22 / 78
愛とは
しおりを挟む
その後、私はエリーズの入浴の手伝いを済ませて、私も侍女達が使う風呂に入った後にクロードの寝室に向かった。
この地は温泉が湧き出ているので、風呂に入るのも楽で助かる。
この世界の人間も、毎日風呂に入る習慣がある様だ。
家の主人や家族に対して、召使が入浴の手伝いをするとフィリシアの記憶に残っていた。
フィリシアは、エリーズとミュルゲール男爵夫人の入浴の世話をする侍女達の1人にいたが、どちらにしても、いつもちょっとした事に難癖を付けられて、お湯を掛けられたりしていた様だな。
「クロード様、失礼致します」
ドアをノックしたが返事がないで、私はクロードの部屋のドアを開けてみた。
寝室にはまだクロードの姿がなく、私はクロード専用の浴室へと向かってみた。
「クロード様。お背中をお流ししましょうか?」
クロードがまだ風呂に入っていたので声を掛けてみた。
「あ、ああ」
流石に風呂の中では仮面を外していたか。
クロードは召使達に顔を見せたくないので、風呂は必ず1人で入っているとシュナイダーから聞いたので、背中だけでも流してやるかと思った。
バスタブに浸かっているクロードは、私を見てまた右頬と耳を真っ赤にした。
「フィリシアはもう風呂には入ったのか?」
「はい。他の侍女の方と一緒に」
「そうか」
私はクロードの逞しい背中に触れると、クロードはビクッと肩を震わせた。
柔らかい布で、私はクロードの背中を優しく撫でた。
「ひ、人に背中を流してもらうのは、久しぶりだ」
クロードは照れ臭いのか、少しだけ焦っている様に見える。
ふふふ。
焦るクロードも可愛いじゃないか。
「そうだったんですね。これからは、私がお世話を致しますね」
私がわざと耳元で囁いてやると、クロードはまた、ビクッと肩を震わせた。
ヤバい。
嗜虐心を擽られる。
「どうしたんですか?震えてばかりで寒いですか?」
分かっていて、わざと私はクロードに尋ねる。
「あ、イヤ、温かい。ただフィリシアの触れ方が」
「不快でした?」
クロードは振り返る事なく首を振った。
「傷がたくさん」
私は背中の傷を人差し指でなぞった。
すると、ゾワっとクロードの肌が粟立つ。
「フィリシア!擽ったい!」
流石に我慢出来なくなったのか、真っ赤な顔のクロードが振り返って私の手首を握った。
「ごめんなさい。クロード様があまりに可愛らしい反応を示すので」
私が素直に謝ると、クロードは私の後ろ首に手を回して、そのまま私のおでこと自分のおでこをくっつけた。
クロードの右目のエメラルドグリーンの瞳が、私を射るように見ている。
「大人を揶揄うのは辞めなさい」
「……ごめんなさい」
私の方が本当は年上なんだけどね。
「フィリシアは私の事を……」
言いかけて、クロードは次の言葉を飲み込んだ。
きっと、好きなのかと聞きたかったんだろう。
でも聞いたところで、クロードはフィリシアを妻には出来ない。
あくまでもフィリシアはエリーズの身代わりなのだから。
だから最後までは言わなかったのだろう。
それに私も、クロードを好きとか愛しているとかはまだ分からない。
もちろんクロードを嫌いではない。
夜伽相手になれと言われれば、クロードに抱かれる事も何とも思わない。
でも私には、忘れられない男がいる。
最初で最後に愛した男。
クロードが首に回した手を離した。
「私は、まだ出会ったばかりのフィリシアが可愛くて仕方ない。お前のする事に、喜んだり、ドキドキして怒ったり、情緒が不安定になる」
こう言うところは本当に素直なんだよね。
「クロード様。私はエリーズ様の身代わりですが、クロード様を他の侍女達同様お慕いしてます」
「でも、他の侍女とはキスなどした事ないし、されて嬉しいともきっと思わない。なのに、お前には」
クロードが私の頬に触れながら、親指で唇をなぞった。
私はされるままに、唇を大人しくなぞられたまま。
「お前を穢さないと約束したのに」
再びクロードの顔が私に近付く。
「ええ。クロード様は、私を穢してなどいません」
クロードは優しく微笑むと、私と唇を重ねた。
私とクロードは激しいキスを交わした。
クロードとのキスは気持ち良い。
熱い熱を身体中に注ぎ込まれる。
「フィリシア」
唇が外れると、吐息のようにクロードが名を呼ぶ。
私はそれを遮るように、クロードの唇を再び塞いだ。
クロードも、私の激しいキスに応えるように、舌をお互いに絡ませ合った。
「フィリシア、もう……」
クロードが興奮しているのがよく分かる。
欲望に忠実なウォーレンとしてなら、とっくの昔に裸になって、クロードに跨っていただろう。
ああ、クロードを感じたい。
