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傷つけたくない
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「お辞めください!」
エリーズなんかの為に、クロードの心が傷つくことはない。
どうせ目に見える部分だけを美しいと言って、爛れた部分を見たら、悲鳴をあげるに決まっている。
「フィリシア」
何故止めるんだと、クロードは私に目で訴えかける。
「私はクロード様の侍女です。私は絶対にクロード様から離れません。だから、傷は私だけが知っていれば良いのです。易々と私以外にお見せにならないでください!」
私はクロードの特別だとエリーズに知らしめると、エリーズはギリギリと歯を食い縛り私を睨み続けた。
「私はクロード様の正式な妻になるのよ!跡継ぎだって私が産むことになるのよ!お前の役目は終わったの!ミュルゲール家にさっさとお戻りなさい!」
確かに、エリーズがクロードの妻になるのは決まっている。
だがエリーズの事だ、この先夫婦になると言っても、夜の生活の時まで、仮面を着けさせようと考えているに違いないから、子供を産むと強気にもなっているんだろう。
エリーズがクロードの子を産むと言うなら、私がクロードの世話をする必要も確かにない。
それでも、このままエリーズの良いようにしてなるものか。
「クロード様。私は心を入れ替えたと申し上げているのですよ。クロード様の為に良い妻になります。きっとこの家の為に男子も産んでみせます。それでもフィリシアを選ぶと言うんですか?」
エリーズは食い下がる。
この結婚は最初から、跡継ぎの欲しいフォンダート家と、醜く恐ろしいと評判の、クロードの妻になるとミュルゲール家が申し出た事により成立した婚姻だ。
エリーズが心を入れ替えると本気で言って、お互いの利害が一致するのなら、それを覆すことはクロードだって出来ないかもしれない。
「しかし、私はあなたの事が信用できない。フィリシアを虐げていたとも聞く」
エリーズはニヤリと笑う。
「証拠はあるんですか?私がいつ、フィリシアを虐げました?」
そう来たか。
確かにクロードは、実際に私が虐げられた所を見てはいない。
全て私が話した事だけを信じてくれただけだ。
ジョージの前でエリーズが、私にナイフを突き付けられたと言った事だって、私はジョージの信用がない。
何を言っても、ジョージはエリーズの言ってる事を信じたから、私にエリーズに謝罪しろと言ったのだもの。
全て、私の方が不利だ。
「それでも私は、まだ16歳のフィリシアに、自分の代わりに子を産めと、自分の夫になる男に差し出すなんて到底理解に苦しむ。私に歩み寄らずに、一方的に私を拒否したのはエリーズだろう?」
実際にそう言う約束を、エリーズはクロードと交わしたのだから、クロードの言う事は正論だ。
「それはクロード様だって承知してくれた事じゃないですか!私だけが悪いんですか?過ちが分かったから心を入れ替えると言っているのに、どうして信じてくれないのですか!」
これでは堂々巡りだ。
いくらクロードが拒否しても、周りは心を入れ替えたと素直に詫びるエリーズに同情するだろう。
クロードとの子を作るとまで言い切っているのだから、クロードの両親もエリーズの味方になるだろう。
それに、エリーズはもう、クロードとの子を作る気満々だ。
「フィリシア、すまない。やはりエリーズに私の傷を見てもらおう。それでもエリーズが私を選ぶなら、私はエリーズを信じるよ」
もうここまで来たら仕方ない。
エリーズがどんな暴言を吐くか分からないが、エリーズに諦めてもらうには仕方ないことかもしれない。
「酷いです!そんなに私を怖がらせたいんですね!」
エリーズが突然泣き喚き出した。
「正直に言います。クロード様の傷は怖くて見たくないです。でも、傷のない方のお顔を見て、クロード様と夫婦になりたいと思ったのは本当です。ズルいと思うかもしれませんが、父にもクロード様のご両親にも、正直にこの事をお話しします」
