92 / 101
42ずるい・菱田君も凄かった
1
しおりを挟む
遥加と八尋が田辺の部屋の前でインターホンを鳴らす。
「…………………なんだお前ら。直ぐ様立ち去れ」
プツッと田辺はインターホンを切った。
「何怒ってんの?」
不機嫌な声が聞こえて諭は尋ねる。
「いえ、なんでもないです。気にしなくて良いです」
それでもインターホンが鳴って田辺はブチ切れる。
「同じ事を何度も言わせるな」
玄関を開けて田辺は遥加と八尋に言い放つ。
「内名先輩!居ますよね?」
遥加が大声で中にいる諭に声をかける。
「あ、友部君だったんだ。どうしたの?」
諭も玄関にやってきた。
「諭先輩留守だったんで、どうせ田辺の所だと思って。頼まれていた本、見つかりましたよ」
遥加が分厚い本を諭に見せる。田辺もムッとしてその本を見る。
「これ、もう絶版になってるやつ」
ポツリと田辺は言うとその本を手に取る。
「前に本屋で内名先輩と会った時、それを探してるって聞いたんだよ。八尋に頼んで探してもらったんだよ」
遥加が経緯を話すと、諭は照れながら田辺を見る。
「前に探してるって言ってたから。でももう取扱してる所がなくて。古本は嫌だったし、どうしようって友部君に話したら探してくれるって言うから」
「どうやって新品を?」
諭が自分のために手の入りにくい本を探してくれて、田辺はジーンとなる。
「あ、その本の出版社の社長、俺の爺さんの知り合いだったんで、作家の家に残ってたの分けてもらいました」
流石に、いろんなツテを持ってる学生が多い大学に入ったんだと諭はしみじみ思った。
「これからも欲しい物があったら言ってくださいね!」
ここぞとばかりに八尋は諭にアピールする。
「あ、うん。ありがとう」
田辺が八尋を睨んでいるので、諭は冷や汗をかきながら笑う。
「なんだその人間デパート発言は」
小馬鹿にしたように田辺が言うと頭を掻いて八尋は笑う。
「八尋んちは、菱越デパートの創業者の直系なんだよ。だからそう言ったところには顔が広いって訳」
世界でも有名な菱越の創業者一族と知り、諭は目が点になる。
「わーん!なんでみんな凄いんだよ!もしかして友部君ちもすごいの?」
「いえ、うちは車屋なんで凄くないっすよ」
にっこり笑う友部。
諭は疑心暗鬼の目で友部を見る。
きっとただの車屋じゃないんだと思った。
「…………………なんだお前ら。直ぐ様立ち去れ」
プツッと田辺はインターホンを切った。
「何怒ってんの?」
不機嫌な声が聞こえて諭は尋ねる。
「いえ、なんでもないです。気にしなくて良いです」
それでもインターホンが鳴って田辺はブチ切れる。
「同じ事を何度も言わせるな」
玄関を開けて田辺は遥加と八尋に言い放つ。
「内名先輩!居ますよね?」
遥加が大声で中にいる諭に声をかける。
「あ、友部君だったんだ。どうしたの?」
諭も玄関にやってきた。
「諭先輩留守だったんで、どうせ田辺の所だと思って。頼まれていた本、見つかりましたよ」
遥加が分厚い本を諭に見せる。田辺もムッとしてその本を見る。
「これ、もう絶版になってるやつ」
ポツリと田辺は言うとその本を手に取る。
「前に本屋で内名先輩と会った時、それを探してるって聞いたんだよ。八尋に頼んで探してもらったんだよ」
遥加が経緯を話すと、諭は照れながら田辺を見る。
「前に探してるって言ってたから。でももう取扱してる所がなくて。古本は嫌だったし、どうしようって友部君に話したら探してくれるって言うから」
「どうやって新品を?」
諭が自分のために手の入りにくい本を探してくれて、田辺はジーンとなる。
「あ、その本の出版社の社長、俺の爺さんの知り合いだったんで、作家の家に残ってたの分けてもらいました」
流石に、いろんなツテを持ってる学生が多い大学に入ったんだと諭はしみじみ思った。
「これからも欲しい物があったら言ってくださいね!」
ここぞとばかりに八尋は諭にアピールする。
「あ、うん。ありがとう」
田辺が八尋を睨んでいるので、諭は冷や汗をかきながら笑う。
「なんだその人間デパート発言は」
小馬鹿にしたように田辺が言うと頭を掻いて八尋は笑う。
「八尋んちは、菱越デパートの創業者の直系なんだよ。だからそう言ったところには顔が広いって訳」
世界でも有名な菱越の創業者一族と知り、諭は目が点になる。
「わーん!なんでみんな凄いんだよ!もしかして友部君ちもすごいの?」
「いえ、うちは車屋なんで凄くないっすよ」
にっこり笑う友部。
諭は疑心暗鬼の目で友部を見る。
きっとただの車屋じゃないんだと思った。
5
あなたにおすすめの小説
【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。
きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。
自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。
食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
【完結】毎日きみに恋してる
藤吉めぐみ
BL
青春BLカップ1次選考通過しておりました!
応援ありがとうございました!
*******************
その日、澤下壱月は王子様に恋をした――
高校の頃、王子と異名をとっていた楽(がく)に恋した壱月(いづき)。
見ているだけでいいと思っていたのに、ちょっとしたきっかけから友人になり、大学進学と同時にルームメイトになる。
けれど、恋愛模様が派手な楽の傍で暮らすのは、あまりにも辛い。
けれど離れられない。傍にいたい。特別でありたい。たくさんの行きずりの一人にはなりたくない。けれど――
このまま親友でいるか、勇気を持つかで揺れる壱月の切ない同居ライフ。
かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい
日向汐
BL
過保護なかわいい系美形の後輩。
たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡
そんなお話。
【攻め】
雨宮千冬(あめみや・ちふゆ)
大学1年。法学部。
淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。
甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。
【受け】
睦月伊織(むつき・いおり)
大学2年。工学部。
黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる