長い夜、蒼い月

五嶋樒榴

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夜明けの蒼い月

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由紀子が乗った飛行機を見送って、3人はマンションに帰ってきた。
ジェイと優姫と別れて一人の部屋に入ると、由紀子と何度も愛し合ったベッドに横になる。
朝が早かったので眠気に襲われ、そのまま深い眠りに落ちた。
気がつくと、もう部屋の中は真っ暗だった。
カーテンを開け放していた窓の外では夜景が美しく輝いていた。
気だるい身体を起こすと、サイドチェストのスタンドの電気を点けた。いつもちゃんと閉まっていたはずの引き出しが少し空いていて一夜は気になって開けてみた。
由紀子が書いた手紙が入っていて、一夜はびっくりする。
きっと最後に、このマンションに来た夜にこっそり置いていったんだと一夜は思った。そして気づいてもらいたくて、少し開けていったんだと思うと由紀子の行動が可愛くて笑った。この一週間由紀子が旅立つことに気を取られて、今まで気がつかなかった自分にも笑った。
いつ気がつくかと、由紀子が今日までヤキモキしていたかと想像した。
由紀子から連絡が来たら、この手紙の事は焦らしてやろうかと意地悪な事を考える。
一夜は手書きの手紙を読み始めた。綺麗な字だった。
出会いからこのマンションで過ごした最後の日のことが、美しい文章で綴られていた。
一夜を最初は軽蔑していた事。
一夜の気持ちがだんだん変わっていったのが実は実感できていた事。
お互いの気持ちが通じ合い、側にいてくれると約束してくれて嬉しかった事。
本当はもう一人の女性の存在が誰なのか最後まで気になっていた事。
そして旅立つ自分を信じて送り出そうと決めてくれた事で、二人の愛が揺るぎないと確信した事。
由紀子からのラブレターを読み終わって、一夜はバルコニーに出ると真っ暗な中、うっすらと光り輝く東の空を見た。冬の澄んだ空気で吐く息が白い。寒いはずなのに、由紀子のおかげで心は満たされ暖かかった。
清々しい顔で一夜は深呼吸すると、由紀子との再会を楽しみにずっと空を見つめた。





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