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麗花の説明に、東田夫妻がそれぞれ出て行ったと聞き、健は更に引っ掛かる。
「朱鷺子さんの消息は?」
麗花は首を振る。
「困りましたね。そうなると直ぐには売買は出来ません。まずは、東田朱鷺子さんを探してもらえませんか?」
麗花はため息をつく。
「やはり本人じゃないとダメですよね。分かってはいたのですが、相談してどうにかなるかと、少し甘い考えを持っていました」
健は登記事項証明書を再び眺める。
抵当は何もついていない。この物件に関しては借金はない。
「何か早急にお金が必要とか?」
「あ、その……私、結婚するんです」
麗花は嬉しそうに頬を染めて微笑む。
「そうでしたか。おめでとうございます」
健もにっこり微笑む。
「結婚と言っても籍を入れるだけなんですが、この土地を離れて東京へ行こうと思って。ここを維持しなくなるなら、いっそ手放した方が良いと思ったんです」
所有者は行方不明。管理している麗花が東京へ行く事で、身辺整理をしたかったのかと健は思った。
「失礼ですが、朱鷺子さんは失踪されて何年ですか?」
「いなくなったのは4年前です」
「何か捜索願いのようなものは?」
麗花は首を振る。
「叔父がしばらくして、叔母を探して連れ戻すと言って出て行ってしまったので、私は何も届出を出していません。その叔父も連絡が取れずにまだ戻ってないので、今頃2人はどうしているのかと本当は心配なのですが」
麗花の話に健は考え込み、ある事が頭に浮かんだ。
ただ、そこまで首を突っ込む必要があるかとしばし考えたが、提案の1つとして話しても良いかと思い直した。
決めるのは麗花自身だからだ。
「朱鷺子さんの消息は?」
麗花は首を振る。
「困りましたね。そうなると直ぐには売買は出来ません。まずは、東田朱鷺子さんを探してもらえませんか?」
麗花はため息をつく。
「やはり本人じゃないとダメですよね。分かってはいたのですが、相談してどうにかなるかと、少し甘い考えを持っていました」
健は登記事項証明書を再び眺める。
抵当は何もついていない。この物件に関しては借金はない。
「何か早急にお金が必要とか?」
「あ、その……私、結婚するんです」
麗花は嬉しそうに頬を染めて微笑む。
「そうでしたか。おめでとうございます」
健もにっこり微笑む。
「結婚と言っても籍を入れるだけなんですが、この土地を離れて東京へ行こうと思って。ここを維持しなくなるなら、いっそ手放した方が良いと思ったんです」
所有者は行方不明。管理している麗花が東京へ行く事で、身辺整理をしたかったのかと健は思った。
「失礼ですが、朱鷺子さんは失踪されて何年ですか?」
「いなくなったのは4年前です」
「何か捜索願いのようなものは?」
麗花は首を振る。
「叔父がしばらくして、叔母を探して連れ戻すと言って出て行ってしまったので、私は何も届出を出していません。その叔父も連絡が取れずにまだ戻ってないので、今頃2人はどうしているのかと本当は心配なのですが」
麗花の話に健は考え込み、ある事が頭に浮かんだ。
ただ、そこまで首を突っ込む必要があるかとしばし考えたが、提案の1つとして話しても良いかと思い直した。
決めるのは麗花自身だからだ。
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