妖精のノート

TAKA

文字の大きさ
13 / 21
五つ目の願い

小指

しおりを挟む
「おい、起きろ」

 男の一人に揺り起こされた。気絶していた間にダーツボードは外されていた。鼻血は止まり耳の血も固まっていたが太もものダーツは刺さったままだった。

「さて、このノートについて説明してもらおうか」

 3番目の男がノートを見ながら聞いて来た。

「しょれはようしぇいからもらったノートで、願いを叶えてくれるんでしゅ」

「は、願いが叶うノート・・・、こいつ頭行っちゃってるな」

 別の男が呆れたように言ったが、3番目の男は気にせず更に聞いて来た。

「お前、4つの願いを書いてるだろ。初めの3つは叶ったのか」

 3番目の男はノートが気になっているようで、助かるチャンスだと思い何度も強く頷いた。 

「1つ目の安田ってのはどうなった」

「事故で頭を打ち入院してましゅ」

「2つ目の女とはやったのか」

 答える代わりに大きく頷いた。

「3つ目の金はどうした」

 3つ目の願いで手に入れた金は10万円であり、どう答えていいか分からず黙り込んでしまった。

「どうした。幾ら手に入ったんだ」

 3番目の男が重ねて聞いた。

「いや、あの、昨日のしゃいふの10万円・・・」

 嘘を付いてもすぐにばれそうなので正直に答えることにした。
 
「ふーん、10万円か・・・、そうか、そうか」

 思ったより金額が少なくしばらく考えている様子だったが、何かを思い付いたらしく一人で納得しているようだった。

「それで、4つ目で警察から逃げたっていうことか」

「おい、まさかこいつの話を信じてるのか、願いが叶うノートなんて・・・」

 それまで黙ってやりとりを聞いていた男達が3番目の男に聞いた。

「さあ、どうかな。ただこのノートに書かれたことは、こいつの言ってることが本当なら全部現実になってる。ということはこのノートは本物かもしれないってことだ。そしてこのノートが本物ならあの数字が分かるかもしれない」
 
 3番目の男は楽しそうにノートを掲げた。

「お前、こういうオカルトチックなの好きだよな。でも、本当に全部叶ってるのか」

「ああ、少なくとも3つは叶ってるな」

 3番目の男は自信ありげに断言した。

「何で分かるんだ」

 男達が不思議そうに聞いた。

「こいつ、強姦致傷、覚醒剤取締法違反とかで指名手配されてる。どうせ2つ目で女を犯して警察に捕まりそうになったんで4つ目で逃げたんだろ。3つ目は俺の金を取ったんだし」

「しゅっ、しゅめいてはい」

 いきなり指名手配と言われ驚いた。

「ああ、ちょっとお前のことを仲間に調べてもらったら、そういうことらしいぜ」

 そう言いながら仲間からのメールを見せた。

「しょんな・・・」

 警察から逃げた時点で分かってはいたが、いざ指名手配になるとこれからどうなるのか不安になった。

「おい、このノートは俺達のために使え。そうすれば命だけは助けてやる」

 3番目の男が言った。

「なあ、でもノートは手に入ったんだからこいつは要らないだろ。殺させろよ」

 不満そうに男達が言った。

 その言葉を聞いて絶望的な気持ちになった。何とかノートと引き換えに命だけは助けてもらえるよう男達に頼もうと考えたが、声を出す前に3番目の男が言った。

「それがだめなんだ。ノートの最初にノートの権利は譲れないと書いてある」

 どうやら4つ目の願いが叶ったあと、新しい条件が出て来たようだ。これで命だけは助かったと安心した。

「えー、でももう殺すつもりでいたのに。昨日も俺、殺せなかったんだぜ。何か納得出来ないな・・・、なあ、やっぱり殺していいだろ。俺の番なんだからさ」

 男がしつこく言ってきた。

「殺すのはだめだ。・・・こうしよう。小指にしよう。お前、前から昔っぽい落とし前の付け方に興味あっただろ」

 3番目の男が頷きながら笑顔で言った。

「えー、でも・・・。・・・あっ、いいこと思い付いた。いいぜ、そうしよう」

 こちらに聞くこともなく男達が勝手に決めてしまった。

「嫌だ、嫌だ、嫌だ」

 テーブルの下に逃げようとしたが、もう一人の男がいつの間にか隣にしゃがみ肩を押さえて来た。

「お前さ、命は助けるけど落とし前は付けろよな。男だろ」

 そう言いながら近づく男の手には、いつの間にかヤクザ映画に出てくるようなドスが握られていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

処理中です...