妖精のノート

TAKA

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四つ目の願い

リンチ

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「い、いたい、や、やめ・・・。お、お願いでふ、い、いたいよ・・・」

 車で男達に連れて来られたのは、想像していたのとは違いタワーマンションの一室だった。1LDKだが部屋は広く光沢のあるタイル貼りのお洒落な部屋だった。

 部屋に入っても何も聞かれず、ひたすらリンチを受けていた。ただ男達は本気ではなく手加減をしているようだった。

「さて、そろそろ体も暖まったし、ぼちぼち行こうか」

 3番目の男が言い他の2人が嬉しそうに大声を上げた。

 全裸にされ、後ろ手に縛られ、両足は石で出来たテーブルの脚に鎖で繋がれ、首からは紐で吊るしたダーツボードを掛けられた。

「じゃあ、俺からな」

 3番目の男が立ち、まるでピッチャーのように振りかぶって、こちらをめがけ思い切りダーツを投げようとしていた。

「いやだ、助けて、いやだ、いやだ」

 恐怖で腰が抜け座り込んだ。

 ヒュッツ

 強く目をつぶった時、ダーツが風を切る音がしたかと思うと左の耳に激痛が走った。

「ぎゃあ、あ、あ」

 わめきながら床をのたうち回った。左の耳が切れたらしく、鋭い痛みが襲い床に血が広がった。

「ちぇっ、はずしたか。お前が動くからだぞ」

 男はそう冷たく言うと床に落ちている血の付いたダーツを拾い目の前に突き出した。

「ちゃんと立ってないと何処に刺さるか分からんぜ」

「い、いやだ、な、何でもします。だから助けて下さい、お願いします、お願いします」

 泣きながら男に訴えた。男は何もしゃべらず、冷たい目でこちらを見ているだけだった。

「早く投げさせろよ。次は俺だぞ」

 別の男がにやにやしながら言った。

「っす・・・、すいません。財布はぼ、僕です。僕が拾いました。僕です。だからもう許して下さい。謝ります。ごめんなさい」

 床に正座し頭を下げ必死で謝った。

「やっぱりね」

「ぎゃあああああああ、あ、あ・・・」

 男が握った血塗れのダーツが左の太ももに深く突き刺さっていた。

「うるさいよ。お前のせいでどれだけ損したと思うんだ、ええ?」

 そう言いながら男はダーツを更に深く差し肉を抉るように動かした。

「うわあああああ」

 痛みに耐え兼ね大声を出した。顔は涎と鼻水と涙にまみれていた。

「お前、死ねよ」

 その一言を聞いた瞬間、死の恐怖で目の前が歪み失禁してしまった。

 「嫌だあ、死にたくないよお・・・」

 男は汚れるのが嫌なのかダーツを差したまま離れて行った。

「こいつ漏らしやがった。きったねえな。おい、もういいや、殺せ」

「うーす。じゃあ、俺が」

「いや、昨日はあまり上手く出来なかったから俺にやらせてくれ」

「だめだ、俺の番だ」

「えー、じゃあこれは?お互い道具は使わず一回ずつ交代にして、どっちが止めを刺せるかやろうぜ。負けた方が勝った方に酒を奢るでどうだ」

「うーん、ま、いっか。でも最初は俺だぞ」

 2人の男が嬉しそうに言いながら近づいて来た。

「た、助けて下さい。お願いします。この通りでっあっつ」

 一人の男が床の汚れを避けながら顔を蹴って来た。その蹴りは正確で、口は切れ前歯は折れ鼻は潰れ鼻血が大量に流れた。

「ごめんなしゃい、けふっ、そんしらぶんはべんしょうしましゅ、らからいのしらけは、ごほっ、らしゅけれくらしゃい、おねがいしましゅ、ごほほっ」

 血が喉の奥に絡み呼吸が苦しく、前歯がないため上手く喋れなかった。

「汚いし滑るのも嫌だな・・・」

 次の男がそう言いながら脱がした服を投げて寄越し床を拭くように促した。

「のーろ、そうらっ、のーろ、のーろ、のーろら、のーろれべんしょうしましゅ」

 とにかく死にたくなかった。助かるためにはノートを使うしかないと思った。普通に考えれば誰も信じないような話だが、今は何がなんでも信じてもらうしかなかった。足の痛みを我慢し立ち上がり足で床を拭きながら、玄関近くに転がっているリュックを見つめ何度も訴えた。

「こいつ、うるさいよ。頭を潰すか」

 男がそう言いながら近づいて来た。

 男の残忍な笑顔を見たら、体が固まり恐怖で声も出なかった。

「おい、やめろ」

 もうだめだと思った時、3番目の男が声を掛けて来た。その手の中にはあのノートがあった。

 取り敢えず助かったと思うと気が抜け目の前が真っ暗になって行った。
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