僕は超絶可愛いオメガだから

ぴの

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2章 夏〜秋

僕は出かけます②

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 お見合いの話をしてから、ピッタリ体はくっついてたけど、お互い無言だった。
 大きな橋を渡って、東京湾沿いのショッピングモールに着く。
「光宗、また携帯で呼び出す。」
「承知いたいました。」
 恭しく頭を下げる光宗さん。
 明らかにαのオーラがあるナオくん。
 どこのVIPが来たのかと観光客らしき人達がチラチラと僕らを見てくる。

「あの人すごくかっこいい。」
「うわっ、隣の人可愛すぎる!Ωかな?」
 なんて声が聞こえてくる。当然それはナオくんの耳にも入っているようで、少し眉をひそめた。
「暑いから春人は帽子被った方がいい。」
なんて言って、適当に入ったお店でツバの広い帽子を被らされた。

「ナオくん、こんな芸能人みたいなの被せて僕の顔隠して、これも独占欲?」
帽子の下からナオくんの様子を伺う。
「俺はさっきまで少し怒ってたんだぞ。調子に乗るな。」
と言って、僕の鼻を摘む。
「へへ、ごめん。」
「ほら行くぞ。」
 ナオくんは僕の手を繋いで歩いてくれた。
 階段を少し登った先に海が見えるプロムナードがあった。
「わぁ、結構近くで海が見えるんだね。」
 日差しが強いお陰で海がキラキラと反射して光っていた。

 10分程歩いていたが、暑さで僕の息が切れてきた。
「春人大丈夫か?そこのカフェで少し休もう。」
 そう言って海沿いのカフェに入る。
 テラス席が良さそうだったけど、エアコンがきいた室内で休んだ方がいいと言われて中の席に座る。

 店員が注文を聞きにきたタイミングで僕は帽子を外した。
 すると僕を見た男の店員は、僕を見たまま固まる。
 こういう事は、外出するとたまにあったので、またかという感じだ。
 ナオくんはムッとして注文する。
「アイスコーヒー、春人は?」
「フルーツティのアイス、って聞いてますか?」
 僕は店員に向かって少し声を張る。
「あ、はい。えっと、」
「彼がアイスコーヒーで僕がフルーツティーのアイスね。」
「あ、はい。承りました。」
 店員は、顔を赤くして厨房に戻って行った。

「よくあるのか?」
「ん?」
「春人を見て我を忘れるみたいなやつ。」
「うん。結構ね。たまにその場で交際を申し込んできたりとかあるし。
「そうか…。」
 そう言ったきりナオくんは、何か考えているのか黙ってしまった。

 しばらくすると、先ほどの店員が注文した品を持ってくる。
「あの、良かったら、連絡ください。」
 ドリンクを置いた後、店員は紙のコースターに書いた連絡先を僕に差し出した。
 僕が何か言う前に店員は、コースターを置いて去って行く。
 僕はそっと、連絡先が書いてある方を裏返しにして端に置き、アイスティーに口を付けた。

「あ、これ、美味しい。ナオくん味見してみる?」
 一連の出来事をジッと見ていたナオくんが僕に声を掛けられてハッとしている。
「いや、大丈夫。この後ちょっと早いけど、ランチの場所に行こうか。」
「うーん、でもまだ僕お腹空いてないよ?」
 この辺のショッピングモールのレストランでも入るんだろうけど、ランチの時間には早い。
「すぐに食べなくていい。そこからは、海も見えるから景色眺めてればいいよ。」
「そう?じゃあ、行く。」

 すると、ナオくんは携帯電話で光宗さんを呼び出す。
「3分後に着くらしい。行くぞ。」
「もう!?ナオくん一口も飲んでないよ?」
「もう充分だ。」 
 充分って飲んでないのに? 
 そう言うとさっさと電子マネーでお会計を済ませてしまったので、僕も慌てて後を追い掛けて店を出る。

「あっ!帽子忘れた!取ってくる。」
「春人、待て!そんなものいい。」
 戻ろうとする僕の腕がナオくんに捕まる。
「さっき、買ってもらったばっかりのだよ。」
「あとでまた買ってやるから。」
「そういうことじゃないよ。もうセレブなんだから~。」
 僕がむくれると、 
「俺が取ってくる。」
と言って店に戻る。

 ナオくんの姿が見えなくなってすぐに、側にいたらしい二人組の男が僕に声をかけてきた。
「あれ?一人になったの?」
「良かったら、一緒に遊ばない?」
 でも帽子を取りに行っただけのナオくんがすぐに戻ってきて威圧を放つ。

 それだけで、男二人は、青ざめながら逃げていった。
 ナオくんは僕に帽子を被せてギュッと強く手を握って無言で待っている車まで大股で歩くので僕は小走りで必死について行った。

 車に乗り込むとすぐに出発して5分もしないうちに海沿いのホテルの正面玄関に着いた。
「ランチってここ?」
「そう。海見ながらランチしたいって言ってただろ。」
「いや、その辺のお店かと思ってたから、こんな高級そうなホテルとは思わなかった。」
「その辺のお店にしなくて良かったと俺は俺の選択に感謝するな。」

 ホテルに入るとナオくんはチェックインカウンターに向かう。
 レストランに行くんじゃないの?
 僕がポカンとしてると、
「ここのホテルのスイートルームは海に張り出したテラスがあってとても居心地がいいんだよ。そこに料理持ってきてもらおう。」
「そういうこと!?もうふつーーーでいいって言ったのに。」
「そういうと思ったけど、またさっきのカフェみたいな事があったら、俺の忍耐がもたない。春人を独り占めさせてくれ。」
急に恥ずかしいこと言われて、僕は帽子を深く被って赤い顔を隠した。
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