長い夜、蒼い月

深い眠りからの目醒め

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由紀子は両親に離婚する意思を告げた。

「どうしたの急に！昨日の電話じゃそんな感じ全くなかったじゃない！」

両親を心配させたくないのと、一夜を守るために、洋輔の不倫も話さなかった。

「だいぶ前から実はうまくいってなかったの。私は子供が欲しかったんだけど洋輔にその気がなくて」

夫婦生活の問題と思った父親は席を外した。由紀子も父がいなくなってホッとする。

「でも、そんなことで離婚だなんて。ちゃんと話し合ってるの？」

母親は心配して落ち着かない。

「もう無理なの。お願い。今夜からここに住まわせて。ちゃんと話し合いもするから。今はお互い冷静になった方がいいのよ」

由紀子は冷静だがあえてそう言った。とにかく離婚するためには嘘をつきまくるしかなかった。

「ちゃんと話し合いするならいいわ。本当にどうしてもダメなら、私も諦めるから」

母が悲しんでいるのが辛かったが、流石に洋輔も不倫していると知ったらもう全てが無理だった。一刻も早く離婚したかった。
とりあえず実家に居候する許可は取ったので洋輔に連絡を入れた。

「実家からもOKをもらったのでしばらくこっちにいます。明日の夜、話し合いましょう」

『お父さんとお母さんになんて話したの？俺が浮気したこと言った？』

由紀子はため息を吐いた。

「言えるわけないじゃない。性格の不一致で離婚すると言ったわ。あなたが子供を欲しがらないから別れるって」

由紀子がそう言うと洋輔は電話の向こうで謝り続ける。

「本当にごめん！二度としない！子供もちゃんと考える。だから、離婚だけは許してくれ！慰謝料だって払えないよ！」

結局慰謝料を払いたくないだけ？と思うと、由紀子は残念としか思えなかった。

「変わったね、洋輔。私が好きだった、男らしい洋輔はどこに行ったの？ここ数年で本当に変わったね。それとも私が男を見る目がなかったのかな」

寂しく由紀子は言うと、洋輔の返事を待たずに電話を切った。