アア

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第三章

3ー9

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 茜さんに相談に乗ってもらった一日が経過した日の放課後。僕はあかりさん、凛さんの二人に「大事な話があるから」と言って教室に残ってもらっていた。
 僕の横には茜さんがいる。茜さんが僕が宣言した後に「二人に話すときには私もそばにいる」と言ってくれたのだ。
「それで、大事な話ってなんだ?」
 あかりさんが聞いてくる。
 躊躇っていても仕方がないので僕はさっそく自身の体質について告げることにした。
「僕は人の悪意を聞くことができるだ」
「「え?」」
 二人が声をそろえてそんな素っ頓狂な声を上げる。
 僕は二人に構わず言葉を続け、自身の体質、自身の過去について一気に話した。
「これが、僕が怯えていて、そして今まで隠してきたこと」
「そんなことがあったのか……」
 あかりさんが小さく呟く。
 凛さんは何も言わず、その場で俯いている。
 こんな話をすれば二人のような反応をとってしまうのは当然のように思えた。
「……なんていうか、その……今まで辛かったよな。色んな人から冷たい視線を受けて、信じていた友達にも裏切られて……ごめんな気づいてやれなくて」
「空太君、私からも謝らせて。ごめんなさい。私達出会ってからかなりの時間を一緒に過ごしたのに空太君が苦しんでいることに気づくことができなかった。本当にごめんなさい」
 二人がそれぞれ謝罪の言葉を並べてくる。あかりさんに至っては今にも涙を流してしまいそうだ。
 二人から悪意は聞こえない。
「どうして……」
 ポロっと、不意に言葉が漏れた。
 どうしてなんだろう。どうして、二人からただの一つも悪意が聞こえてこないのだろう。どうして二人から謝罪の言葉が出てくるのだろう。
「どうして、二人が謝るんですか?」
 訳が分からなくて聞いてしまう。その答えはすぐに返ってきた。
「なんで謝るか……か。それはね空太君、私が空太君に苦しい思いをさせてきたことに気が付けなかったってわかったから。空太君は私と友達になって、ずっと自分のことを打ち明けなきゃって悩んで、苦しんでいた。信頼していた友達にさえ、理解してもらえなかった過去があるのに……だから私は謝ったの。今まで気づいてあげられなくてごめんねっていうそんな思いを込めて……あかりもそうだよね?」
 凛さんが聞くとあかりさんは涙を流しながらウンウンと首を大きく縦に振った。
 そんな二人の言葉を聞いて僕は涙を流す。
 その涙は二人が僕の体質を受け入れてくれた安心感や、今まで感じていた苦しさからの解放など、様々なものがぐちゃぐちゃに混ざり合うことで流れる涙であった。
「おいおい、泣くなよ」
「泣かないで空太君」
 二人の僕を心配する優しい声が聞こえる。
そんな二人の声を聞きながら僕は「ありがとう」と一言だけ言葉を紡いだ。
二人から悪意は聞こえてこなかった。
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