元殺し屋の私が異世界憑依したら溺愛ルートが待っていた~醜い辺境伯と身代わり夜伽妻~

五嶋樒榴

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恋バナ

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 何とかクロードより先に目が覚めた私は、昨日の事を思い出さない様にキッチンへと急いだ。

「フィリシア!」

 侍女達の休憩室の前で、マリエッタ達が笑顔で私を待ち構えていて、私はあっという間に侍女達に休憩室に連れ込まれてしまった。

「昨日の夜はどうだったの?旦那様に告白された?」

「フィリシアがこの屋敷に戻って来てから、いつかいつかと思っていたのよッ!」

「なんて答えたの?もちろん受け入れたのよね!」

 な、な、な、何なんだーッ!
 何で皆んな、こんなに好意的に私とクロードを受け入れるの?

 私はただの侍女なのよ!
 しかも、この屋敷を追い出されたエリーズに付いてきた、ミュルゲール家の侍女なのよ!

 しかも身分違いだと、何で腹が立たないの?

「あ、あのッ!何で、皆んな、そんなに喜んでるの?」

 本当に謎だわ!

「だって、フィリシアが旦那様と初めて結ばれた夜から、絶対こうなると思っていたからよ!」

 初めて結ばれた夜?

 頼って待って!
 違う!
 皆んな勘違いしてるッ!

「待って!私とクロード様は、一度もその、えーと、最後まで……」

 恥ずかしくて、結ばれてないと言うのは小声になったじゃない!

「え?」
「ええ?」
「えええ?」

 皆んなが盛大に驚いている。

 やっぱり、初めての夜に、もう私はクロードと結ばれてると勘違いされていたのね。



 私は丁寧に、クロードとは本当の意味で結ばれていないと説明した。

「そうだったのね!やっぱり旦那様は紳士だわ!」

「そうよ!旦那様はいつもお優しいもの!それほどまでにフィリシアが大切なのよ!」

「あー!フィリシア!でも、フィリシアも旦那様を好きなのよね?」

 やっぱり、クロードが私を恋愛的な意味で好きな事を、皆んなは理解しているのね。
 しかも、普通に祝福してくれている。

「その、もちろん、私も、旦那様が好き、です」

 流石にみんなの前で告白するのは照れるわ。
 こんなの、初めてのことだしッ!

 ううッ!
 中身は27なのに、なんか、16歳の気分よ!

 私がクロードを好きだと言うと、皆んなホッとして嬉しそうに笑っている。

「あ、あの、皆さんは、変だとか、相応しくないとか、身分違いだと、私に対して嫌な気持ちになったりしないんですか?」

 好意的すぎて怖いんですけど。

「私達は、旦那様が幸せなら良いのよ」

「そうよね。この7年、旦那様はずっと孤独だったんだもの」

「その旦那様を笑顔にしたのはフィリシアだもの。旦那様が選んだ相手を、私たちが悪く思うわけないじゃない」

「あー!これで一安心だわ!やっと旦那様とフィリシアのイチャイチャが見れるのね」

「あー!やっぱり恋愛って良いわねー」

「何言ってんのよ!もうあなたには夫がいるでしょ!」

 侍女達が、私を肴に盛り上がっている。
 祝福というより、なんか、楽しんでないかい?

「さあ、これで今日も楽しく仕事を始められるわ」

「そうね。そう言えば、ミュルゲール男爵はいつおいでかしら」

 あ、そうだった。
 ミュルゲール男爵の事をすっかり忘れていた。

「フィリシア」

 マリエッタが私に声を掛けた。

「皆んな、ミュルゲール男爵が来る事に少しだけ神経質になってたの」

「え?」

 どう言う事?
 エリーズの父親だから警戒されている?

「もしかしたら、フィリシアを連れ戻しに来るんじゃないかと。だから、昨日フィリシアが旦那様に呼ばれたのは、それを引き止めるための愛の告白じゃないかと言っていたの」

 こんなに、フォンダート家の皆んなに、私は必要としてもらえてたんだ。

「心配してくれてありがとう」

 クロードとの事も、皆んなに祝福されて、私もとても嬉しい。

「安心して。私を連れ戻しに来るんじゃないから。それに私は、もうどこにも行かないわ」

 私の答えに皆んなは笑顔で頷いた。

 この先、クロードとの関係がどうなるのか分からないけど、私はここにいて良いんだ。
 フィリシアとしてだけど、クロードの側で人生をやり直すんだ。

 もしこれが夢だとしても、私はこの世界で、夢から覚めるまで精一杯生きよう。
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