すいぎょのまぢわり

五嶋樒榴

文字の大きさ
32 / 85
第六話

しおりを挟む
みんなでカラオケを出ると、茉理と絢斗は帰ると言い出した。

「えー!絢斗君帰るの?帰っちゃヤダぁ」

女子は必死で絢斗を引き止める。

「悪い。これからこいつに勉強教えるんだよね。じゃあね」

絢斗はそう言うと、女子がブーブー言っていても振り返らなかった。
茉理はやっと合コンから解放されてホッとした。

「もう絶対合コンなんて行かないッ!」

茉理が言うと、絢斗は嬉しそうな顔で自分の手首を握っている。

「どうした?手首痛いの?」

茉理がずっと握っていた手首。
途中で茉理が自然と手を離したが、それまで無意識でも茉理に握られていて絢斗は嬉しかった。

「いや。痛くない。ちょっとね」

絢斗はにっこり茉理に微笑む。茉理は訳がわからない。

「俺は今日来て良かったかな。茉理が嫉妬してくれたし?」

ニヤリと笑って絢斗は言う。茉理は恥ずかしくて仕方ない。

「絢斗に、先に彼女ができるのが、嫌なだけだよッ!」

素直になれない茉理に絢斗は笑ってしまう。

「はいはい。そう言う事にしとくよ」

もう何を言っても無駄なようで茉理は無言になる。

「……………絢斗は大親友だし、幼馴染だし。でこちゅーもハグも、ほっぺにちゅーも、髪撫でられるのも嫌じゃない」

茉理は俯きながら話し始める。
恥ずかしくて絢斗に面と向かって言えない。

「嫌じゃないけど、絢斗を好きだけど、それが恋かはわかんない」

「そのうち、それが恋だって気付く」

自信満々に絢斗は言う。

「お前ッ!なんで言い切れるんだよッ!」

真っ赤になって噛みつく茉理。

「嫉妬したじゃん。俺が女の子と仲良くしてたら。取られたくなかったんだろ?俺を男に取られる心配はないが、女には取られるもんな」

ふふふと意地悪な笑いを絢斗はする。
図星で何も言い返せない。

「ケツは狙わない。それ以外は良いだろ?またお前に触れるなら我慢する」

絢斗はそう言って茉理を優しく見つめる。

「なんだよ、それッ!勝手に決めんな!」

「ん?ケツも良いの?」

「違ッ!それ以外の話だよ!」

「だって、嫌じゃないって言ったじゃん」

平然と絢斗は言う。茉理は言い返せない。

「……………茉理。俺、マジにお前が好きだから、お前を大事にするから。今度こそ、お前が俺を恋愛対象として好きになるまで我慢する。ごめんな」

急に素直になる絢斗。茉理はもう本当に何も言い返せない。
幼馴染で親友で。
まだ恋愛には発展できないけど、茉理も絢斗を失いたくなかった。誰のものにもなって欲しくなかった。

「俺こそごめん。自分勝手だけど、俺、絢斗に側にいて欲しい」

茉理が本心を吐露すると、絢斗は満足そうに茉理の頭をポンポンとした。

「バーカ。それでいーよ。わがままな仔猫を飼い始めたと思うさ」

その言い方は引っ掛かったが、茉理も素直に笑顔になった。
もう一度、ふたりの関係がやり直せるのが嬉しかったから。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに... 「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」 「はっ...ぁ??」 好きな奴って俺じゃないの___!? ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子 ーーーーーー 主人公 いじめられっ子 小鳥遊洸人 タカナシ ヒロト 小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。 姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。 高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、 脳破壊。 千透星への恋心を自覚する。 幼馴染 いじめっ子 神宮寺 千透星 ジングウジ チトセ 小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。 美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている) 転校生の須藤千尋が初恋である

【完結】もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない

バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《根暗の根本君》である地味男である<根本 源(ねもと げん)>には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染<空野 翔(そらの かける)>がいる。 ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない?? イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

【完結】後悔は再会の果てへ

関鷹親
BL
日々仕事で疲労困憊の松沢月人は、通勤中に倒れてしまう。 その時に助けてくれたのは、自らが縁を切ったはずの青柳晃成だった。 数年ぶりの再会に戸惑いながらも、変わらず接してくれる晃成に強く惹かれてしまう。 小さい頃から育ててきた独占欲は、縁を切ったくらいではなくなりはしない。 そうして再び始まった交流の中で、二人は一つの答えに辿り着く。 末っ子気質の甘ん坊大型犬×しっかり者の男前

【完結】男の後輩に告白されたオレと、様子のおかしくなった幼なじみの話

須宮りんこ
BL
【あらすじ】 高校三年生の椿叶太には女子からモテまくりの幼なじみ・五十嵐青がいる。 二人は顔を合わせば絡む仲ではあるものの、叶太にとって青は生意気な幼なじみでしかない。 そんなある日、叶太は北村という一つ下の後輩・北村から告白される。 青いわく友達目線で見ても北村はいい奴らしい。しかも青とは違い、素直で礼儀正しい北村に叶太は好感を持つ。北村の希望もあって、まずは普通の先輩後輩として付き合いをはじめることに。 けれど叶太が北村に告白されたことを知った青の様子が、その日からおかしくなって――? ※本編完結済み。後日談連載中。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

処理中です...