長い夜、蒼い月

狂気の嫉妬

９７

ジェイクは優姫のLINを読んで、マイケルが部屋に戻る前に部屋を出て行っていた。
優姫に電話をかけ落ち合うと、ジェイクと優姫は急ぎタクシーに乗った。
ジェイクのマンションにも戻れないので、とりあえず恵比寿にある優姫の自宅に向かう。
途中ジェイクは一夜に電話をかけた。

「アンソニー、すまん。マイケルを怒らせた。俺は優姫とクビになるだろう」

一夜はマンションの部屋で由紀子を待っていた。

『一体何があったんだ！大丈夫か？』

ジェイクは優姫の自宅に向かっていると告げた。

「アンソニーにも迷惑をかけるかもしれない。もしお前までクビになったらと思うと本当に悪いと思う。でも、無理なんだ。これ以上ユーキを裏切れない。いくらお前やユーキの為でも、もう無理なんだ」

一夜にもジェイクの気持ちが良く分かる。

『俺のことは気にするな。それよりお前たちの方が心配だ』

ジェイクは優姫の肩を力強く抱く。

「こっちは大丈夫だよ。優姫となら俺は強くなれるから」

こんな時に惚気かよ。と一夜は思って笑った。

『クビにはならないだろうが僻地に飛ばされる覚悟はしとくよ』

一夜が笑いながらそう言ってくれて、ジェイクは少し気が楽になった。
もちろんマイケルは一夜にも連絡するが、一夜にも無視されもう堪忍袋の緒が切れた。

「あいつら、揃いも揃って僕をコケにして。絶対許さない」