すいぎょのまぢわり

五嶋樒榴

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第十一話

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絢斗が茉理を待っていると、茉理と向葵が絢斗の前に姿を現した。

「やっと終わったよ」

笑顔の茉理の後ろにいる向葵が絢斗は気になる。

「茉理先輩が一緒にサンダーズ行こうって誘ってくれたので」

嬉しそうな向葵の顔に絢斗はイラっとする。

「なんだよ。急に仲良しか?ただ委員会が一緒ってだけだろ?」

絢斗は茉理は自分のモノだと主張するが如く、向葵が茉理を見る目に警戒心を露わにする。突然出現した向葵の存在がムカつく。

「良いじゃん!一緒に行ったって」

ピリつく空気をなんとなく感じて茉理は言う。

「俺が茉理先輩と親しくなりたいってお願いしたんです」

挑発するように向葵も絢斗に言い放つ。

「親しく?なんだそりゃ」

イライラが募る絢斗。

「向葵君、言い方!違うよ。友達になろうって話しただけで」

不機嫌な絢斗に焦る茉理。

「そうですよ。何をそんなに俺に敵意剥き出しなんですか?別に俺が茉理先輩と仲良くなっても変じゃないですよね?」

余裕の顔で笑う向葵。
絢斗はこの野郎と思いながら冷静になろうと思った。
男を惹きつける魅力があることを、無自覚で無防備な茉理に、こう言う輩が近付くのは想定内だと自分に言い聞かせる。
先輩や同じ学年ならば、茉理に邪な思いを抱いていても絢斗と言う存在が認知されているが、流石に1年にはまだ浸透していないのかと絢斗は思った。

「そう。友達ね。良いんじゃね。友達なら」

牽制するように絢斗は言う。

「………………へぇ。やっぱり、そう言うのあるんだ」

ニヤリと向葵は笑う。

「なんだよ、それ」

鋭い声で絢斗は言う。
茉理はハラハラしながらふたりを交互に見る。

「文系の倉橋先輩と朝比奈先輩ですよ。付き合ってるって有名ですからね」

一哉と臨の仲が噂になる程浸透してるのに、どうして自分と茉理は噂にならないのか悔しい。

「柳井先輩と茉理先輩はただの幼馴染みだと思っていたので」

ただの幼馴染みと言う言葉に、絢斗は大いに引っかかる。

「はぁ?じゃあ、ちゃんと覚えておけよ。俺と茉理も付き合ってっからさ」

堂々と絢斗が言い放って茉理は真っ赤になる。

「絢斗!なに突然言い出すんだよ!いくら本当のことだからって!」

茉理の言葉に、絢斗と向葵はびっくりして茉理を見つめる。
茉理が否定しなかったことで絢斗はぱぁッと笑顔になる。
今にも抱きしめて頬擦りしたいと言う顔になる。
向葵はムッとしながらもフッと笑う。

「………………まぁ、はっきり聞かせてもらったほうが俺も良いかな。他の奴らは柳井先輩が相手で尻込みするかもしれませんが、俺はそう言うつもりないんで」

開き直りとも言える言葉に絢斗は向葵を見る。
そして自分たちもやっぱり噂になっていたんだと嬉しくなる。

「俺は茉理先輩の友達って位置で十分なんで」

自分と茉理の仲を分かっても何故こうも、爽やかに落ち着いていられるのか絢斗はまたムカつく。
恋人は自分なのに、何故か友達で良いと主張する向葵が鬱陶しい。


このガキ、何を企んでる?


絢斗はそう思いながら向葵の様子を窺う。

「じゃあ、サンダーズ行きましょうか?ね?茉理先輩!」

にっこり笑って向葵は茉理を促す。
茉理は絢斗を見る。

「とりあえず、みんなで仲良くしよ?向葵君も分かってくれたし」

天真爛漫な笑顔で言う茉理。


分かってねーよ!
お前、狙われてんだよ!
くそッ!
こいつ、わざと俺と茉理の仲を認める“フリ”をしやがったな!


終始余裕の笑顔の向葵。
向葵のどす黒さが分かって、絢斗は向葵の出現に苛つく。
どうやって向葵を退治するか考え始めるのだった。
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