田辺君はずるいから

30ずるい・マジで凄い

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普段は冷静で、イチャイチャする以外はストイックな田辺。
ベッドの上で小説を読むのが日課で、漫画しか読まない諭はそんな知的な田辺も好きで堪らない。

「そう言えばさ、田辺の実家ってどこ？」

「北陸です」

「そうだったんだ！スキー得意だったりする？」

ベタな質問に田辺は笑う。

「そうですね。人並み以上には滑れますよ」

「そうなんだー。俺、スノボもした事ない」

「じゃあ、今度、俺の実家に一緒に行きます？」

何気なく誘ったのだが、諭は真っ赤になる。

「ん？」

どうしたのかと田辺は諭を見つめる。

「あ、うん！そうだよなッ！男友達だと思えば、田辺の親も勘違いしないよなッ！」

緊張している諭を見て田辺は吹き出す。

「なんだよッ！笑うなよッ！」

真っ赤なまま怒る諭。

「だって、発想が可愛すぎて。俺は別に恋人だって紹介しても良いっすよ。諭先輩が家族に俺を紹介したいと思ってくれてるのと同じで、俺も家族に紹介したいし。叔父のこともあるから、別に驚かないでしょうし」

揶揄い気味に田辺は言うが、諭は恋人という言葉に嬉しくてクラクラする。

「もう1回言って！恋人って言って！」

必死になっておねだりする諭。
田辺はその顔を見てニヤリとする。

「んー。また次回」

焦らす田辺。

「えー！言ってよぉ。言って欲しい！言って言って！」

駄々をこねながら甘える諭。
田辺は面白くてクスクス笑いながら小説を再び読み始める。

「もうッ！意地悪ぅ。田辺のけちー」

ブツブツいう諭を無視して、田辺は余裕の顔で小説を読み進めた。