アア

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第三章

3ー4

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 その日の夜、帰宅後。僕は茜さんに通話できないかを確認するためにRINEをしていた。
 ちなみにRINEのアカウントは、名前呼びを始めて三日目くらいの時に茜さんに「やっぱり連絡手段があった方がいい」と言われ、交換した。
 茜さんからグッドマークのスタンプが返ってくる。大丈夫という意味だろう。
 僕は、通話ボタンを押す。
 数コールの後に茜さんが出た。
『もしもし、空太君』
「もしもし、茜さん。突然通話していいかなんて聞いちゃってすいません」
『そんなこと気にしないでいいよ。それで、どうしたの?』
「ああ、えっと……今日はお礼を言いたくて」
『お礼?』
「なんのこと?」という一言を付け加えながら茜さんが聞いてくる。
 その一言に僕は「今日のことです」と簡単に返した。
『ああ、今日のことか。そんなこと気にしなくていいのに』
「いやいや、気にしますよ。それで、えっと、今日は茜さんの友達に会わせてくれてありがとうございました」
『どういたしまして』
 軽い感じに茜さんが言う。
 あまりにも軽い感じでいなされてしまったのでしばらくの間固まってしまう。
 そのまま言葉を発さないでいると茜さんが
『……声聞こえなくなっちゃったけど話ってお礼のことだけ?』
 と聞いてきた。
「ああ、いや、もう一つあります」
 言いたいことはもう一つある。
 むしろ、こちらの方が今日の内に言ってしまいたい話だ。
『何?』
「須藤さんと宮下さんのことです」
『あかりと凛のこと……う~ん、何だろう?』
 茜さんがうねる。
 そんな茜さんに僕は
「須藤さんと宮下さんが優しい人だったことです」
 と言った。
『え?』 
「実は僕、会話している中で須藤さんと宮下さんの悪意が聞こえたんです」
『二人から悪意が……空太君は大丈夫だったの?』
「大丈夫です。悪意自体は聞こえてきたんですけど、茜さんが僕にばっかり構っていることからくる嫉妬みたいなものだけだったんです。それで、初対面でなおかついつも教室で一人で過ごしていた僕に対して、それだけしか悪意を向けないっていうのは優しい人なんだなって思って……それで、二人に友達になってほしいって言う決意も固まったので……そのことを茜さんに伝えたくなったんです」
 僕の言葉に茜さんがフフッと微笑んだのが聞こえた。
「なんでそこで笑うんですか?」
『いや……そんなこと一々私に言ってくる空太君が可愛いなって思って』
「可愛い……ですか」
『うん、可愛い』
 その言葉に、思わず笑ってしまった。
『空太君も笑ってるじゃない』
「なんだか、可笑しくなっちゃって」
 そうして、しばらく二人で笑いあった。
 笑いあった後、僕はもしかしたら茜さんが確認したいと思っているのではないかと考えていることについて伝える。
「そういえば、須藤さんと宮下さんの二人なんですけど、茜さんへは一つも悪意を向けていませんでしたよ」
『そっか……そうなんだ……空太君が言うなら間違いないね。でも、そっか、良かった。二人が私に悪意を向けてなくて……』
「……」
『空太君、ありがとう二人が悪意を向けてないって教えてくれて。やっぱり空太君は優しいね』
 自分から伝えたにも関わらずなんだかむず痒くなって言葉に詰まっていると、茜さんから感謝の言葉が返ってきた。
「だから、僕は優しくないですって」
『うんん、空太君は優しいよ。だって、空太君は私があかりと凛の二人が私に悪意を向けているんじゃないかって心配していると思って言ってくれたんでしょ』
「まあ……そうですね」
『なら謙遜しないで。空太君は優しいよ』
「……まあ、ならそう言うことでいいです」
 そうしてそのまましばらくの間他愛のない話をした後通話を切り、僕は眠りについた。
 
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