すいぎょのまぢわり

五嶋樒榴

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第七話

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学校の帰り、一哉の部屋に臨が遊びにきていた。

「僕も、あのふたりみたいに自然に一哉にアーンしたかったの」

昼間のことはそう言うことかと一哉は分かると、臨が可愛すぎてギュッと抱きしめる。

「不自然でも臨にアーンしてもらいたいなぁ。明日から毎日食べさせてくれる?」

一哉のおねだりに、臨は嬉しそうにコクンコクンと頷く。

「マジ可愛い」

一哉は堪らなくなってくる。
臨にいつものように熱いキスを捧げ、キスをしながらシャツのボタンを外して押し倒していく。

「まだ、上だけだよ」

臨の甘ったるい声が一哉の耳を刺激する。

「分かってる」

一哉はそう言って臨の髪を乱しながら唇を貪る。


アーンより、アーンって声が欲しいんですけど!
くっそぉー!
寸止めってマジキツいー!
俺、健気すぎやん。


一哉はそう思いながらも臨の肌に唇を這わせる。

「か、一哉……………擽ったい」

色っぽい目で一哉を見ながら臨は言う。

「我慢しなさいッ!俺も我慢してんだからッ!」

そう言って一哉はキスの雨を臨の肌に降らしていく。

「一哉ッ。んんッ。やぁッ……………あんッ」


あー!
もう、その声、マジ無理!
我慢限界だっての!


興奮する一哉は、思わず臨の首筋にキスマークをつける。

「ひやぁッ!」

臨の声が裏返った。
一哉ははぁはぁと息を乱して、臨から離れると臨を見下ろす。
臨は真っ赤になって首筋を押さえる。

「もう!絶対キスマークつけたでしょ!目立つところはダメって言ったでしょ!」

前回は胸に数カ所付けられていた。

「ごめーん。我慢できないんだもん」

仔ウサギに怒られてしょんぼりするライオン。
ただ、おかげで少しだけ気が治った。

「もうッ!今度したらめッだよッ!」

臨の言葉に一哉はポカンとする。


めッ?
目?
いや、多分お母さんが子供に言うような言葉だよね?
えーと、俺、子供扱いっすかぁ?


アーンをしたがったり、めッと言ったり、子供扱いというか、赤ちゃんプレイに思考が行ってしまい、それはそれで嬉しい一哉だった。
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