うわぁ、きったねー。
そうやって自分の非を認めた様にした上で、周りを固めようって魂胆だ。
見たくないものは見ないが、美味しいところだけ持っていこうと言う下心が見え見えだ。
エリーズの言い分に、流石にクロードは唖然としてしまった。
でも跡継ぎを望む家族のためには、エリーズの言い分は十分に通る理由でもある。
「エリーズの言い分はよく分かった。私も無理にエリーズに傷を見せたいとも思っていないし」
クロードは何を考えているんだろう。
「ただ正直、じゃあエリーズとこのまま結婚して、跡継ぎを作ろうと言う気持ちに今はなれない」
「どう言う事ですか?」
クロードの言い方にエリーズはイラつく。
「私が今はまだエリーズを信用できない。私の中のわだかまりが無くなるまで、待ってはくれないか?」
クロードなりの妥協案か。
「……分かりましたわ。クロード様が私を信用してくれるまで待ちますわ。でもフィリシアはミュルゲール家に帰してください」
目障りだと言わんばかりに、エリーズは私を見ている。
「それなら、呼び寄せる予定の侍女も中止にしてくれ」
負けじとクロードも応戦する。
「え?それじゃ、私の身の回りの世話は誰が?」
「フィリシアはもう私の侍女だ。それを取り上げるというなら、エリーズもこの屋敷の使用人に世話を頼んでくれ」
エリーズはギュッと両手を握る。
味方が1人もいない状態で、常にクロードの使用人に見張られる生活になるのかと思うと、それは避けたいと思っているに違いない。
私を簡単に排除できなくて残念でしたー。
「……分かりました。フィリシアは今まで通りで構いません」
エリーズは再び私に顔を向けた。
「今までクロード様の夜の相手、ご苦労様だったわね。今夜から、クロード様の部屋には立ち入らないでね」
もう早速、クロードは私の男発言か。
仕方ない。
確かに私はクロードの侍女ではあるが、もう一緒に寝る仲ではないと言うことなんだから。
クロードの為にも、今は大人しくエリーズの言う事を聞こう。
「畏まりました、エリーズ様」
私が答えると、クロードは残念そうな顔で私を見ていた。
エリーズなんかの為に、クロードの心が傷つくことはない。
どうせ目に見える部分だけを美しいと言って、爛れた部分を見たら、悲鳴をあげるに決まっている。
「フィリシア」
何故止めるんだと、クロードは私に目で訴えかける。
「私はクロード様の侍女です。私は絶対にクロード様から離れません。だから、傷は私だけが知っていれば良いのです。易々と私以外にお見せにならないでください!」
私はクロードの特別だとエリーズに知らしめると、エリーズはギリギリと歯を食い縛り私を睨み続けた。
「私はクロード様の正式な妻になるのよ!跡継ぎだって私が産むことになるのよ!お前の役目は終わったの!ミュルゲール家にさっさとお戻りなさい!」
確かに、エリーズがクロードの妻になるのは決まっている。
だがエリーズの事だ、この先夫婦になると言っても、夜の生活の時まで、仮面を着けさせようと考えているに違いないから、子供を産むと強気にもなっているんだろう。
エリーズがクロードの子を産むと言うなら、私がクロードの世話をする必要も確かにない。
それでも、このままエリーズの良いようにしてなるものか。
「クロード様。私は心を入れ替えたと申し上げているのですよ。クロード様の為に良い妻になります。きっとこの家の為に男子も産んでみせます。それでもフィリシアを選ぶと言うんですか?」
エリーズは食い下がる。
この結婚は最初から、跡継ぎの欲しいフォンダート家と、醜く恐ろしいと評判の、クロードの妻になるとミュルゲール家が申し出た事により成立した婚姻だ。
エリーズが心を入れ替えると本気で言って、お互いの利害が一致するのなら、それを覆すことはクロードだって出来ないかもしれない。
「しかし、私はあなたの事が信用できない。フィリシアを虐げていたとも聞く」
エリーズはニヤリと笑う。
「証拠はあるんですか?私がいつ、フィリシアを虐げました?」
そう来たか。
確かにクロードは、実際に私が虐げられた所を見てはいない。