私の中の渦巻く欲求を満たしたい。
でも、私はフィリシアだ。
フィリシアは、そんな事が出来る娘ではない。
「フィリシアとのキスは官能的すぎる」
クロードが何とか冷静になろうと頑張っている姿を見て、私がバスルームを出て、早くクロードを1人にしてあげた方が良いと判断した。
「でもキスだけなら、私は穢されませんよね?」
私も興奮を抑えるために、わざと牽制する様な意地悪を言ってやった。
「……このぉ小悪魔め」
悔しがるクロードをバスルームに置いて、私はひと足先にクロードの寝室に戻った。
この地は温泉が湧き出ているので、風呂に入るのも楽で助かる。
この世界の人間も、毎日風呂に入る習慣がある様だ。
家の主人や家族に対して、召使が入浴の手伝いをするとフィリシアの記憶に残っていた。
フィリシアは、エリーズとミュルゲール男爵夫人の入浴の世話をする侍女達の1人にいたが、どちらにしても、いつもちょっとした事に難癖を付けられて、お湯を掛けられたりしていた様だな。
「クロード様、失礼致します」
ドアをノックしたが返事がないで、私はクロードの部屋のドアを開けてみた。
寝室にはまだクロードの姿がなく、私はクロード専用の浴室へと向かってみた。
「クロード様。お背中をお流ししましょうか?」
クロードがまだ風呂に入っていたので声を掛けてみた。
「あ、ああ」
流石に風呂の中では仮面を外していたか。
クロードは召使達に顔を見せたくないので、風呂は必ず1人で入っているとシュナイダーから聞いたので、背中だけでも流してやるかと思った。
バスタブに浸かっているクロードは、私を見てまた右頬と耳を真っ赤にした。
「フィリシアはもう風呂には入ったのか?」
「はい。他の侍女の方と一緒に」
「そうか」
私はクロードの逞しい背中に触れると、クロードはビクッと肩を震わせた。
柔らかい布で、私はクロードの背中を優しく撫でた。
「ひ、人に背中を流してもらうのは、久しぶりだ」
クロードは照れ臭いのか、少しだけ焦っている様に見える。
ふふふ。
焦るクロードも可愛いじゃないか。
「そうだったんですね。これからは、私がお世話を致しますね」
私がわざと耳元で囁いてやると、クロードはまた、ビクッと肩を震わせた。
ヤバい。
嗜虐心を擽られる。
「どうしたんですか?震えてばかりで寒いですか?」
分かっていて、わざと私はクロードに尋ねる。
「あ、イヤ、温かい。ただフィリシアの触れ方が」
「不快でした?」
クロードは振り返る事なく首を振った。
「傷がたくさん」
私は背中の傷を人差し指でなぞった。
すると、ゾワっとクロードの肌が粟立つ。
「フィリシア!擽ったい!」
流石に我慢出来なくなったのか、真っ赤な顔のクロードが振り返って私の手首を握った。
「ごめんなさい。クロード様があまりに可愛らしい反応を示すので」
私が素直に謝ると、クロードは私の後ろ首に手を回して、そのまま私のおでこと自分のおでこをくっつけた。
クロードの右目のエメラルドグリーンの瞳が、私を射るように見ている。
「大人を揶揄うのは辞めなさい」
「……ごめんなさい」
私の方が本当は年上なんだけどね。
「フィリシアは私の事を……」
言いかけて、クロードは次の言葉を飲み込んだ。
きっと、好きなのかと聞きたかったんだろう。
でも聞いたところで、クロードはフィリシアを妻には出来ない。
あくまでもフィリシアはエリーズの身代わりなのだから。
だから最後までは言わなかったのだろう。
それに私も、クロードを好きとか愛しているとかはまだ分からない。
もちろんクロードを嫌いではない。
夜伽相手になれと言われれば、クロードに抱かれる事も何とも思わない。
でも私には、忘れられない男がいる。
最初で最後に愛した男。
クロードが首に回した手を離した。
「私は、まだ出会ったばかりのフィリシアが可愛くて仕方ない。お前のする事に、喜んだり、ドキドキして怒ったり、情緒が不安定になる」
こう言うところは本当に素直なんだよね。
「クロード様。私はエリーズ様の身代わりですが、クロード様を他の侍女達同様お慕いしてます」
「でも、他の侍女とはキスなどした事ないし、されて嬉しいともきっと思わない。なのに、お前には」
クロードが私の頬に触れながら、親指で唇をなぞった。
私はされるままに、唇を大人しくなぞられたまま。
「お前を穢さないと約束したのに」
再びクロードの顔が私に近付く。
「ええ。クロード様は、私を穢してなどいません」
クロードは優しく微笑むと、私と唇を重ねた。
私とクロードは激しいキスを交わした。
クロードとのキスは気持ち良い。
熱い熱を身体中に注ぎ込まれる。
「フィリシア」
