長い夜、蒼い月

五嶋樒榴

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新たな男

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マンションに着くと、優姫はソファにちょこんと座った。
さっきのキスがまだ唇に残っていた。手で唇に触れていた。

「さっき言いかけたこと、聞いても良い?」

ジェイクが訪ねるが、2人きりで改まって優姫は言いづらかった。

「その、私はジェイクが、だんだん、気になって来たと言うか、なんと言うか」

複雑な心境を優姫は語る。

「それは、好きってこと?」

優姫は赤面して俯く。

「ごめん。ユーキに言わせるのはおかしいよな。俺が先にちゃんと言うよ。俺はユーキが好きだ。大好きだ。初めて会った時から、お前が可愛すぎて気になった」

優姫が潤んだ目でジェイクを見つめる。

「お前が怖がることは絶対しないから、俺と付き合え」

ジェイクが優姫を抱きしめる。小さな身体がすっぽりと収まって心地いい。優姫もジェイクにつかまる。

「うん。付き合う」

好きと言わないことにジェイクは笑った。

「さっき本屋で読んでた本ね、ジェイクのが本当に入るのか知りたかったから読んでた」

優姫の告白にジェイクは吹き出した。

「お前は、全く」

どうしようもなく可愛すぎる。なにもかも可愛すぎて、ジェイクは本当にメロメロになっていた。

「とりあえずキスから教えて」

少し震えながら優姫が言う。ジェイクは眼鏡を外し、優姫の顎を指で上げた。
優姫のふっくらした唇に優しく自分の唇を重ねる。
力が入っていてガチガチの優姫に、ジェイクは唇を開けて優姫の下唇を吸う。

「んんんッ」

息苦しくて、優姫が唇を離した。

 「力抜いて鼻で息して。唇も少し開けて。漫画やアニメで見たことあるだろ?」

ジェイクに言われた通りに優姫はやってみる。ジェイクの舌が口の中に入ってきて優姫の口の中を彷徨う。優姫も真似して舌を動かす。

「んんッ。んふん」

まだまだ慣れてないので、自然と鼻息が荒くなりジェイクはおかしくなった。まるで子供とキスしてる錯覚に襲われる。
それでも優姫はキスをやめない。ジェイクも気持ちよくてやめられない。
唇が離れると、優姫は真っ赤になっていた。

「キスって気持ちいいんだね。ジェイクとのキスだからかな」

サラッと可愛いことを言うので、ジェイクはますます優姫が愛おしくなる。

「今日はここまでにする?泊まっていくか?」

優姫が頷くので、ここまでかとがっかりするのと、泊まってくれるとわかり嬉しいのと複雑だった。

「シャワー浴びて来いよ。乾燥機あるから、洋服も洗うなら使えよ」

ジェイクはパジャマがわりにスウェットの上下を渡した。洗面所でタオルとバスタオルと新しい歯ブラシも渡した。
        
「流石に下着はないぞ」

「わかってるよ!」
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