元殺し屋の私が異世界憑依したら溺愛ルートが待っていた~醜い辺境伯と身代わり夜伽妻~

五嶋樒榴

文字の大きさ
46 / 78

仕返し

しおりを挟む
 テーブルの上にはポテトグラタンの他、色々なご馳走が並べられた。

「まあ、旦那様!どうしてこちらに?」

 トゥーリスと共に、ダイニングルームにやって来た私は、わざとらしく驚いてやった。
 2人は顔を見合わせてニヤニヤしてやがる。

 これで2人とも満足か?

「今夜から、夕食はこちらで取ることに決めたんだよ。フィリシアに会いたいからね」

 なるほどねー。
 私をこの館に移した目的はそれだったのか。

「僕がそうなる様にフィリシアをこちらに移動したんだぞ。僕に感謝してくれ」

 はいはい。
 そうやって2人して、私をダシに楽しんでくれ。

「フィリシア。私の事も、前の様にクロードと呼んでくれないか?」

「でも、私は旦那様の侍女ですので」

「そうだよ。侍女が主人を名前で呼ぶのはいかがなものかな?」

 自分はファーストネームで呼んで貰ってるジョージはニヤニヤする。

「他の者たちも、ここでは私をクロードと呼ぶ様に伝えて来なさい」

 クロードがトゥーリスにそう命じると、トゥーリスは驚いた顔をした後にクスリと笑う。

「懐かしいですね。まだ家督をお継ぎになる前を思い出しますよ。畏まりました。皆にも伝えておきます。ではフィリシア、あとは頼みましたよ」

 クロードの気持ちを汲んで私をこの場に残して、トゥーリスは軽い足取りでダイニングルームを出てキッチンへ向かった。

 私は、クロードの皿とジョージの皿に給仕を始めた。

「久しぶりだな、このポテトグラタン」

 クロードの嬉しそうな顔を見て、満足してくれてるなら良かった。

「またハンバーガーも食べたい」

「ハンバーガーとは?」

 ハンバーガーを知らないジョージがキョトンとする。

「とても美味しい食べ物だぞ。ジョージも気に入るだろうなぁ」

 ジョージはこのポテトグラタンも初めて見るのに、私はフィリシアの料理を堪能してるぞ。と、言わんばかりのクロードの謎のマウントに、ジョージは悔しさを顔に滲ませてる。

 さて。
 そろそろ私に秘密を作った2人に、お灸を据える時間かな。

「クロード様!そう言えばジョージ様が、私が乗馬服を作る事を了承してくださったんですよ!」

「え?」

 何の話だと、クロードはジョージを見る。

「クロードがフィリシアに乗馬をしても良いと言ったんだろう?」

「あ、ああ」

 クロードは、私が乗馬を覚えて、ここを出ていくと思って焦ってるわね。

「ジョージ様の乗馬服を作るついでに、私の分を作るだけですけどね」

 メインはジョージの乗馬服だと強調した事で、クロードの目が見開いた。

 ふふふ。
 ぜーったい悔しがってるわね。

「ジョージの乗馬服?何だそれは……」

 クロードが険しい顔でジョージを見る。

「フィリシアがクロードの仮面を作ったので、僕にも何か作って欲しいと言っただけだ」

 うんうん。
 アンタは乗馬服が欲しいとは言ってないもんね。

「それが何で乗馬服なんだよ!私の仮面より手がかかってるじゃないかッ!」

 自分よりも上等だとクロードもムッとしてるわ。

「フィリシアが言ってくれたんだよ!自分の分と一緒に乗馬服が作りたいって!」

 ふふふ。
 負けじとジョージも応戦してんじゃん。

「手が込みすぎだろう!お前の分は仕立て屋に頼めば良い事だ!」

 確かにそれは一理あるわね。
 クロード、ナイスツッコミ!

「だったらクロードも、新しい乗馬服をフィリシアに頼めば良いじゃせないかッ!」

 おおっと。
 こっちに飛び火して来たわ。
 クロードの分ともなると、私の分がもっと遅くなってしまう。

 何か切り替えないと。

「これ以上、フィリシアの仕事を増やしてどうするッ!」

 またまたクロード、グッドタイミング!

 2人は息を荒くして言い合いをする。
 大の大人が、ムキになっちゃってー。

 ふっふっふ。
 そろそろこの辺でやめてあげましょうかねー。

「はいはいはい。お静かにしてください」

 パンパンと私は手のひらを叩いて鳴らした。

「そうですわよね。やはり、クロード様とジョージ様を同じ様に立てるとなると、私がジョージ様の乗馬服を作るのは、クロード様にとって面白くありませんよね」

 クロードとジョージは私を見る。

「なので、乗馬服は私の分だけにしますね。ジョージ様には、シャツをプレゼントします」

 私の分は絶対作るわよ。

「えー!そんなぁ」

 ジョージがガッカリして、クロードはふふふと勝ち誇って笑ってる。
 でもそれも今だけよ。
 さっきの仕立て屋ネタも使わせてもらおうかしら。

「クロード様は私の仕事を増やすのがお嫌な様なので、替えの仮面の量産も控えさせていただきます。なので今後は、仕立て屋で作って頂きますね」

「ええ?そ、それは!」

 私の手作りがいいクロードもガッカリする。
 今度はジョージがニヤリと笑った。

「さあ、料理が冷めないうちに、仲良く召し上がってくださいね」

 してやったりと、私はとびっきりの笑顔になった。
 思ったより単純に引っ掛かってくれたわ。

 私を驚かそうなんて100万年早いわッ!

