なデザートと、小さくて薄い甘いラスク、温かなカモミールのミルクティーをワゴンに乗せて、「お待たせ致しました」と、キャシーさんが持ってきてくれた。

窓辺のテーブルにレースのクロスを掛けてくれて、透明な花瓶にお花を飾ってくれて、まるで小さなお茶会みたい。

「ありがとうございますキャシーさん。」

「いやですわ、キャシー、とお呼びくださいませ。わたくしの可愛く尊いエミーリア様。」


ふわりと頬を染めながら笑みを浮かべるキャシーさん。

優しげな笑みだけど目線は真っ直ぐで、『名前呼び』をねだっているのが判る。


「ぅ...はい。」

その目に根負けして、呼び捨てが確定した。

苦手なんだけどなぁ...年上の人を呼び捨てたりするの。

「さぁ、お茶が冷めないうちに召し上がってくださいまし。」

と、キャシー...が、スプーンにコンポートを乗せて『あーん』と...。

「...自分で食べられますよ?」

「お疲れのご様子ですから。わたくしの手から召し上がってくださるエミーリア様はきっと雛鳥の様に可憐で可愛いに違いありませんわ。さぁ、召し上がれ?」


とっても...美味しかったはずなのに、何を食べたか判らない軽食になった。



お茶を飲ませてもらい、髪を撫でたり指を絡めてきたりしたがるキャシーを、しばらく本を読みたい、と部屋から出てもらって。

本棚から適当に本を出して膝の上で開く。

適当に取ったそれは、私の好きな一千一夜物語だった。

でも...今日は読む訳ではなくて、ただぼんやりとページを捲るという行為をしたかっただけ。

カサリ、と微かに乾いた音と単調なページを捲る動きが気持ちを落ち着かせる。

ここ数日、色んな事があった。

振り返ると4か月前の花祭りのあの日から...私の周りはまるで違う世界に来てしまったかのような違いで。

何を悩んでいるのかすら不確かな状態にいるのに、周りだけが慌ただしくて忙しなくて、目が回りそう。

ぽけーっと流されてきた約3ヶ月間と、この1ケ月では密度が違う。

もっと言うとこの数日間は、濃密過ぎる程の怒濤の変化すぎた。

少しでも振り返って落ち着いて考えないと...あっという間に流されて行ってしまいそうで怖いくらいの変化だ。

ぼー...っと、ページを捲りながら、頭を空っぽにして、私はニイゾノさんが呼びに来るまで本を眺め続けた。




「お夕食のお時間でございます。エミーリア様。」

ニイゾノさんが恭しく頭を下げながら扉の傍で私に手を差し出している。

頷いて、近づいて。

扉の外でノースさんにまた抱き上げられて、そこは諸行無常?心頭滅却の心持ちで食堂へ降りた。


何で歩かせたくないのか、今度じっくり聞いてみよう。


食事はこのあと御祓があるので、ほぼ果物や、野菜。別にお肉を食べてもいいらしいのだけど、今からいくぞ!と気合いを入れる為にもそうしてもらっている。

まぁ...いつも御祓の時は泉に浸かりながら神酒と呼ばれる花の香りがするワインみたいなものを飲んでいるだけなのだけど。


気分は大事。

そう思っておこうと、ほぼ最初の頃からそうしてもらっている。

御祓が行われる聖殿までの衣装はいつも同じ。

真っ白な蝶の羽の様に軽やかで、肩から袖はなく、シンプルな重なりあった布地が前で結ばれるだけの裾の長いワンピースだ。ドレスとも違うそれを身につけて、濃い水色のフードつきローブを被り、全身を隠しながら馬車へと乗り込む。ローブは隠世がなんとかで、御祓の服は離世がどうとかって説明をされてるけど、ちんぷんかんぷん過ぎてそれは全く覚えていない。


夕食のあと、キャシーさ...キャシーに着付けされて、名前を知らない神官が捧げ持つお盆の上の神酒と神果を飲みながら神官の奏でるような聖句を神妙に聞く。

聖句が始まったら一切の言葉を発してはいけないと言われている。花祭りの時みたいだ...。


聖句はまるで音楽の様に抑揚と強弱の妙を効かせ、音の洪水の最中に居るようだ。


聖句が終わると馬車へと案内されて、乗り込むのも言葉を発してはいけない。

なので馬車の扉を押さえてくれているニイゾノさんへ目でお礼を伝える。

ニイゾノさんも私に話しかけてはいけない決まりなので頷いてくれるだけだ。

無言の中、神官が掲げ持つ錫杖という鈴の付いた杖のシャンッ...シャンッ...と鳴る音が高く響く。

恭しくお辞儀をして神官が扉を閉めて、静かに馬車は走り出す。

揺れが伝わらないように敷き詰められているクッションを抱えて、しばらくその揺れに身を任せながら、聖句やただの服だと思っていた衣装にも意味があるんだな、とか、私はやっぱりまだなにも知らないんだわ...と考える。


石畳の感じが変わって、門扉を開ける重い音がして、離宮の外に出たのだ、と体感した。

このまま、離宮の手前にある小さな森を抜け、聖殿までくるりと廻る...らしい。

馬車は目貼りなのかカーテン風に描かれているだけで外は見えない。

はじめの頃は馬車なんて珍しくて、外を見たくて開けようとして驚いた位精巧な絵。

なんでも護りの法力が掛かっているから開けては行けないらしい。


......本当に、私は何も知らない...。

なんだか溜め息が出そう。


揺れかたの変わった馬車。きっと土の上を走ってるのだと思う。


シャン...シャン...と小さく鳴り続ける錫杖の音がさっきよりも大きく響く気がする。

きっと森は夜の静けさなんだろうな。


ガガガッ!!!


突然馬車がスピードを上げた。

「ッ...!?」

叫びそうになったのをグッと飲み込む。

え、なに?


馬車の周りを沢山の蹄の音が取り巻き、ギンッギンッ!と金物がぶつかる音がする。

ズバンッ!

ズバッ!

馬車の壁に何かが刺さる音が続いて、「賊!敵襲!」と、サウスさんの切迫した声がする...?!


え...!?何...?

狙われているの...?


ガキンッ!!...ドウッ!

金気の音ととても重いものが倒れる音と、聞いたことが無いような「うぉおおおッ!!」とまるで猛獣の叫び声の様な男の人の太い声。

雄叫び...怖い...何...?


「聖女を奪え!殺さなければ傷つけても構わん!」

馬車に追い縋る声。

争う音と走る馬車の振動。


ぎゅっと目を瞑って、両手を握りしめて、声を出さないように縮まって。

「させるかぁぁぁぁぁッッ!!」

サウスさんの声がする。

「エミーリア様!!」

ノースさんの声がする。


怖い...。怖いけど...お願い...。誰も怪我をしないで...。


「馬の足を狙え!」

「逃がすか!」


怒鳴り声が、

闘う音が、

馬の蹄の音が、

見えないけど、見えないからこそ、激闘を予想して。

ズバンッ!と突き刺さる矢の音がする度にどうしようもなく震える。


...怖い...!怖い...どうして?なんで争うの?

泣きそうになりながら、泣いたら駄目!と自分を叱咤する。








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