田辺君はずるいから

五嶋樒榴

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15ずるい・映画

2

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「で?結局見たい映画ってなんですか?」

「strangerってヤツ」

たっぷりのキスに満足した諭は、田辺の腕枕で映画の載っているスマホを見せる。

「ああ、これか。ま、これなら良いかな」

あまり気のない返事の田辺に諭はムーと唇を尖らせる。

「田辺が見たくないなら、別に無理しなくて良いよ」

「あ、いえ。映画ってあまり見に行かないんでよく分からなくて。前に行った時は結局最後まで寝てたし、ちゃんと楽しかったって記憶は、ガキの頃に見に行ったアニメくらいだし」

意外な返事に諭はびっくりする。

「へぇ。田辺って今までどう言ったデートして来たの?」

諭の質問に田辺は考え込む。
うーん、うーんと考え込むこと5分。

「田辺?あれ?デートってした事ないの?」

「した事ないって言うか、相手が行きたいところ行っただけだし。自分から考えて連れて行った事ないと思って」

付き合って数ヶ月経つが、諭も田辺とデートをしたことがなかった。

「じゃあ、どっか連れてって!田辺が考えて俺をデートに連れてって!」

諭のおねだりに田辺はキョトンとする。
デートにピンと来ない田辺は、諭が望むデートが分からなくてフリーズした。
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