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

攻略なんてしませんから!

梛桜
恋愛
乙女ゲームの二人のヒロインのうちの一人として異世界の侯爵令嬢として転生したけれど、攻略難度設定が難しい方のヒロインだった!しかも、攻略相手には特に興味もない主人公。目的はゲームの中でのモフモフです! 【閑話】は此方→http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/808099598/ 閑話は最初本編の一番下に置き、その後閑話集へと移動しますので、ご注意ください。 此方はベリーズカフェ様でも掲載しております。 *攻略なんてしませんから!別ルート始めました。 【別ルート】は『攻略より楽しみたい!』の題名に変更いたしました

心を病んだ魔術師さまに執着されてしまった

あーもんど
恋愛
“稀代の天才”と持て囃される魔術師さまの窮地を救ったことで、気に入られてしまった主人公グレイス。 本人は大して気にしていないものの、魔術師さまの言動は常軌を逸していて……? 例えば、子供のようにベッタリ後を付いてきたり…… 異性との距離感やボディタッチについて、制限してきたり…… 名前で呼んでほしい、と懇願してきたり…… とにかく、グレイスを独り占めしたくて堪らない様子。 さすがのグレイスも、仕事や生活に支障をきたすような要求は断ろうとするが…… 「僕のこと、嫌い……?」 「そいつらの方がいいの……?」 「僕は君が居ないと、もう生きていけないのに……」 と、泣き縋られて結局承諾してしまう。 まだ魔術師さまを窮地に追いやったあの事件から日も浅く、かなり情緒不安定だったため。 「────私が魔術師さまをお支えしなければ」 と、グレイスはかなり気負っていた。 ────これはメンタルよわよわなエリート魔術師さまを、主人公がひたすらヨシヨシするお話である。 *小説家になろう様にて、先行公開中*

竜帝は番に愛を乞う

浅海 景
恋愛
祖母譲りの容姿で両親から疎まれている男爵令嬢のルー。自分とは対照的に溺愛される妹のメリナは周囲からも可愛がられ、狼族の番として見初められたことからますます我儘に振舞うようになった。そんなメリナの我儘を受け止めつつ使用人のように働き、学校では妹を虐げる意地悪な姉として周囲から虐げられる。無力感と諦めを抱きながら淡々と日々を過ごしていたルーは、ある晩突然現れた男性から番であることを告げられる。しかも彼は獣族のみならず世界の王と呼ばれる竜帝アレクシスだった。誰かに愛されるはずがないと信じ込む男爵令嬢と番と出会い愛を知った竜帝の物語。

婚約破棄のために偽装恋人になったら、ライバル店の敏腕パティシエに溺愛されすぎています

草加奈呼
恋愛
大学生の佐藤天音は、 “スイーツの神の舌”を持つことで知られる、洋菓子店の一人娘。 毎年、市内のスイーツコンテストで審査を務める天音は、 そこで出会った一人のパティシエのケーキに心を奪われた。 ライバル店〈シャテーニュ〉の若きエース イケメン敏腕パティシエ・栗本愁。 父に反対されながらも、どうしてももう一度その味を 確かめたくて店を訪れた天音に、愁は思いがけない言葉を告げる。 「僕と、付き合ってくれないか?」 その告白は、政略的な婚約を断つための偽装恋人の申し出だった。 そして、天音の神の舌を見込んで、レシピ開発の協力を求めてくる。 「報酬はシャテーニュのケーキセットでどうかな?」 甘すぎる条件に負け、 偽装恋人関係を引き受けたはずなのに── いつの間にか、愁の視線も言葉も、本気の溺愛に変わっていく。 ライバル店×コンテストでの運命の出会い×契約恋人。 敏腕パティシエの独占愛が止まらない、 甘くて危険なシークレットラブストーリー。 🍨🍰🍮🎂🍮🍰🍨 ※恋愛大賞に参加中です。  よろしければお気に入り、いいね、  投票よろしくお願いいたします。 ※16話以降、改稿に納得がいかず、少々お時間をいただきます🙇‍♀️

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~

香木陽灯
恋愛
 「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」  実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。  「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」  「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」  二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。 ※ふんわり設定です。 ※他サイトにも掲載中です。

処理中です...