唇が外れると、吐息のようにクロードが名を呼ぶ。
私はそれを遮るように、クロードの唇を再び塞いだ。
クロードも、私の激しいキスに応えるように、舌をお互いに絡ませ合った。
「フィリシア、もう……」
クロードが興奮しているのがよく分かる。
欲望に忠実なウォーレンとしてなら、とっくの昔に裸になって、クロードに跨っていただろう。
ああ、クロードを感じたい。
私の中の渦巻く欲求を満たしたい。
でも、私はフィリシアだ。
フィリシアは、そんな事が出来る娘ではない。
「フィリシアとのキスは官能的すぎる」
クロードが何とか冷静になろうと頑張っている姿を見て、私がバスルームを出て、早くクロードを1人にしてあげた方が良いと判断した。
「でもキスだけなら、私は穢されませんよね?」
私も興奮を抑えるために、わざと牽制する様な意地悪を言ってやった。
「……このぉ小悪魔め」
悔しがるクロードをバスルームに置いて、私はひと足先にクロードの寝室に戻った。
1
あなたにおすすめの小説
心を病んだ魔術師さまに執着されてしまった
あーもんど
恋愛
“稀代の天才”と持て囃される魔術師さまの窮地を救ったことで、気に入られてしまった主人公グレイス。
本人は大して気にしていないものの、魔術師さまの言動は常軌を逸していて……?
例えば、子供のようにベッタリ後を付いてきたり……
異性との距離感やボディタッチについて、制限してきたり……
名前で呼んでほしい、と懇願してきたり……
とにかく、グレイスを独り占めしたくて堪らない様子。
さすがのグレイスも、仕事や生活に支障をきたすような要求は断ろうとするが……
「僕のこと、嫌い……?」
「そいつらの方がいいの……?」
「僕は君が居ないと、もう生きていけないのに……」
と、泣き縋られて結局承諾してしまう。
まだ魔術師さまを窮地に追いやったあの事件から日も浅く、かなり情緒不安定だったため。
「────私が魔術師さまをお支えしなければ」
と、グレイスはかなり気負っていた。
────これはメンタルよわよわなエリート魔術師さまを、主人公がひたすらヨシヨシするお話である。
*小説家になろう様にて、先行公開中*
攻略なんてしませんから!
梛桜
恋愛
乙女ゲームの二人のヒロインのうちの一人として異世界の侯爵令嬢として転生したけれど、攻略難度設定が難しい方のヒロインだった!しかも、攻略相手には特に興味もない主人公。目的はゲームの中でのモフモフです!
【閑話】は此方→http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/808099598/
閑話は最初本編の一番下に置き、その後閑話集へと移動しますので、ご注意ください。
此方はベリーズカフェ様でも掲載しております。
*攻略なんてしませんから!別ルート始めました。
【別ルート】は『攻略より楽しみたい!』の題名に変更いたしました
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました
三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。
優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。
優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。
そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。
絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。
そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
竜帝は番に愛を乞う
浅海 景
恋愛
祖母譲りの容姿で両親から疎まれている男爵令嬢のルー。自分とは対照的に溺愛される妹のメリナは周囲からも可愛がられ、狼族の番として見初められたことからますます我儘に振舞うようになった。そんなメリナの我儘を受け止めつつ使用人のように働き、学校では妹を虐げる意地悪な姉として周囲から虐げられる。無力感と諦めを抱きながら淡々と日々を過ごしていたルーは、ある晩突然現れた男性から番であることを告げられる。しかも彼は獣族のみならず世界の王と呼ばれる竜帝アレクシスだった。誰かに愛されるはずがないと信じ込む男爵令嬢と番と出会い愛を知った竜帝の物語。
【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる