すいぎょのまぢわり

五嶋樒榴

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第六話

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近いうちにセッティングしてもらうから。じゃあな。


絢斗が帰り際に放った言葉を茉理はベッドの中で蹲りながら思い出していた。


マジか!
合コン?
行った事ねーしッ!
って、合コン?
女子と間近で話すなんて、もう1年以上してねーし!
ブランクがぁぁぁぁぁあああああああ!


茉理はそう思いながら、ベッドの中でゴロゴロする。


無理無理無理無理無理!
俺の好みの女子が来るわけないしッ!
どうせみんな絢斗に靡いて、絢斗が選り取り見取りの選びたい放題で終わるだけじゃん!
……………。
って、絢斗の好み?
あいつの歴代の彼女を見ても、どっちかってーと、綺麗系で、おとなしそうで。
そう言う子が好きだったのに、なんで俺が好きだった?
俺は別に綺麗でも大人しくもないし。
子供っぽいし、うるせえし、可愛い系だし。
って、自分で可愛い系とか言っちまった。


自分の言葉に赤面する茉理。
そして、合コンに行く事に抵抗がある自分。


行きたくないなぁ。
別にそこまでして出会い求めてないし。
なんでこんな事になったんだろう。


今からでも断るかと茉理はスマホを手に取った。
しかし、どうやって断ろうかと考える。


なんだよ。
怖気付いたの?


馬鹿にして笑う絢斗の顔が浮かんで茉理は勝手にムッとする。


怖気付いてない!
俺に出会いなんて必要ないからだ!
別に今、彼女いなくたっていいさ!
大学生になればどうせまた女子はいるし!
そうだよ、俺は今、残りの学生生活を学業に専念しなければいけない立場だ!
いつまでも絢斗に勉強を教わりながらもいられない!
そうだよ!
女子と合コンなんてしてる暇ねーんだ!


それを理由に茉理は絢斗にLINEを送る事にした。
それが凄く無理のない断り方だと思った。
そう思いスマホを手に取ると絢斗からLINEが来た。

【合コン、セッティング完了。相手は本校の後輩だってさ。5×5ですっから。お前の好みの子を必ず連れて来てもらうんでドタキャンは許さねーよ】


チーン。


そのLINEを読んだ瞬間、茉理はガッカリした。


仕事はえーよ。
まだ数時間も経ってねーよ。
どんだけみんな合コンやり慣れてんだよッ!


茉理はもう逃げられないと観念した。
仕方ないので今回は行くが、来てくれる女子には悪いが、自分は頭数という事で自分を納得させた。
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