長い夜、蒼い月

五嶋樒榴

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新たな男

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次の日、優姫は同じ服で会社に来たが、特に誰も気にしない。
まさか昨夜ジェイクとそんな関係になってるとも思ってないからだ。
ただ流石に下着が気になったので、昼休みにショップでラッピングされたブラと下着を買って付け替えた。
15時になるとジェイクは一夜の部屋に行った。一夜から話があると言われたからだ。自分も優姫のことを報告もしたかった。
一夜の話の前にジェイクが先に報告する。一夜の話はあまり楽しいものじゃなかったからだ。
優姫と付き合うことになったと話すと一夜は笑った。

「結局、そうなったのか。まあ、僕は分かっていたけどね」

お見通しだよと一夜は言った。

「喜んでるところ悪いけどこれ見て」

一夜はパソコンのメールをジェイクに見せる。アメリカ本社からだった。

「マイケルが役員になった。視察で日本に来るってよ」

それを見てジェイクは息を飲んだ。まさか、このタイミングでと思った。
ジェイクが付き合っていたマイケルは、アメリカ本社のCEOの孫であり、いずれ社長になるとは思っていたが、まだ26歳で役員にまでなると思っていなかった。
 
「日本に来る目的はおそらくお前だろう。マイケルはお前にゾッコンだったしな」

参ったという表情で、ジェイクは右手で顔を覆う。

「とりあえず、優姫の存在を悟られるな。バレたら優姫が危ないぞ。今まではお前の浮気だから、マイケルもお前をふったフリをして許していたかもしれない。マイケルはお前が離れていくと思ってないだろう。お前は別れたつもりでも、マイケルは違うと思うよ」

恋愛に関しては一夜の方が色々分かっていた。単細胞のジェイクとは違う。

「怖いこと言うなよ。俺は終わったと思っているんだから。日本の滞在期間は?」

「明後日、日本に到着して10日間の予定だ」

ジェイクもメールを全てチェックしたがため息しか出ない。

「優姫に言っておいた方が良いよ。嫌な予感しかしない」

一夜の忠告に、ジェイクはまたため息を吐いた。
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