元殺し屋の私が異世界憑依したら溺愛ルートが待っていた~醜い辺境伯と身代わり夜伽妻~

五嶋樒榴

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絡みたくない

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 次の日の朝、ハンドクリームを使った侍女達から、肌が少し改善したと私は感謝され、今まで話をした事のない侍女とも仲良くなれた。

 そんな日々を過ごしていたら、気がつくとクロードともう随分顔を合わせてないと気が付いた。

「本が好きなのか?」

 最近の私の日課は、この屋敷で1番本がある書斎で休憩時間を過ごす事だった。

「お久しぶりですね、ジョージ様」

 何でこんな所にジョージが?
 ジョージはクロードと仕事をしていて、この屋敷に来ると言ったら、執務室しか用がないんじゃないのか?

「なんか機嫌が悪いのか?」

 は?
 別に機嫌が悪いわけじゃないけどな。
 ただお前に愛想を振り撒く理由が無いだけだ。

「別に悪くは無いですけど」

「相変わらず、気が強くて可愛げの無い女だな」

 はあ?
 喧嘩売ってんのか?

 お前は侍女の話など信用しない輩だろ。
 エリーズとキャッキャしとけよ。

「無視をするなよ」

「何がですか?」

「僕が聞いたことに答えてくれないから」

 何か聞かれたっけ?

「私に何か聞かれました?」

 ジョージはムッとしてプイッと横を向く。

「本が好きなのかと聞いた」

 そうだったんだ。
 全く聞いてなかった。

「ええ、好きですよ」

 実際はフィリシアがな。
 私はただ、情報を得るためだけに読んでるだけだ。

「勉強が好きなのか?」

 何でしつこく聞いてくる?
 鬱陶しいなぁ。

 私は目を通していた本を本棚に戻した。

「別に特別好きという訳ではないです。失礼します」

 逃げるが勝ち。

 私はジョージに背を向けた。

「やっぱり怒ってる」

 ジョージが私の肩を掴もうとしたので、私はサッと振り返ってそれを外した。
 ジョージは手のやり場がなくなって、びっくりして私を見る。

「ええ、怒ってますよ。私の話をまともに聞かずに、エリーズ様に謝罪をしろと言ったことにね。理不尽な事を言う人と会話をする気はありませんから」

 ジョージが何者だろうと知ったことはない。
 ジョージがクロードに私の事を悪く言ったとしても、もう、ここからいつ追い出されたって構わない。

「……あの時はすまなかった」

 は?
 何が?

 何を理由に、すまなかった、なの?

「別に、謝って欲しいわけじゃないです」

「本当にごめん!君を誤解していた!」

 何の誤解?
 誤解されるほどの付き合いもねーだろ。

 あんたは私の身分で、エリーズと優劣を付けただけだろ。

「誤解も何も、私が侍女だから、私の言う事を信用できなかっただけですよね。もう結構ですから、話しかけないでください」

「違うんだ!君が、その」

 ジョージは言いにくそうに口を閉じた。

「私が何ですか?」

「……エリーズの代わりに、その、クロードの相手をすると聞いて、僕にはそれが理解できなくて、あの日、エリーズと君を見にこの屋敷に来たんだ」

 ふーん。
 でも、ただ興味本位で来ただけでしょ。

「ちょうど2人が揉めている様子で、その時の君の冷静な反応を見て、もしかしたら、君はエリーズを蹴落として、クロードを誑かそうとしてるのかと思ったんだ」

 何を言ってるんだ、コイツは。

「はあ?何ですか、それ。勝手な思い込みで、エリーズ様の肩を一方的に持っただけですよね」

 あー!
 もう聞いてらんねーわ。

 はいはい。
 あなたが味方したエリーズは、手のひらを返してクロードのそばに居るわよ。
 余計な心配事が減って良かったわね!

 って、何で私はこんなにイライラしている?

「仕事があるので失礼します」

 もう話しかけるなと私はジョージを睨んだ。

「クロードに新しい仮面を作ってくれてありがとう!君がどれだけ、クロードに尽くしてくれてるかよく分かったから!本当に、君を誤解してごめん!」

 コイツ、クロードとは乳兄弟だったな。
 それでクロードに親身になってるって事か。

 それにしても、もう私に絡んでくるな。

「クロード様は、私にとって尊敬する旦那様ですから、私に出来ることはサポートします。では、失礼します」

 もう絶対に話しかけるなと圧をかけて、私はスタスタと書斎を後にした。

 あー!
 気分悪いッ!

 あのガキ、マジにうぜぇんだよ。

 何が誤解してただ。
 人を勝手に色眼鏡で見やがって。
 あいつらみたいな貴族は、侍女なんて人間扱いしてないってことかッ。

 私はあまりに気分が悪くて、大股でドスドス歩いていたが、ハッとして立ち止まった。

 ……。
 違う。
 クロードは違った。

 クロードはどの使用人にも優しい。
 そして、どの使用人にも好かれている。

 貴族とかじゃなく、人間性の違いだな。

 貴族ってだけでジョージと一緒に括ったら、クロードに失礼だったな。

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