全て私が話した事だけを信じてくれただけだ。
ジョージの前でエリーズが、私にナイフを突き付けられたと言った事だって、私はジョージの信用がない。
何を言っても、ジョージはエリーズの言ってる事を信じたから、私にエリーズに謝罪しろと言ったのだもの。
全て、私の方が不利だ。
「それでも私は、まだ16歳のフィリシアに、自分の代わりに子を産めと、自分の夫になる男に差し出すなんて到底理解に苦しむ。私に歩み寄らずに、一方的に私を拒否したのはエリーズだろう?」
実際にそう言う約束を、エリーズはクロードと交わしたのだから、クロードの言う事は正論だ。
「それはクロード様だって承知してくれた事じゃないですか!私だけが悪いんですか?過ちが分かったから心を入れ替えると言っているのに、どうして信じてくれないのですか!」
これでは堂々巡りだ。
いくらクロードが拒否しても、周りは心を入れ替えたと素直に詫びるエリーズに同情するだろう。
クロードとの子を作るとまで言い切っているのだから、クロードの両親もエリーズの味方になるだろう。
それに、エリーズはもう、クロードとの子を作る気満々だ。
「フィリシア、すまない。やはりエリーズに私の傷を見てもらおう。それでもエリーズが私を選ぶなら、私はエリーズを信じるよ」
もうここまで来たら仕方ない。
エリーズがどんな暴言を吐くか分からないが、エリーズに諦めてもらうには仕方ないことかもしれない。
「酷いです!そんなに私を怖がらせたいんですね!」
エリーズが突然泣き喚き出した。
「正直に言います。クロード様の傷は怖くて見たくないです。でも、傷のない方のお顔を見て、クロード様と夫婦になりたいと思ったのは本当です。ズルいと思うかもしれませんが、父にもクロード様のご両親にも、正直にこの事をお話しします」
うわぁ、きったねー。
そうやって自分の非を認めた様にした上で、周りを固めようって魂胆だ。
見たくないものは見ないが、美味しいところだけ持っていこうと言う下心が見え見えだ。
エリーズの言い分に、流石にクロードは唖然としてしまった。
でも跡継ぎを望む家族のためには、エリーズの言い分は十分に通る理由でもある。
「エリーズの言い分はよく分かった。私も無理にエリーズに傷を見せたいとも思っていないし」
クロードは何を考えているんだろう。
「ただ正直、じゃあエリーズとこのまま結婚して、跡継ぎを作ろうと言う気持ちに今はなれない」
「どう言う事ですか?」
クロードの言い方にエリーズはイラつく。
「私が今はまだエリーズを信用できない。私の中のわだかまりが無くなるまで、待ってはくれないか?」
クロードなりの妥協案か。
「……分かりましたわ。クロード様が私を信用してくれるまで待ちますわ。でもフィリシアはミュルゲール家に帰してください」
目障りだと言わんばかりに、エリーズは私を見ている。
「それなら、呼び寄せる予定の侍女も中止にしてくれ」
負けじとクロードも応戦する。
「え?それじゃ、私の身の回りの世話は誰が?」
「フィリシアはもう私の侍女だ。それを取り上げるというなら、エリーズもこの屋敷の使用人に世話を頼んでくれ」
エリーズはギュッと両手を握る。
味方が1人もいない状態で、常にクロードの使用人に見張られる生活になるのかと思うと、それは避けたいと思っているに違いない。
私を簡単に排除できなくて残念でしたー。
「……分かりました。フィリシアは今まで通りで構いません」
エリーズは再び私に顔を向けた。
「今までクロード様の夜の相手、ご苦労様だったわね。今夜から、クロード様の部屋には立ち入らないでね」
もう早速、クロードは私の男発言か。
仕方ない。
確かに私はクロードの侍女ではあるが、もう一緒に寝る仲ではないと言うことなんだから。
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「畏まりました、エリーズ様」
私が答えると、クロードは残念そうな顔で私を見ていた。
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