すいぎょのまぢわり

五嶋樒榴

文字の大きさ
48 / 85
第九話

しおりを挟む
夕食後、絢斗が茉理に勉強を教えにやってきた。
絢斗が一哉と何を話したのか気にはなったが、一哉と臨もまだキスをしてないと思い込んでいる茉理は、絢斗を刺激しないように、一哉との会話は触れないようにした。

「なぁ」

絢斗に声を掛けられて、茉理は問題集から目を離した。

「ん?なに?」

あくまでも自然に振る舞おうと思った。

「臨と何を話した?」

絢斗から聞かれて、茉理は避けて通れないかと思った。

「えーと、特に。フツーの会話して、バウムクーヘン食べたぐらい」

キスをしたかしてないかの話をした事は黙っていた。

「へー。まぁお前らじゃそんぐらいしか会話ないか」

絢斗の言い方に茉理は少しムッとした。

「なぁ。いつになったら恥ずかしくなくなる?つーか、お前は目を瞑ってれば恥ずかしくないだろ?」

やっぱりそっちに来るかと茉理は緊張する。

「目、瞑ってても、は、恥ずかしい!絢斗の、顔、近付いてくるの分かるし、そのッ!」

しどろもどろの茉理。

「臨だって、まだして無いって言ってたし!」

茉理の言葉に絢斗は、ん?と疑問符。

「臨も恥ずかしいから、シて無いって言ってたもん!」

真っ赤になっている茉理に、絢斗はキョトンとする。


こいつら、何を先走った会話してる?
俺は別にキスがしたいっていうだけで、茉理はキスしたらエッチまでするって思い込んでるのか?
そりゃ正直シたいが。


「おい!違うぞ!俺はキスしたいだけだぞ?それが恥ずかしいって言うから我慢してんだぞ!」

焦る絢斗。
誤解を解かなければと必死になる。

「そうだよ!臨だって恥ずかしいからキスしてないって言ってたぞ!」

茉理も必死に絢斗に言い聞かせる。

「はぁ?なんだそりゃ!ンなわけねーだろ!あいつらキス以上の事ももう終わってんだぞ!」

絢斗の言葉に茉理はびっくりする。

「えー………………だってさぁ………………臨………………」

茉理は臨とのふたりの会話を思い出し、何かがズレていたのかとやっと理解した。

「じゃあ!臨は何をしてないと言ってたんだよ!キス以上の事でエッチ未満てなんだよ!」

「知るかッ!それはあいつらの問題であって、俺に分かるかッ!」

本当は知っているが、それを今の茉理に話せば、きっとドン引きすると思い絢斗は誤魔化す。

「とにかく、臨だってキスは出来てるんだ!お前だってそれぐらいできるはずだ!まずはチャレンジだ!」

「ンなことできるかッ!」

茉理と絢斗は攻防戦を繰り広げる。

「………………へー。そんなに、嫌なんだ。俺を好きと言っときながら?女のトコには行くなだ、だからと言ってキスもダメで?へー。そーなんだ」

絢斗の言葉に茉理はカッとなる。

「じゃあ!やっぱり俺なんかやめて、女の子と付き合えば!そんなにキスしないとダメなら、俺は、友達でいいよ!」

売り言葉に買い言葉で、茉理は言ってしまった。
絢斗もイライラが止まらず、どう言えばいいか考える。
このままでは、また後戻りだと思った。

「………………ごめん。言いすぎた。ごめん」

先に謝ったのは茉理だった。

「やだ。女の子と付き合ったら」

いつになく、茉理が素直になる。
カラオケでの出来事がショックだった。絢斗に離れていって欲しく無い。

「どうしていいか分かんないんだよッ!キスしたら、どんどん俺、変になりそうで、怖いんだよ」

「………………俺も悪かった。焦ってごめん。でも、マジで、キス以上は同時にしない」

絢斗は自分で言っておきながら、正直自信はなかった。

「………………本当?」

疑いの眼で茉理は絢斗を見る。

「マジ!キスしたいだけ!キス以上はしない!」

絢斗が訴えかけるので茉理はしばし考える。

「………………本当にキス、だけだからね」

真っ赤になって茉理は言う。

「お、おうッ。キス以上しない」

絢斗が約束すると茉理は静かに目を閉じた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

【完結】もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない

バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《根暗の根本君》である地味男である<根本 源(ねもと げん)>には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染<空野 翔(そらの かける)>がいる。 ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない?? イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。

幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに... 「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」 「はっ...ぁ??」 好きな奴って俺じゃないの___!? ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子 ーーーーーー 主人公 いじめられっ子 小鳥遊洸人 タカナシ ヒロト 小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。 姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。 高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、 脳破壊。 千透星への恋心を自覚する。 幼馴染 いじめっ子 神宮寺 千透星 ジングウジ チトセ 小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。 美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている) 転校生の須藤千尋が初恋である

【完結】男の後輩に告白されたオレと、様子のおかしくなった幼なじみの話

須宮りんこ
BL
【あらすじ】 高校三年生の椿叶太には女子からモテまくりの幼なじみ・五十嵐青がいる。 二人は顔を合わせば絡む仲ではあるものの、叶太にとって青は生意気な幼なじみでしかない。 そんなある日、叶太は北村という一つ下の後輩・北村から告白される。 青いわく友達目線で見ても北村はいい奴らしい。しかも青とは違い、素直で礼儀正しい北村に叶太は好感を持つ。北村の希望もあって、まずは普通の先輩後輩として付き合いをはじめることに。 けれど叶太が北村に告白されたことを知った青の様子が、その日からおかしくなって――? ※本編完結済み。後日談連載中。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

処理中です...