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ジョージ
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身なりの良い美男子は、ジッと私を訝しげに見ている。
エリーズはちゃっかり、その美男子の背中に隠れやがった。
「私はフィリシアと申します。エリーズ様の侍女として、一緒にこのお屋敷に参りました」
私はドレスを捌き、美男子に深々と頭を下げた。
「見かけないご婦人がいると思ったら、そうか、あなたがエリーズだったのですね」
美男子は自身の背中に隠れているエリーズに振り返った。
「はい。クロード様と結婚を控えております、婚約者のエリーズ・ミュルゲールでございます」
エリーズもイケメンの前だとしおらしい。
「僕は、クロードと幼馴染のジョージだ」
そうなんだ。
でもクロードは、もう領地の見回りに出掛けてしまっているのに、この幼馴染のジョージは、主人がいないのに何をしに来たんだろう?
「ところで、何を騒いでいた?エリーズが血相を変えて飛び出して来たのはなぜ?」
「このフィリシアが、私に向かってナイフを突きつけて来たんですッ!」
「ナイフを?」
ナイフって言っても、食事用のナイフだけどな。
まあ、私の手にかかれば、食事用のナイフでも息の根を止める事は出来るけど。
「どういう事なんだい?フィリシア」
何コイツ。
いきなり首突っ込んできて、何を仕切り始めてる?
「話の行き違いがあっただけです」
「それでナイフを突きつけるとは、あまりにも野蛮な行為ではないか?しかも、君は彼女に仕えてる立場なのだろう?」
もっと言ってと言わんばかりのエリーズの顔を見ているだけで、私は鬱陶しくてイライラして来た。
このジョージって男も、クロードのいない屋敷の揉め事に、何を首を突っ込んでくる?
「理由が知りたいのなら、エリーズ様にお聞きください。私は忙しいので」
クロードが帰ってくる前に、ハンバーガーを作らないといけないのに。
面倒なエリーズの世話は、コイツに任せるか。
私はもう付き合っていられないので、2人に背を向けてキッチンへ向かう。
「待ちなさいよ!まだ謝罪が済んでないでしょ!私にナイフを突きつけたくせに!」
はあ?
しつけーな。
「エリーズ様、何か勘違いなさったのでは?それとも、ジョージ様の前で、私がこのお屋敷に来た理由をお話しした方がよろしいですか?」
私がエリーズを睨みながら最終通告を言い渡すと、流石にエリーズもジョージの前で、私を身代わりにして贅沢三昧をするために結婚した事をバラされるのはまずいと思っている様子だった。
「湖でのお話も致しましょうか?」
私の鋭い視線に、エリーズは真っ青になっている。
エリーズの知っているフィリシアなら、きっと黙って耐えてただ虐められていただろう。
でも私は怖いものなどない。
「私は、エリーズ様が落とした食事用のナイフを拾っただけですよね?」
私の声に、エリーズはワナワナと震える。
「それを、エリーズ様に突きつけたと、勘違いなさったのですよね?」
私に念を押されて、エリーズは何も言い返してこない。
「やっぱりお前、変よ!私の知ってるフィリシアじゃない!まるで、本当に悪魔か魔女にでもなったの?」
悪魔や魔女などと口走るので、ジョージは険しい顔で私を見る。
「どちらの言い分が正しいのか僕には分からないが、エリーズが不快に思ったのは本当のことだろう。フィリシアが謝罪をするのが1番の得策なのでは?」
はあ?
何言ってんだ?
何で私が謝罪する?
何が1番得策だ?
コイツ、マジで馬鹿なボンボンか。
「お言葉を返す様ですが、何でも侍女のせいにされるのは真平です。ジョージ様がそれがお気に召さないのでしたら、クロード様にご報告なさってください。私は罰を受けるのなら、クロード様から言い渡されたいです」
付き合ってられんわ。
顔だけの男と、キチガイの女にこれ以上何も話す事もない。
私はもう何をギャンギャン言われても、振り返らないと決めてその場から歩き始めた。
「……なんて女だ」
ジョージの、私に対する呆れた声は、微かに聞こえた。
エリーズはちゃっかり、その美男子の背中に隠れやがった。
「私はフィリシアと申します。エリーズ様の侍女として、一緒にこのお屋敷に参りました」
私はドレスを捌き、美男子に深々と頭を下げた。
「見かけないご婦人がいると思ったら、そうか、あなたがエリーズだったのですね」
美男子は自身の背中に隠れているエリーズに振り返った。
「はい。クロード様と結婚を控えております、婚約者のエリーズ・ミュルゲールでございます」
エリーズもイケメンの前だとしおらしい。
「僕は、クロードと幼馴染のジョージだ」
そうなんだ。
でもクロードは、もう領地の見回りに出掛けてしまっているのに、この幼馴染のジョージは、主人がいないのに何をしに来たんだろう?
「ところで、何を騒いでいた?エリーズが血相を変えて飛び出して来たのはなぜ?」
「このフィリシアが、私に向かってナイフを突きつけて来たんですッ!」
「ナイフを?」
ナイフって言っても、食事用のナイフだけどな。
まあ、私の手にかかれば、食事用のナイフでも息の根を止める事は出来るけど。
「どういう事なんだい?フィリシア」
何コイツ。
いきなり首突っ込んできて、何を仕切り始めてる?
「話の行き違いがあっただけです」
「それでナイフを突きつけるとは、あまりにも野蛮な行為ではないか?しかも、君は彼女に仕えてる立場なのだろう?」
もっと言ってと言わんばかりのエリーズの顔を見ているだけで、私は鬱陶しくてイライラして来た。
このジョージって男も、クロードのいない屋敷の揉め事に、何を首を突っ込んでくる?
「理由が知りたいのなら、エリーズ様にお聞きください。私は忙しいので」
クロードが帰ってくる前に、ハンバーガーを作らないといけないのに。
面倒なエリーズの世話は、コイツに任せるか。
私はもう付き合っていられないので、2人に背を向けてキッチンへ向かう。
「待ちなさいよ!まだ謝罪が済んでないでしょ!私にナイフを突きつけたくせに!」
はあ?
しつけーな。
「エリーズ様、何か勘違いなさったのでは?それとも、ジョージ様の前で、私がこのお屋敷に来た理由をお話しした方がよろしいですか?」
私がエリーズを睨みながら最終通告を言い渡すと、流石にエリーズもジョージの前で、私を身代わりにして贅沢三昧をするために結婚した事をバラされるのはまずいと思っている様子だった。
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私の鋭い視線に、エリーズは真っ青になっている。
エリーズの知っているフィリシアなら、きっと黙って耐えてただ虐められていただろう。
でも私は怖いものなどない。
「私は、エリーズ様が落とした食事用のナイフを拾っただけですよね?」
私の声に、エリーズはワナワナと震える。
「それを、エリーズ様に突きつけたと、勘違いなさったのですよね?」
私に念を押されて、エリーズは何も言い返してこない。
「やっぱりお前、変よ!私の知ってるフィリシアじゃない!まるで、本当に悪魔か魔女にでもなったの?」
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はあ?
何言ってんだ?
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コイツ、マジで馬鹿なボンボンか。
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